真っ白の家はコンセプトを鮮やかに伝える装置
「最近気になった住宅」シリーズは、最近竣工した物件の中から、個人的に気になった住宅を三軒ずつ紹介しています。今回は真っ白の家。
建築家の家と言えば、私はまず真っ白の家をイメージします。もちろん全部ではないけれど…。でもこれは日本に限定されたことみたい。真っ白の家に注目して集めてみたら、日本の家ばかりになってしまいました。
真っ白だと情報量がぐっと減って、空間のコンセプトが際立ちます。光の落ち方、映り方にも注目してみてください。
Atelier Bisque Doll
敷地:大阪 延床面積:151平米 設計:UID Architects
白い長方形の枠をいくつも被せて、壁を構成している家。
視線の抜け方がとても面白いと思いました。こういう見え方は、何に近いんだろう?寺社などの大屋根の下から見る、庭の様子などでしょうか。角に柱がないので、壁が浮いているような不思議な感覚がすると思います。
グレーに見える白、真っ白に見える白。
空が青く映り込んでいます。
夜になれば、建物は姿がなくなり、内側から漏れる光が主役です。
3つの長方形で構成されています。
この方は、この真っ白の長方形をモチーフにした住宅を他にも建てています。長方形のズレが生むイレギュラーな隙間が魅力的です。
VIA:Floating fence wraps house and doll-making studio by UID Architects
ORANGE HOUSE
内容不詳 設計:前田紀貞
子どもが遊べるような、巨大な彫刻を飲み込んだような白い家。
このような曲線で構成されると、先ほどのように色のコントラストはあまり生まれません。代わりに、光が全体に回り込んでいるような均一性が。
夜もまんべんなく明るくなります。
計画案時点で、子どもが楽しく遊べるシーンを描いていたようです。
実際の様子。うちの子を混ぜたい笑
自然地形みたいで楽しそうです。ただ、かなーり汚しそう(・ε・`*)それもまた良しですかね。
VIA:norisada maeda creates engaging space for kids with orange house
Florist Studio
敷地:三重 建築面積:139平米 設計:小川晋一
森の中の、スタジオ兼住宅だそうです。小川晋一さんは、ミニマル中のミニマル、白とガラスと直角だけで構成された建築が多いのです。
このガラスの大きさと、マリオン(ガラスの支柱)のなさ…。最近学んだのですが、ガラスは柔らかいので、このような面積でマリオンがないとブヨンブヨンと動くそうです。構造的には問題はないそうですが、風が強いと「お、おう…」という感じになるかもしれません。合わせガラスにすればだいぶマシらしいけど、このサイズだとコスト大変そう。まあこのような住宅だとコスト<<<美観なのかも。
それにしても、本当に美しいですね。このガラスを前にした廊下を日がなゴロゴロしたいです。あっちの端から、こっちの端まで。(流木かい)ポイントに天窓が一ヵ所あるみたい。時間によって光の角度が変わるのでしょうね。下にオブジェみたいなものもあるし、日時計かな?
白すぎて怖い階段(何で怖く感じるんだろ?)
VIA:Glass-fronted gallery and house for a florist by Shinichi Ogawa
以上、「白い家 」でした。
個人的にミニマル好きなので、真っ白の家も好きです。汚れやすいなどの欠点も多いのですが、時間や季節によって移ろう光の色がよく分かり、魅力的な色ではないかと思います。光がぬめっと回り込んだり、シャープに白黒ついたりするコントラストも楽しめますね。
また、そういう意味で透明なので、形に目がいきます。彫刻のような形、イレギュラーな形、そして綺麗な均衡な形。