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「ジャージーボーイズ」観た。

 

ネタバレアリかもしれません。

 

機会あって「ジャージーボーイズ」を観て来ました。例によってだいぶ前に観たので、記憶が曖昧ですが備忘録です。

「ああ、良い映画を観たなあ」と思いました。歌手の伝記的映画※ですが、この歌手を全く知らない私でも楽しめました。映画館で観る必要は…まあそんなにないかもしれません^^;ただ、良いスピーカーで聞きたいですね。

ジャージー・ボーイズ(字幕版)

 

「人生の絡み合い」が見られる

クリント・イーストウッド監督作品は好きなものばかりです。良い人も悪い人も含めて、それぞれ全く違う考え方・事象の捉え方をしている人たちが、それぞれに影響し合ってつくられていく感動的なモノやコンテンツ、そしてその代償…そういった人の一生の面白さや悲しさのエッセンスを見られる気がします。

本作も、「フォーシーズンズ」という稀代のアーティストという面だけではなく、メンバーそれぞれの考え方の違いや、それによるメンバー間の軋轢などにフォーカスされています。

前半はリードボーカルのフランキー(ジョン・ロイド・ヤング)とボーカルかつ資金繰り担当のトミー(ヴィンセント・ピアッツァ)の地元時代からの腐れ縁と離反、後半はトミーの莫大な借金を肩代わりしながら、歌以外何もかもうまくいかないフランキーの内面世界が中心となっています。そういうわけで後半はちょっとダルイ感じがするのですが、最後の「老いてからの再結成」から「楽しかった過去の再現」シーンまでの盛り上がりとのバランスで敢えてそうしているのかもしれません。それほどに締めのシーンは盛り上がります。

 

「幕の中と外」という演出

特徴的な演出は、ところどころ演者が一歩下がって観客に話しかけるもの。状況を説明したり、その演者の役の本心を語ったりします。ショービズの内情や、業界有名人の情報が直接語りかけられるので非常に分かりやすくなり、眠くなっていても引き戻されるので案外良かった。基本的には、主人公フランキー以外の3人のメンバーがしばしば幕の外に立ちます。

一番面白かったのは、最後の「老いてからの再結成」での「幕の中と外」の演出。メンバー4人が、一人ずつ「フォーシーズンズとは自分にとってなんだったか」を語ります。ここで初めて、ずっと幕の中で孤独に奮闘していたフランキーが幕の外に。そこで語ったのが…「あの頃、自分達の中にはただ音楽だけがあった」、と。ここで涙腺崩壊(T_T)一方で、天才作曲家のボブ(エリック・バーゲン)は「自分の才能がフォーシーズンズ成功の理由だ」と、メンバーに嫌気がさして家族の元に帰ったニック(マイケル・ロメンダ)は「自分はリンゴ・スターだ、いなくても良い存在だった(しっつれー!)」と語っています。まあそんなもんだよなあとも思いました。自分が誰に共感するかも面白い見方だと思います。

そういえば、仕事でも、誰もが自分と同じ種類の情熱を持ってやっているわけではありません。昇進や評価が熱源の人、何らかの新しい技術を試したい人、お金を稼ぎたい人、とりあえず済ませたい人、単に情熱を持っている誰かを応援したい人。チームがうまくいかないとき、「この人の熱源は何だろう?」と考えてみてもいいかもな、と思いました。こんな希代のチームですら、メンバーの熱源がこうも違うのですから…。

 

全編通じて流れる美声

映画を通して、ずっとフランキーの独特な裏声の歌い方が流れます。演奏シーンは非常に多いので(体感で7割くらい歌が流れていた)、この歌手のファンも音楽ファンも楽しめますね。音楽的な盛り上がりのピークは、おそらくフランキーの娘が死んだ後にできた「君の瞳に恋してる」というヒット曲の演奏シーンだと思います。私もこの曲は断片的に聞いたことがありました。

そして、4人の再結成ライブの後、映画の最後の最後で4人が若返って地元の路上で歌って踊るシーンでラストです。個人的には、その直前の「あの頃、自分達の中にはただ音楽だけがあった」というフランキーのセリフにドはまりしていたので、このラストの邂逅シーンが一番良かった。「フランキーにとって、この頃4人で歌っていたのが幸せだったのかもしれないな」、と。

 

2度と戻ってこないくらい人生が複雑になってしまって、妻も子供も親友も失ってしまって、思い出の中だけで帰る地元の路上。人生は罪深すぎますね(T_T)

そんなわけで非常に良い映画でした。

 

※ただし、創作も多々あるようです。作中の一番?の盛り上がりエピソード「娘の死後にヒット曲」も創作なので、伝記的は言い過ぎかな。

 

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