窓は外界を画に変えるモニター
窓のメーカーとして知られているYKKAPの好きな広告コピーで、「窓は寒さを景色にする。(うろ覚え)」というものがあります。子猫が室内から雪景色を眺めているビジュアルで、この猫がまた可愛いんですよ~^p^(何)そして、確かにガラス窓ってスゴイ発明だよな~と思いました。雨風を凌ぎながら、外の様子も見られる。基本的にはシェルターとして外界からシャットアウトするものだった「建物」を、全く別のものに進化させた装置なんだと思います。
最近の窓に関する考察では、森山高至さんのツイートまとめを面白く読ませていただきました。
ここでは、マンガでの窓サッシの描かれ方によって、登場人物の心情や「外界と室内」の設定上の関係性について考察されていました。窓が景色にするのは、寒さだけではなく外界そのものであり、室内=自分のテリトリーから見る様々な物事が景色になってしまう、パソコンの画面のようになってしまう力があるんだと思います。
そんな「窓」の扱いが面白い住宅を3軒紹介します。
窓を開けてもまた壁がある家
物件名:屏風ヶ浦の家 敷地:横浜 延床面積:90平米 設計:保坂猛
窓を閉めていると、一見普通の3階建てのファサードに見えますが、なんと窓を開けても壁が出現します。実際には壁は斜めに入っていて、隙間から光が室内に入るという仕組み。プライバシーのため、下の階にいくほど壁の立ち上がりが急になっています。
下階に行くほど、「開けてもなお窓」感が強い。
ファサード側の様子。光は上から斜めに差し込むので、隙間から入り込む光は室内を十分に照らしています。一方で、外からの目線は全く合わないので、かなりプライベートな感覚です。
よじ登りたくなりますね…。
裏側です。こちらも同じように斜めにぬめっとした壁が。
お皿が3枚重なったような断面です。お皿とお皿の間ってこんなに良い空間やったんや!(違)
会話する穴としての窓
物件名:ROOM ROOM 敷地:板橋 面積:72平米 設計:保坂猛
これも保坂猛さんによる住宅です。窓は全て20cm²程度と小さく、壁だけではなく床や天井にも開いています。プライバシーを守りながらも優しい光が入ってきます。20cm²と言えば、顔くらいの大きさ。床に開いている窓を通じて、聴覚障害のあるご夫婦とお子さんがコミュニケーションを取ることもあるそうです。
一つ一つの窓は小さいのですが、まとめると結構な採光面ですね。
要塞に穿たれた穴
物件名:The Wall of Nishihara 敷地:渋谷 建築面積:40平米 設計:Sabaoarch
一人住まいのための住宅in渋谷。立地が立地なので、要塞のように街から身を守る佇まいです。たくさん開口が穿たれているので光は入ってきますが、外界の景色を見る、いわゆる窓とは全く違う役割のように見えます。
万里の長城みたい?テーパーはかかっていませんが、パラパラと不規則な、ロンシャンみたいな開き方です。
以上、窓が面白い住宅。要はガラスをどうやってはめるかという話なので、自由度が高く、コンセプトの中心にもなる題材でした。
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