全くもって進んでいませんが、最近消化した積読書の一言感想文です。
愛と暴力の戦後とその後
「東京プリズン」の下書きとなった、日本戦後史についての個人的経験を通しての分析です。最近読んだ本の中で一番面白かった。特に「ドラえもんの空き地はどこに行った問題」や、「太陽に吠えろはなぜ犬死にだったのか?」等のコンテンツに対する分析の面白さたるや!ドラえもんの空き地、確かに小さい頃「こんな空き地、存在しないけどなあ」と気になっていたことだったんですよね。実は、あの空き地は●●だったんですよ^@^読みたくなりましたか?
私は赤坂真理さんが「戦後への劇的な転換期」であったという1980年の後の生まれなので、書いてあることへの実感的共感は持てないのですが、戦争を経た日本のあっけらかんとした変わりよう、そしてそこで封印されている国民感情の動きなど、昔から気になっていて理解できずにいたことの一端が、個人の経験ベースで描かれていてとても入ってきやすかった。冒頭に出てくる「長閑な感電死」が、戦争に負けた日本の姿の象徴になっているんですが、この表現にも文字通り痺れました。
東京プリズン
読んだのはだいぶ前ですが、上記の本を読むきっかけになった本なのでついでにご紹介します。多感な時期を戦後のアメリカで過ごした少女の目線を通して、戦後の日本人が戦勝国であるアメリカにすり寄るようになった様子、憲法の成り立ちについてなどを描いています。私小説という感じです。内容はかなり上記の本とも被るので、どちらか一方だったら短くて凝縮されている「愛と暴力~」をお勧めしますね。
関係ないけどこの頃は本を読む時間が自由に取れていたなあ(遠い目)
日本辺境論
「愛と暴力~」に出てくる、唯一憲法の憲の字の意味を即答できた「フランス文学者」氏が内田樹氏だということで、「愛と暴力~」の後に読みました。赤坂真理さんはどちらかというと受け身で日和見主義的な日本の敗戦と戦後という描き方をしているのに対し、内田樹さんは古来から日本はかような国であったのだ、またそれが良い風に顕れているのが、技術や学問の優れた模倣であるというようなことを書いてありました。そういえば、卑近な例ですが日本では日本風に美味しくアレンジされた世界中の食を楽しむことができますね。
また、勝手ながら、同じ事象でも女性と男性では見え方が違うのだという感想を持ちました。個人的には、やはり赤坂さんの話の方が共感できました。
とりわけ覚えておこうと思った部分は、「学びの姿勢」についてです。日本独自の学びの姿勢について、それが何かを習得するのには最適最高のやり方である、と。具体的には、今から学ぶことを疑わない、師の一挙手一投足から学ぶ、など。これは大切なことだと思ったのですが、他の言い方で書いてある本はないかなあ。ぜひ、子供にいつか読ませたい内容でした。
面白くて眠れなくなる社会学
社会学者の橋爪大三郎さんの、「言葉」の成り立ちの説明を通じた社会学のやさしい本でした。分かりやすく、小学生高学年~中学生くらいの子供に読ませたい1冊です。とはいえ、結婚して子を生したからこそすんなり入ってくる部分もあり、こういう普遍的なことが書いてある本は人生で繰り返し読まないとなかなか理解できないかもしれないと思います。あるいは、人生のステージによってまた味わいが変わる、とも。そういえば、大学時代にある先生が「今私は幸せなので、生活レベルを少しずつ落としていきたい」と仰っててその時は意味が分からなかったのですが、今なら何となくわかるなあ。そんな本。(違います)
橋爪大三郎さんはお正月の経済番組にも出られていて、竹中平蔵さんなど経済のプロが集まっている中で本質的な話を端的にされていて、家族で「この人、かっこいいね~」と話していました。平和か!
137億年の物語ー宇宙が始まってから今日までの全歴史
これ大好きなんですが、電話帳みたいに大きくて、いつまで経っても読み終えなくて、でもじわじわ読んでも面白くて、本当に手に取って良かったなあと思いました。家で過ごす土曜の子が寝た一瞬や、飴色玉ねぎをつくる時間などにちょっとずつ読みました。地球の歴史を、生物誕生から現在の人間社会まで描いています。かといって、あまり歴史・生物の細かい説明をしすぎることもなく(そうしていたら今の3・4倍のボリュームになっていたかもしれませんね!)、小説のように読める不思議な本です。奇妙な植物しかない静かな世界や、古代のあまりにも洗練された文明など、想像しながら読むとかなり興奮します。
- 作者: クリストファーロイド,Christopher Lloyd,野中香方子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09
- メディア: 大型本
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予想通りに不合理
仕事用に読んだ本の中で、誰が読んでも面白いものを一つご紹介。「無料だとなぜ要らないものまで買ってしまうのか?」や「モノではなくお金を送るとギクシャクしてしまうのはなぜか?」等、人間の不合理でいてよくある習性を研究した一冊です。えーっと、びっくりするほどつまんないこと言いますけど、読めば読むほど「目から鱗」でした。自分の不合理な修正を理解できると、無駄なものを買わずに済んだり、あるいは人に自分の思いを正しく理解してもらえたりします。これもお勧め!
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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本は、何か面白いものを読んだときに参考文献で出てくる本などを辿ったり、著者の師や友人の著書を辿ったりすることでどんどん「積読」されていきます。映画も同じです。というわけで読みたいけど読めていない、観られていないものがたくさんあって、まあでも焦ってもしょうがないよなあと思いながら少しずつ進めています。読みたいものの傾向が夫と一緒なので経済的です^@^