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最近観た旧作映画「日本鬼子(リーベンクイズ)日中15年戦争・元皇軍兵士の告白」など

 

今月は面白くないのもあったぞー

 

グッバイ、レーニン!

グッバイ、レーニン! [DVD]

東西ソ連が統合された前後の、ある家族の肖像。歴史を学ぶ上でも、思想の変化を乗り越える個人の葛藤を見る上でも、家族の在り方に触れる上でも観るべき映画だった。息子にとってもセラピーだったのね。

 

ゴーン・ガール

ゴーン・ガール (吹替版)

美しいモンスター妻のサイコスリラー(なのにほんのりコメディー)。映画全体で流れる環境音楽みたいな不思議な効果音も面白いし、今まであんまりチェックしてなかったロザムンド・パイクという女優さんの演技も素晴らしかった。面白いんだけど、観なくても良かったかも。知的な女性がモンスター化する普遍的な話かと思えば、それを否定するエピソードが出てくる。個人的にはこれが一番不要だった。普遍的な話の方が、絶対面白い。モンスターを描いている話って、自分にとってはある特殊なお話としか読めなくて、心に残らないのだった。

 

華麗なるギャツビー

華麗なるギャツビー [DVD]

フィッツジェラルドの有名な小説「グレートギャツビー」を映画化したもの。特に面白くはないけど、恐慌前のNYの雰囲気の演出や衣装は見ごたえがあった。愛人宅で乱痴気騒ぎをするシーンで、NYの街並みを見下ろすシーンが最高。裕福な黒人の姿が多いのは、人種差別がひどくなる前の自由な雰囲気を反映させているとか。登場人物みんなに魅力がなくて、でも派手なパーティーの映像が続くので観た後に空虚感が残る。それはそのまま実際の時代の空虚感、バブルがはじける前の空っぽさなのかも。いっそのこと、主人公とギャツビーの心の交流もあまり描かず、空虚で派手な当時の雰囲気と破滅だけを描いている方が、私は面白かったかも。

 

日本鬼子(リーベンクイズ)日中15年戦争・元皇軍兵士の告白

日本鬼子(リーベンクイズ) 日中15年戦争・元皇軍兵士の告白 [DVD]

タイトルにすべてが込められていて説明不要。リーベンクイズとは中国語で日本人の非道さを表す、日本で言えば「鬼畜米英」みたいな言葉だそうだ。実際の兵士だった、今は80を過ぎているご老人たちが当時の自分たちの所業を告白する。「アクト・オブ・キリング」の日本版みたいだが、そのようなコンセプトや演出性は全くなく、ひたすらインタビューと当時の新聞紙面が映される、とてもシンプルなドキュメンタリー。

私は、正直なところ今まで日中戦争での日本がしたこととか、従軍慰安婦が実際どうだったかとかについて自ら遠ざけていた。というのも、自分が見て体験したことではないし、社会科できちんと学べるわけでもなく、ニュースに出るものは「こういうことがあった」「いやそれは誇張だ」などという断片的な情報で信用ができなかったからだ。各々が信じたいものを信じているように感じたからだ。

このドキュメンタリーでは、もはや利害など関係なくなった元兵士達が、自分のしたこととその時の感情を語っているだけ。そして、実際に撒かれた新聞紙面が映るだけ。紙面には「捕虜、大漁!」などと踊っている。今は左派とされている朝日新聞が、である。

インタビューの内容は凄惨で見るのは辛い。ただ、必見だと思う。それは左翼だとか右翼だとかではなくて、ただファシズムに支配された人間が実際にどういうことをしたのか、という事実だけがある。日本人が非道だとか、ドイツ人が非道だとか言うことではない。普通の人間が、命令されればどんな所業をするか、という事実である。「アクト・オブ・キリング」「ハンナ・アーレント」「日本鬼子」と続けて観たのは、自分にとって良いことだった。

このドキュメンタリーは、日本で公開されることがなかった。アンジェリーナ・ジョリーによる、第二次世界大戦中の日本での捕虜生活を描いた「アンブロークン」も同様である。こちらはまだ見ていないが、各所の情報を見る限り公開しない理由はないと思われる。

こういうものを反日だと一蹴する限り、日本がマシな国になる日はこない。

 

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