めちゃ久しぶりにこのテーマで更新します…。ほぼ忘れかけてました。
【最近気になった住宅】では、個人的に気になった住宅をテーマごとに三軒ずつ紹介しています。今回は「白カーテン」です。建築の話なのにまさかのカーテン。
カーテンは一番お手頃な壁
カーテンと建築で思い浮かぶのは、坂茂さんの「カーテンウォールの家」です。なんと外壁がほとんどなくて、カーテンで仕切られているという家でした。うろ覚えですが、確かお施主さんが町の人と会話するのを楽しみにしていて、町に対して開いている状態にしたかったとかだったような…。大胆な設計ですが、船に乗っているみたいな気持ち良さがありそう。
今年のプリツカー賞は坂茂さん。紙の建築が素晴らしい… カーテンウォールの家行ってみたい。 pic.twitter.com/2SO00C7hHM
— はっさく (@pegomastic) 2014, 4月 12
ただツイッター情報ですがカーテンは風で煽られるので取り除かれたらしい…。昨年は賃料35万で賃貸に出ていたそうです!もう借りられているのだろうか。見てみたかったなあ。
もう一つは、住宅じゃないんですがSANAAのツォルフェライン・スクールです。たくさん開いた窓が特徴ですが、個人的には窓とは無関係に天井から床までかけられた美しいカーテンの印象の方が強いです。
zollverein school of management and #design / SANAA - #essen - #germany #architect Kazuyo Sejima & Ryue Nishizawa pic.twitter.com/zrKmWUHWNp
— lenz vermeulen (@City_Furniture) 2014, 7月 2
Zollverein School in Essen by SANAA: http://t.co/PLbQSLpoQf Photo © David Kasparek #architecture #germany #zollverein pic.twitter.com/KHNKbuG5hu
— WorldArchitectureMap (@WAMdotORG) 2013, 9月 18
美しいドレスみたいですね。
カーテンは建築とは全く異なるもののように感じるのですが、光や風の媒介となったり視線をさえぎったり、住宅の中ではかなり重要な役割を果たしていると思います。カーテンをつけずに竣工写真を撮っている物件も多いのですが、どうせつけるのならカーテンがどうあるべきかもデザインした方がいいですよね。
そんなわけで、カーテンが気になった住宅を3軒紹介します。
読書と入浴のための詩人の家
設計:PARA DESIGN エリア:ニューヨーク州 物件名:HAFFENDEN HOUSE 敷地面積:105平米
構成が面白いので断面図から↓
1階はガレージ、2階は風呂+書架、3階は読書室+ベッド でほとんど壁がないシンプルな構成です。もうそれだけで面白いのですが、2階は書架の中にポツーンとお風呂が床に埋まって(!)ありますし、3階は床が筒状にカーブしています。詩人さんが一人で過ごす場所と考えると、なるほどという感じもします。
これは筒状の底の部分にベッドがポツンとある、なんとも不思議な読書室。
外壁は小さい半透明の穴がたくさん開いているのですが、あくまで採光のためで窓ではないようです。窓にはシリコンを流し込んでいるらしい。
この床にいきなりあいたお風呂がまた…。すぐ「湿気が…」とか気になっちゃうんだけど、そんなことは些末に感じられるようなスペシャルな空間でした。このカーテンは、お風呂が外に向かって丸見えなところに、本当にシャワーカーテンのように吊るされています。カーテンレールとカーテンの間にかなり距離がありますが、このかけ方は見たことがありません。通りから見ると、いきなりカーテンが浮いているように見えて面白いです。
図面見ると、本当にトイレとクローゼットくらいしか壁がないのね…。
VIA:http://www.para-project.org/2012/05/haffenden-house/
ひなたの階段室
設計:松岡聡田村裕希 エリア:茨城県 物件名:裏庭の家 建築面積:30平米
かなりコンパクトな住宅ですが、階段室に3分の1もの面積がさかれています。しかし、階段が幅広めに、居室に対して開かれているため部屋の一部として活用できるようです。下の写真、4枚の写真に見えますが2枚なのだ
階段室は南向きで、強すぎる日光に対する緩衝空間にもなっているようです。それにしても美しい階段だ。
とてもながーいカーテンで、階段室の窓を覆っています。
VIA:http://matsuokasatoshitamurayuki.com/works/house-on-backyar/
壊された窓と柔らかい白カーテンの家
設計:Brandlhuber+ Emde, Schneider エリア:ドイツ、ポツダム 物件名:Antivilla 建築面積:不明
いつも一番好きな物件を一番最後に持っていっていることに今気づいたんですが、この住宅(兼スタジオ)はめちゃくちゃ好きでした。もう、好き…っていう。あ、どうでもいいですねスミマセン。
ドイツ民主共和国時代の堅牢な下着工場をリノベした物件です。
この壊されたような爆破されたような窓は、手作業で打ち壊したらしい。もともとの軽い屋根を頑丈な屋根に変えたので、壁に大きい開口を開けられるようになったそうです。それにしても打ち壊すってスゴイ。
内側から見たところ。サッシってこんなつき方でいけるんだっけ…?ところ変われば手法変わるっていうことですか。
内装もめちゃ好みなんですが…。アヤナミコンプレックスだろうか。
ええと、カーテンの話をすると、こちらPVCカーテンといって断熱の役割もあるそうです。
このカーテンで区切る考え方は結構面白くて、極寒になるこの地域の冬は、ダイアグラムの真ん中のように広い面積をPVCで囲んで防寒エリアを狭くすることで空調効率を上げているらしい。やっぱり冒頭の壊された窓とぶっきらぼうなサッシがよくなかったんじゃ…
しかし、こういう寒々しいインテリアが大好きな自分にはたまらなかったです。壊された窓の感じも好き。さっきから「好きです」しか言ってないけど大丈夫か。
http://www.archdaily.com/627801/antivilla-brandlhuber-emde-schneider/
以上、白カーテンがポイントの家三軒でした。まだまだカーテンの建築にもたらす影響は研究の余地がありそうです。