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最近観た映画5本 トム・アット・ザ・ファームなど

 

最近観た映画の感想文です。新作・旧作あり。ネタバレあり。

 

ターミネーター新起動

ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド

imax3dで。あんまり面白くなかった(´ω`)一見きれいにできているようで、タイムトラベルの整合性もないしキャラクターも凡庸だし、アクションシーンもどっかで見た感が。一番最初にがっくり来たのがt800を胸のところで撃って倒したシーン。え、そんな簡単だったの?と思ったら、その後もt1000t3000それぞれ変にあっけなく倒すし、最後にものすごいご都合主義で旧t800が蘇るしでイライラした。初めて旧t1000が出たときの絶望感みたいなのがなくて、ドキドキしなかった。いろんな要素やキャラクターが出るのはいいんだけど、なんだか雑に感じた。気にせず楽しめばいいだけなんだろうけど、自分には合わなかったようだ。

t3000はlucyみたいな感じで、黒いどろどろの液体または粉末で表現される。瞬間移動を繰り返して歯が立たないんだけど、最後はなぜか旧t800に捕まえられて(さっきまでビュンビュン瞬間移動してたやないかーい)タイムマシンに突っ込まれて終わり。

良かったのは旧t800のキャラクターの描かれ方で、不器用で人間臭い。ただ結構あざとく感じてしまった。このキャラクターはターミネーターファンには好ましいはずなんだけど、もっと素直に楽しめなかった自分が残念だった(´ω`)

ちなみに3dで見る必要はないかも。

 

ブラインドネス

ブラインドネス スペシャル・エディション(初回限定生産2枚組) [DVD]

シティ・オブ・ゴッドの映像が良くて、同じフェルナンド・メイレレス監督の作品なので観ました。ジュリアン・ムーアなどのハリウッド俳優に混ざって、メインキャラクターとして伊勢谷友介と木村佳乃が好演しています。映画自体も面白かった。

突然視界が真っ白になってしまう奇病が世界的に蔓延する中、事実上放置された隔離病棟で起こる暴力や強奪などを描いています。

やはり真髄は映像の面白さでした。ドキュメンタリーのような断片的で粗い映像、主観的な映像で視界がぶわっとホワイトアウトしていく様子など、非現実的にも思える設定にすんなり入っていく撮り方がよかったです。

唯一目が見える役のジュリアン・ムーアが、初めは夫を支えることに徹していたのに、かなりひどい状況に陥って初めて集団を引っ張っていくような役回りになっていきます。そこははがゆく感じられるんだけど、リアルにその立場にあったら、そううまく立ち回れないだろうと思いました。

 

グランド・ブダペスト・ホテル

グランド・ブダペスト・ホテル [DVD]

やけに評判が良かったので借りてみました。ファーストカットから、雪山と青みピンクのお城のようなホテル全景。可愛らしいけど毒のある、緻密な絵本の中に入ったようでした。全てのコマが構図の色遣いも吟味されていて、良くできた絵のようです。とはいえ、「絵本みたい」というレビューは多いものの、本当にこんな絵本があるんでしょうか?似たような世界観の絵本があったら教えてください。

自分的にはこの辺かな~。

ヤコブと七人の悪党

ヤコブと七人の悪党

 

歌手のマドンナが筋を書いた有名な絵本。複雑ですがいい話で、絵も見れば見るほど色々書いてあります。 

 

迷路探偵ピエール ~うばわれた秘宝を探せ!~

迷路探偵ピエール ~うばわれた秘宝を探せ!~

 

大人気の迷路絵本。色遣いが全く違うんだけど、俯瞰で見たりズームで見たりする感じが近い、かなあ。

 

いわゆるコスモポリタン的な生き方をしたグスタフと、ファシズムによるコスモポリタン的世界の終焉を描いています。とはいえ、ストーリーやその背景よりも、登場人物の描かれ方や色彩・美術の魅力の方が印象的でした。ベルボーイのゼロとグスタフの交流もいいし、アガサも魅力的だったなあ。マダムDがまさかのティルダ・スウィントンの老けメイク!驚いた。色んな角度で、浅くも深くも楽しめる映画でした。歴史をよく知っていたら、もっと深く楽しめただろうになあ。

そういえば、先日グランドブダペストホテルの世界観を再現したPCゲームがリリースされていました。世界観やキャラクターが愛されている証拠ですね。

 

トム・アット・ザ・ファーム

トム・アット・ザ・ファーム(字幕版)

グザヴィエ・ドランの監督&主演作品。やっぱり面白いなあ。大好き。サスペンススリラーかと思いきやコミカル・シュールなシーンもあって飽きない。同性愛に限らず色々な視点で見られるのでいい映画なんだと思う。

途中から寝室の配置が変わっておりトムはフランシスと関係を持っている節があって、身も心も囚われている様子なんだけど、別の女の存在から目が覚めて逃げるところはdv男から逃げる女の子のよう。

フランシスが最後に着ている服とエンディングの音楽のせいで、「アメリカ=dv男?!トム=カナダ?!」という風にも思えてしまう。醜い傷跡をさらしながらそれでも生きている男は、例えば日本なんだと思った。「わたしはロランス」の時の蝶々のような、やけに気になる(ちょっとだけわざとらしい?!)モチーフの使い方だ。そういえば、この映画ではロランスのような派手なギミックは少ない。それでも面白かった。

ちなみに、トムが立ち寄るバーのバーテン役はグザヴィエ・ドランの実父マヌエル・タドロスだそう。個人的にはあのシーンの演技が一番いいなと思ったので、父親の前であの演技ができるのがスゴイなと思った。

いかにも才能あふれるゲイの方っぽい、美意識と自意識の塊のような監督インタビュー動画が本当に良かった。ニヤニヤしながら見ちゃった。「自分」というものを執拗に意識せざるを得なかった人生を想像すると、居心地が悪いような、でも羨ましいような気持になる。彼の作品は今後もチェックしていきたい。

まだ観てないやつ→「胸騒ぎの恋人(出演・監督・脚本)」「Mommy(出演・監督・脚本)」「エレファント・ソング(出演のみ)」年に一、二本は出しており、カンヌの常連。本当に天才だと思うんですけど…ってみんな知ってるか。

 

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (字幕版)

気になっていたけど観たことがなかったので借りてみた。

いきなり余談ですが、DVD自体が古すぎて細かい傷のせいで鑑賞できず、ツタヤディスカスにメールするとすぐに「交換します。お詫びにもう一枚何かお貸しします。」という返信がきて「ツタヤディスカス、ちょっと侮ってたけどいいじゃん!」と思いました。

本題に戻ります。

変な題名の映画だなーと思っていたのですが、そもそも「ストレンジラブ(=奇妙な愛)博士」という役名の人がいるのね。間違いかと思ったけれど、「ストレンジラブ博士 または~云々」だとパンチに欠ける気もするし、わざとなのでしょう。そもそも、ドイツ語の名前を無理やり英訳した変な苗字という設定が面白いので、それをそのまま横文字にしちゃうと面白さが伝わらないということなんでしょうね。出演者はみな特徴的な名前を付けられていて、その由来を考えるのも楽しいです。

とはいえ、肝心のストレンジラブ博士はインパクトが強いものの出番はそれほどありません。ストレンジラブ博士、マンドレイク大佐、マフリー大統領の3役はピーター・セラーズというイギリスのコメディアンが一人三役演じているらしい!2回目みて、マンドレイク大佐とストレンジラブ博士は分かったけど、大統領はストレンジラブ博士と同時に出てくることもあって全く気付きませんでした。発声も全然違うんだよー。役者さんはすごい。

完全なブラックコメディで、「傍から見ているとありえない結末に向かっているのに、正しい行動がとれる人がほとんどいない状態」が描かれています。最初は皮肉に面白く見てたけど、最近の日本の政治動向を見ていると、笑えないよなあ…。ストレンジラブ博士やジャック・リッパー将軍(切り裂きジャック!?)のような「完全に頭おかしいひとたち」というのが悲劇の直接の原因ではあるんだけど、そういう異常分子を想定していない仕組みにしてしまっている上、事態が起こってからの動きは完全な後手、しかもこの期に及んで各々の欲望で右往左往…。風刺漫画みたいですが、現実にありそうな怖い話でした。

一番怖いのは、職務を英雄的に全うしただけだと思い込んで死んでいくキングコング少佐(もといコング少佐)。マフリー大統領やマンドレイク大佐の尽力でなんとか収束したかもしれないのに、この方の猛進により台無しになったわけです。軍人は職務上しょうがないのかもしれないけど、本当に「自分がなぜそれをするか」ということを、全く考えないのが怖いし、組織にいるとそういうことに陥りがちなんだと思います。気を付けよう。

1964年の映画らしい。もう50年前!全然古さを感じない、面白い映画でした。