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最近観た映画「バケモノの子」「エル・トポ」など

 

バケモノの子

バケモノの子 (角川文庫)

普段アニメーション作品をほとんど観ないんだけど、「東宝作品のタダ券があるよ」と誘ってくれた友達のお供にくっついて行きました。東宝作品なら「進撃の巨人」が気になっていたけど、二人で映画見て楽しく帰るには適しそうになかったのでやめました。

口げんかのシーンにタップダンスの音響が入っていたり、渋谷を殺人クジラが悠々と泳いだり(しかも美しかったり)、映像と音楽が素敵で楽しく見られました。その後のエピソードにイマイチ反映されていないのが気になったけど「達人巡り」のシーンも好きでした。みんな個性的で魅力的。なぜだか「○人の仙人に会って来い」みたいなエピソードはもれなくわくわくします。

一郎彦との最後の戦いで、熊徹が剣となって九太の胸に刺さっていくシーンがクライマックス&感動しどころだったと思うんですけど、こういう「光パー」の「低音ドーン」の「これは感動するやろ!ドヤア」的な描き方、それまでに十分物語が盛り上がっているとプルプルしながら号泣できちゃう感じなだけど(マトリックス3のミフネ船長が亡くなるシーンとかね!)、そうじゃなかった時もやっぱり体が勝手に感動しちゃうじゃないですか。夕日を見たら無条件に泣きたくなる感じにも似てるんだけども。そういう時ってなんだか腹立ちませんか。無理やり感動させに来た…やめりょー みたいな 分かる?全然わかんなかったらごめんなさい。笑 いやすごくいい映像だったんだけども。

なんにせよ、絵の美しさに「日本のアニメーションもすごいなあ」と感動した作品でした。アニメーターさんに敬礼(`д´)ゝ

 

エル・トポ

エル・トポ HDリマスター版 [DVD]

ツタヤディスカスで映画を借りているんだけど、発注したタイミングとのタイムラグが大きいため届いた頃には「なんでこれ借りたんだっけ…?」ということがよくあります。これは何で予約したのか本当に記憶になくて、あまりにヘンテコな映画なので観進めるうちに「????」となって楽しかったです。

基本的に人が死にまくるんだけど、演出が嘘っぽいのでそれほどグロく感じません。内容は…なんだろう…「神話!西部劇★」って感じかな…?「天然の変人が自由気ままにつくった感」が楽しい作品です。障碍者や動物に対する扱いのせいで、日本未公開。NAVERまとめによるとジョンレノンや寺山修二が絶賛したらしい!えー!笑

 

あらすじ※むちゃくちゃ長いです。

<生前>

①主人公エル・トポはガンマン。息子(なぜか裸)を馬に乗せ、成長の旅に出ている。とある街に着くと、人々が惨殺されていた!こんなひどいことをした悪人、「大佐」をやっつけることに。

②「大佐」を倒し、なぜか去勢したのち、息子を捨て、代わりに美人の大佐の女を馬に乗せて出立。エル・トポ、正義の味方かと思いきや結構ヒドイ!

③大佐の女にそそのかされ、4人の達人を倒しに行きます。途中、水辺で笛を吹いたり、カメの卵を見つけたり見つけなかったり、砂山に埋まって出てきたりと気ままに振るまいます。この辺の映像は瑞々しくてなかなか良いです。

④一人目の達人は純粋なキリストのような存在で、腕のない男と足のない男のコンビに傅かれています。エル・トポ、なんと落とし穴を掘るという卑怯過ぎるやり方で彼を倒します。いきなりひどすぎる

⑤アマゾネスのような男の声の女がなぜか二人目以降の達人を案内してくれることに。しかし、大佐の女はアマゾネスと恋に落ちてしまいます!それはさておき二人目の達人はマザコンで手先が器用な男です。エル・トポはやはり卑怯で、達人の母を怪我させて達人を油断させ、後ろから撃ちます。本当にヒドイもはやガンマンじゃないだろ

⑥三人目の達人はウサギをたくさん飼っている優しげな男です。ここでも何か卑怯な手を使って勝つんだけどなんだったか忘れた。そんなことより暑さのせいでウサギがどんどん死んでしまい、本当にヒドイと思いました。これにはさすがのホドロフスキー監督も後悔しているようです。

⑦四人目の達人は虫取り網しか持っていない、仙人のような男です。銃弾を虫取り網で跳ね返すという謎技で、なかなか手ごわいのですが、「お前は私を殺したいのか」「そうだ」という会話ののち、あっさり自殺して一人勝ちしてしまいます。エル・トポはショックで狂ってしまいます。

⑧叫び暴れながらそれぞれの達人の墓を破壊して回り、最終的には壊れかかった吊り橋についたエル・トポ。アマゾネスはエル・トポの手のひら、足の甲をそれぞれ撃ちます。最後は大佐の女が脇腹を撃ち、ちょうど貼り付けにされたキリストのような姿でエル・トポは死んでしまいます。そこに身体に色々な欠損のある人たちが大勢やってきて、エル・トポを連れ去ります。アマゾネスと大佐の女は馬で去ります。

 

<死後>

①洞窟の中で目覚めるエル・トポ。小人症の女がエル・トポの世話をし、エル・トポは神として奉られています。洞窟には様々な身体障碍者や病人がいて、出口がはるか天井にしかない洞窟の中で閉じ込められて暮らしているようです。

②シャーマンの老女に大きなカブトムシを進められ、不味そうに食べるエル・トポ。(実際めちゃ不味かったらしい)何か幻覚作用があったようで、エル・トポは覚醒します。毛を剃り落とし、洞窟の人々のために突破口を開けることを約束するエル・トポ。いい人になったらしい。

③小人症の女と二人でふもとの町に下りてきたエル・トポ。この町は激しい人種差別があり、フリーメイソンみたいなマークを信仰しているようです。住人はみんな不真面目・ふしだらで、エル・トポたちは「洞窟よりひどい」と言いながら大道芸をして日銭を稼ぎます。ハートマークの付いたパンツをはいて、町の人気者になります。

③小人症の女と結婚するために教会にきたのですが、なんと牧師の男は捨てた息子でした!「お前を殺す」という息子に、「洞窟の人たちを解放してからにしてくれ」というエル・トポ。息子もしょうがなく洞窟の穴掘りに参加します。

④ついに洞窟に穴をあけ、みんなを解放しました。大喜びで町に流れ出る洞窟の人たち。ところが、人種差別が激しい町の人たちは、障碍者たちを見てみんな銃殺してしまいます。(銃殺シーンは血糊の代わりにスイカを投げつけているらしく、よく見れば「あ、すいかがついてる」と分かります。)

⑤銃殺された洞窟の人たちを見て発狂したエル・トポ。今度は町の人たちを皆殺しにしてしまいます。エル・トポは死人なので、撃たれても死なないのです。そういえば死人だったことをすっかり忘れていました。

⑥自身に火をつけ、燃えていなくなってしまうエル・トポ。その頃、小人症の女はエル・トポの子供を産んでいました。女は子供をつれ、エル・トポの息子と連れ立って、町から去ってしまいます。

 

以上。お分かりだろうか…。

なんかすごいんだけど、意味不明。でも忘れられない。

ちなみに、エル・トポは監督自身ですし、他の出演者は音響や大道具など演技の素人が多いそうです。印象的な美女である大佐の女や、小人症の女も素人。大佐の女に至っては危ないお薬でラリっているところをスカウトし、撮影後行方不明になったそうです…。なんなんそれ。もちろん、ちゃんとした役者も数名いるそうですが、お金がなく落ち目の人などが中心だそう。

死んで水に浮くシーンなど、やはり役者さんじゃないからか露骨に水が顔にかかるのを避けていたりして「死んでないじゃん…」と思ってしまいますし、エル・トポが人を撃つシーンは撃たれる人が逃げずにきちっと待機しているのでちょっと笑えてしまいます。グロいはずなんだけどちょっと笑えてしまうので、このバランスはむしろ良かったかもしれない。ただ、動物はリアルに殺しています。これはないだろうと思います。監督によると、殺処分される動物を集めて使ったそうですが…。

こんなんで、こういうすごい映画が撮れるんだな~…。いやはや、驚きました。

 

博士と彼女のセオリー

THE THEORY OF EVERYTHING

ホーキング博士とその妻ジェーンの物語。この映画は、ホーキング役をしたエディ・レッドメインが素晴らしかったです。この役者さん、どこかで見たことある…と思いつつ、気づいたのは物語がだいぶ進んでからでした。あまりに痩せて、ALS患者になりきっていたので全く分かりませんでした。彼は「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンの娘婿をした人でした!その時は、歌がとても美しく、イケメンの王子様キャラで出てきていたのです。この変わり様。

レミゼでのエディ

博士のエディ

なんか右側に女装画像くっついてるけど、左の方ね。

 

見た目もそうですが、ウィットに富んだことを言った後にいたずらっぽくニヤリと笑うところなど、周りの人が惹かれてしまう感じがよく出ていたんですよね。

話としては実話ベースとのことで、「?」な部分はありつつも誰も傷つかないように描かれていて良いと思いました。ジェーンの生きる強さがすごく良かったなあ。40年も成人男性を介護しつつ、子供を3人育てるなんて気が遠くなりそうです。介護者を雇うのは、そんなに難しいことだったんですね。ここはもう少し説明が欲しかったかもしれません。

ホーキングとジェーンの関係性に軸足があって、研究内容などはそれほどクローズアップされていませんでした。もう少し、ホーキングが発見したことがどうすごかったのか、世の中にどう影響したのかと言うところが描かれていたらいいのにとは、ちょっと思いましたね。字も書けないのに、あの「装置」を手に入れる前にどうやって一番大事な研究を進められたのかも気になりました。