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レヴェナント:蘇りし者(2015年アメリカ)

 

 

※評判のいい大作なのですが、個人的には期待ほどではなかったという内容です。作品ファンの方は読まないでね。

レヴェナント:蘇えりし者【DVD化お知らせメール】 [Blu-ray]

夫が「レヴェナント…つながれざる者?」と言っていて「それはジャンゴ!確かにディカプリオ出てるけど」とツッコミましたレヴェナントです。クリードは「チャンプを継ぐ者」だし、副題に「~ナントカ者~」という邦題はけっこう多いパターンなのか。

 

この映画は本当に楽しみにしていて、「4月になったらレヴェナントが見られる!」という今年前半のメインイベントの一つだったんですよ。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督は「バードマン」が素晴らしかったし、撮影監督も3年連続アカデミー撮影賞を受賞しているルベツキ監督。レオナルド・ディカプリアがアカデミー主演男優賞を受賞したことでも話題になっていました。ちょうど娘がばあば家に泊まる日があったので、喜び勇んで観に行きました。「公開翌週のレイトショー、花金、IMAX」というかなりいい条件の回だったにも拘らず、場内はスカスカでした。アレ…?たまたまだろうか。

 

北アメリカが未開だった頃の話

1800年代、まだ先住民がいた時代の北アメリカ。ディカプリオ演じるヒュー・グラスは、毛皮を取るためにキャンプをつくっているイギリス人集団のハンターのひとり。インディアン先住民からすると、大切に狩ってひとかけらも無駄にしなかったけものを毛皮の為だけに大量に殺し、毛皮だけはいで捨てる白人は悪質な侵略者でした。作中ではグラスは原住民と結婚し一児をもうけますが、イギリス人将校に村を焼き払われて妻と原住民の仲間を全て失っています。生き残った混血の息子と一緒にイギリス人キャンプに属し、けものから毛皮を剥いで捨てる毎日に戻り(?)ます。うーん?

 

「原住民と結婚した男」という設定に無理があったのでは?

原作ではグラスは原住民とは何も関係なく、ただ自分を見捨てた仲間に仕返しするだけの話なのでシンプルなのですが、映画の「原住民と結婚し、原住民に属していた男がイギリス人キャンプにいる」という設定が解せなくて…。将校は明らかに個人的にではなく集団意識で村を焼き払っているような感じなので、そこに戻る(というか元々属しているのか?)ってどうよ。と思ってしまいました。「グラスはされたことを絶対に許さない男」というのが根本にあるんですよね。原住民に受け入れられなかったという話なのかもしれませんが、キャンプの方にもグラスを嫌っている人が何人かいるし、混血の息子はキャンプで一部の人に毛虫のように嫌われているのです。日常的に原住民が白人を襲ったり、イギリス人は村を焼き払ったり、フランス人は原住民の娘を誘拐したりするので当然の結果です。親子で原住民のポー族のどこかに属するか、放浪していた方がよほど健全そうな気がしたのです。

 

また、背景に侵略という重いテーマがあるのに、主な話が「白人が白人に報復する」というのもよく分からない。最後にトム・ハーディー演じるフィッツジェラルドが「こんなチンケな復讐のためにここまで来たのか?」と言うシーンがあるのですが、ほんとそうだと思いました。復讐しても息子は帰ってこないし、そもそも白人のキャンプにいる限り、息子はずっと危険な状態にあったのではないかと思います。生前、息子が仲間とトラブルになっている時に、「ここにいる限り白人に刃向うな、俺の言うことを聞け!」と凄むグラスを見て、早く息子が安心して暮らせるところに行きなよ…と思ってしまったのでした。というか、あの時点で村を焼き払われてから10年くらい経っているんですよね。ツラい。

 

目がくらむ映像美

とまあ、ストーリーと設定には疑問しかなかったのですが、この映画の良さはそこじゃないんだろうなとは思います。映像も音響も本当に素晴らしかったです。大自然の美しさ、脅威、神性を描き切っている映像。よく空を見上げたショットが入るのですが、その目がくらむような木の高さと空の高さ、少しグラつかせることで一層眩むような効果がありました。顔のどアップが多い映画ですが、必ず奥に美しい自然がしっかり映っています。その遠近感が狂う感じのせいか、見ていて本当にクラクラしました(^▽^;)そうそう見られない映像だと思います。

BGMは自然の音、主人公グラスの息遣いがほとんどで、いわゆる音楽みたいなものはエンドクレジットでしか流れません。この坂本龍一さんの音楽もすごく良くて、初めてサントラが欲しいなと思いました。

 

それにしても疲れました。子連れの母クマを殺したり、バッファローを仕留めたオオカミを殺して獲物を奪ったり、馬の内臓をどかして暖を取ったりなど「生き残るためには善も悪もなし!」という感じでして…。美しい自然を背景に、うわ…きっつ…というシーンがずっと続きます。感情抜きのネイチャーサバイブものとして見ればいいのかもしれないけど、ディカプリオの熱演で痛そう・寒そう・きつそうというのがダイレクトに伝わってきて、かなり辛い映画です。