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鉄くず拾いの物語(2013年、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・フランス・スロベニア)

鉄くず拾いの物語 [DVD]

「ノー・マンズ・ランド」のダニス・タノヴィッチ監督作品です。ノーマンズランドは過去観た映画の中でも一番と言っていいほど印象的で、映画って本当にいいものだなと思わされた作品でした。ボスニア紛争の双方の前線(=ノーマンズランド)で、敵対するセルビア人とボスニア人が身動き取れなくなってしまい…という話。戦争や紛争の本質的な姿とヒューマニズムについて、あまりに鮮やかに描き切った作品だと思います。

 

タノヴィッチ監督はボスニア生まれで、ボスニア紛争の影響を強く受けているようです。本作「鉄くず拾いの物語」もやはりボスニアの話で、ロマ民族の貧しい家族に焦点を当てたストーリー。特徴は、本人が本人役で演じているということ。当然素人なので素朴な演技ですが、現実はこんな感じですよね。本職の役者の演技は訴求力がすごく強いんだなーと気づかされました。とはいえ子どもたちは自然に伸び伸びとしており、夫妻の親密さもよく現れています。監督は長い時間をかけて良い関係をつくり、不自然にならないようにかなり注意深く演出したんだろうなと思いました(実際のところは分からないのですが…)。

貧しい家族の暮らしをショーアップせず淡々と追っているので、けして面白いわけではありませんが、こういう作品を観ておくのも大事だなと思いました。この演技で主演の男性はベルリン国際映画賞の男優賞を受賞し、仕事と保険証をもらったとのことです。これも一つの映画のあり方で、とても正しい姿なんだろうな。