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ボーダーライン(2015年、イギリス)

ボーダーライン(字幕版)

メキシコの麻薬カルテルと戦う話、と思いきやけっこう違いました。ネタバレ注意。この作品は一応見る前にネタバレしない方がいいかも。

 

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予告編をみて、なぜかベニチオ・デル・トロがカルテルの親玉だと勘違い。エミリーブラントが「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャスティンのように勇ましくデルトロと戦う映画だとばかり思っていました。「頑張れエミリー!」な気分で見始めました。


実際は、エミリーブラントはデルトロとジョシュブローリンに良いように使われるだけの人でして、、、「この人必要ですか?」という気持ちに。男の世界で徹底的に無視されるお嬢さん、足手まといで弱い女の子、しかも誰にも特に大切にされていないという演出で、何だか可哀そうになりました。中盤までエミリーに感情移入して見ていたので、いや~な気持ちに。最終的にはデルトロが主役に交代するようなつくりでした。

 

エミリーがアメリカの理想の象徴とすると、正義と「正しい手続き」で通そうとする彼女は麻薬カルテルと戦う現場では全く意味がないという話を描いているのだと思うんですが…ドキュメンタリー映画の「カルテル」などその他のカルテルに関する情報源を見た後では、その話自体に驚きが無かったので、拍子抜けしてしまったのでした。初めて見聞きした麻薬カルテル関連のものがコレだったら驚くだろうけど。

単純に頑張ってる女性が間抜けに見える構図にイライラしただけかもしれません。エミリー役がもっとヒーローっぽい若い白人男性だったら違和感無かったのかなー。エミリーが似合わないヤケタバコとかヤケ酒に走る姿が痛々しいだけでした。

 

短パンサンダル履きでいかにも癖の強そうな国防省の長官役がジョシュ・ブローリンでして、あまり見せ場のない彼の方が、出ずっぱりのエミリーよりよほど印象的でした。飄々としたおじさんで、無責任にエミリーを麻薬捜査に引き入れます。最初から都合よくサインしてくれる人にしておけば良かったのでは…。そのテキトーさもまた、ジョシュブローリンがいい感じに演じています。

あとはデルトロが単身カルテルのボスまで行きついて、一人で全部始末するのですが、、、いくらなんでも護衛少なすぎない???中ボス→一人で車に乗っていた 大ボス→護衛が玄関付近に4・5名いるだけで、食卓には丸腰の本人と家族のみ とあまりにあっけない最後にポカーンとなりました。それまでの恐怖の作り込みがすごかっただけに。大ボスがデルトロに比べて全く迫力がないのもなんだかなー。デルトロに勝てる迫力のチョイ役というのも難しいのかもしれませんが。

 

とまあ、人物配置と展開には不満があったんだけど、序盤の恐怖の作り込みは素晴らしかったです。

BGMがほとんどない作品なんだけど、時折入る「ズーーーーーー…ン」という効果音がめちゃくちゃ怖かった。

また、冒頭のアジト発見からフアレスでのカーアクションまでの緊張感。身動きが取れなくなるほど映画に没頭させられました。時折入る空撮による映像や、暗視スコープでのミッションの映像も大変魅力的でした。