フランス、パリに住む14歳の少年二人を描いた映画。思春期特有のコンプレックスやイライラと、まだあどけなさのある容貌や行動のバランスが何とも良かった。ドリーミーな演出も雰囲気よし。
原題は「ミクロとガソリン」で、これは主人公二人の少年のあだ名にちなむ。絵を描くのが好きで、自分がないことや母親が過干渉なこと、チビであることが悩みの「ミクロ」と、家が貧しく自立した創造的な少年「ガソリン」。そこにミクロが片思いする大人びた少女ローラやいじめっ子ステファンが加わる。
途中から主人公二人がつくる小屋型の車でのロードムービーになり、道中の事件がコミカルに描かれる。
お決まりのストーリーだが、主人公たちのリアルな葛藤と夢の中のような世界観が溶け合った独特の雰囲気が魅力的。会話も含蓄があったりキザだったりコミカルだったりして、登場人物たちのことを好きになってしまう映画だった。
主人公が恋する少女の、微妙な女っぽさがいい。衣装もオシャレでかわいかった。
終始ゴンドリー監督らしいドリーミーな映画だが、最後はリアルに終わる。それぞれの現実に引っ張られ雲散する夏休み。しんみり。少女のカウントダウン(カウントアップ?)も効いていた。