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ハドソン川の奇跡(2016年、アメリカ)

ハドソン川の奇跡(字幕版)

エンジンがガンの群れを吸い込んだことによる故障でエンジンが止まってしまった旅客機。滑走路に戻ってもいいが、その場合市街地の上を通らなければいけない。機体が地上に落ちるまでは200秒しかない。機長の判断でハドソン川に着水することを選択し、奇跡的に全員生き残ったが、機長の判断を国家運輸安全委員会で糾弾されることとなって――というはなし。実話なのでネタバレもなし。

糾弾されるうち、機長(サリー)も自分の判断が正しかったのか分からなくなるが、一方で自分が経験してきたことに対する自信もある。何度も脳内で滑走路に戻った場合のシミュレーションをして、NYの市街地に派手に落ちるシーンが衝撃的だった。

委員会のメンバーが極悪人のように見えがちなので、彼らも真面目に仕事してるだけなのよね…と思って見ないとおかしなことになる。ただ、彼らが悪人に見えていることは物語の盛り上げに少なからず寄与していることも事実。こういう構造って映画の必要悪なのかなー。

 

基本的には、「やっぱりクリント・イーストウッドってスゴイ」としか言いようがない、素晴らしい映画ではある。

ただ、完全に穿った見方なんだろうだけど、クリント・イーストウッドがトランプ支持者なのもあって“Make America Great Again”的世界観に感じてしまった。国旗を掲げて国歌でも歌いそうな雰囲気だ。「昔からある職種の職業人(白人男性)が、自分の技術を信じてニューヨークを救う感動的な話」というのがかなり(旧)アメリカ的に思える。サリー機長が経済的な問題を抱えているというエピソードも然り。サリー機長の素晴らしさに委員会のメンバーが感動して言うセリフはキザすぎだ。

トムハンクスは昔から「超優秀な職業人」という役柄を演じることが多くて、みんな同一人物に見えてくるようになってしまった。眉間にモリっとシワを寄せて正しいことを言うのはさすがに飽きた。