全編せりふなしのアニメーション。具体的な事象を描くというよりは、水彩画で描いたイメージの中を「ニャッキ」のようなキャラクターが冒険する意欲的な作品。メッセージはかなり社会的で、テーマは抑圧され搾取される民衆、環境破壊など。
現実に起こっていることに寄り添うようなストーリーで、いわゆるお話的なカタルシスがない。そこが合わないと物足りなく感じるかもしれないが、音楽や映像の面白さがあり、実際にひとつの人生を生きたような感覚があり、世界観が大きく豊かな作品だと思う。
牧歌的だが恐怖がすぐそこにあるような感じがする少年時代、禍々しい機械のような都会の片隅で缶詰を食べて生きる若者時代、民衆の怒りがうねりになって燃え上がり、落とされる様子、どれも素晴らしく忘れられない映像になった。いつの間にか年をとった少年と、壊れた家の描写はかなり重い。
4歳の娘がアニメだと思って一緒に見始めたんだけど、意外とはまって最後まで見ていた。面白かったらしい。