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人魚姫(2016年、中国・香港)

人魚姫 [DVD]

 

現代中国を舞台に、人知れず暮らしていた人魚が開発によって生存の危機に遭い、開発を進めていた会社の社長を誘惑して仕返しをしようとする。

これでもかとコテコテなストーリーにコテコテな演出を重ねていくスタイルなんだけど、想像内の一歩向こうくらいの驚きや楽しさがあり、映画の楽しさが詰め込まれている作品だと思う。素朴な人魚ちゃんがゲス野郎の社長を改心させるなど、もうこの話何度目――!というような展開なのに思わずホロリ。

それは、素朴な少女の本物の素朴さとか(オーディションで選ばれた新人らしく、かわいいんだけど割とマジで素朴な顔をしている)、ゴミゴミした民家や屋台のリアルな汚らしさとか、傷ついた人魚たちのゾッとするようなビジュアルとか、そういう細かいリアリティーの賜物。全篇コミカルなのに残虐レベルがけっこう高くて、子供が見たらショックを受けそうな感じだ。テーマがテーマなので、きちんとそういうことを「痛そうに描く」ということを徹底しているは、むしろ好感が持てた。

特筆すべきはCGのしょぼさで、ここまで突き抜けるとむしろ「ファンタジーはファンタジーなのだ」と妙に納得させられる。