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ネオン・デーモン(2016年、フランス・デンマーク・アメリカ)

ネオン・デーモン [Blu-ray]

 

制作中の情報の時から「絶対好きなタイプの映画だ」とチェックしていたものの、ほとんど公開されずにいつの間にかDVDになってしまっていた作品。やっぱり好きだったー。夫は「つまんない」と言っていたし、正直その理由も分かる。ストーリーはけっこう普遍的なんだけどすごく「よく見る話」なうえに、とても回りくどい分かりづらい表現でそれを表現しているので、ちょっとイラッとする。

ただ、ヴォーグから抜け出してきたようなビジュアルがいちいちパキッと決まっており、ビジュアル重視派としてはたまらなかった。動きやセリフがかなり抑えられており、映画なのに静止画を見ているような独特な雰囲気と、機械音のような音楽が耳に残るファッショナブルな映画。原色にグリッターがちりばめられた独特の色使いも魅力的だった。なんでも、レフン監督は色覚異常があるらしい。「美少女が象徴的に死ぬ」映画に外れなし。(めちゃくちゃ偏った見方でスンマセン)(しかも唐突にネタバレ)

 

***

 

田舎からLAに出て来たモデル志望の16歳。モデルたちと、モデルを取り巻くカメラマンやスタイリスト。16歳少女は逸材ともてはやされ、モデルたちは危機感を感じ――。そこはやはり、「センパイからのいじめ」及び「少女性の喪失」「慢心」そして「身を持ち崩す」ですよね、ハイ。安心してください、その通り進みます。この映画だと、そういう泥臭い事は全部「※そういうイメージです」というような象徴的シーンが流れるので、何が何だか分からない。むしろそこが良い!

ネコ科の肉食獣に「少女の部屋」を荒らされ、年上の男に薔薇を贈られて失神、ステージでは「逆三角形の何か」に襲われ青から赤に変わり、「エル・ファニング」から「悪・ファニング」に変身。そこからも泥臭く身を持ち崩すシーンを描いたりはせず、突然センパイに「食われる」という最大の謎シーンでクライマックスを迎える。あ、忘れてたけどエルを殺したスタイリストが満月を見ながら失禁するシーンの方がナゾだったわ。これは出産・生まれ変わりのメタファーか何か?(そういえば、失禁シーンのある映画にも外れなし、だ。)

ここまで読んで、「なんだかめんどくさい映画だな…」と思わない人は、あまりいないかもしれない。

 

綺麗な青い目玉をぱくっと食べるラストシーンも好きだったし、エンディングの砂漠を歩くエルファニングも良い。全てが一枚の絵画のように決まっていて、その中心にいるエルファニングと周りの女性たちが瑞々しく、まさに完璧だ。

ただ、個人的には劇中で美女だと絶賛されるエルがそこまでタイプではなかったため、「君は完璧だ」「人々をひきつける才能がある」「その鼻は本物?(←!?)」などのセリフが嘘くさく感じてしまった。周りのモデルたちの方がよほどキレイに見えるけどなー。好みの問題か。