ダニエル・ラドクリフが死体役!という奇天烈さで、見ないわけにはいかなかった。見た結果、思った以上に変な映画だった。完全に一人相撲みたいなドリーミーな映像や下ネタが許容できればけっこうおもしろいのでは、と思う。個人的にはそんなに好きな題材ではなかった。
ネタバレになるので見る可能性のある人は注意。
精神が不安定になり失踪したストーカー男の精神の旅を描いた映画。死体のラドクリフ君はまあ普通に死体なんだが、ストーカー男の脳内では自分自身を認めてくれる第3者的立場として出現する。彼ら二人(?)の友情があまりにリアルに描かれているので、一人相撲なはずなんだけどなんだか泣ける感じだ。
たぶん、ストーカー男は、自分のことを劇中にたびたび出てくる「オナラ」みたいな存在だと思っていたんだろう。気まずくて、誰もが自分のものじゃないと否定したがって、臭い。父親にもいないもののように扱われている。
その「オナラ」を、新しい場所へ連れて行ってくれるエンジンとダイレクトに描き直していている。何もしないはずの死体に自分の姿を投影して、バディもののように描いているのが、コミカルで温かい読後感につながっている。
まあでも、全部妄想だと思うとけっこう怖い感じではある。ストーカー男に幸あれ。