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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年、アメリカ)

シェイプ・オブ・ウォーター (オリジナル・サウンドトラック)

先日のアカデミー賞で作品賞をとっていました。めでたい。

この作品はかなり楽しみにしていて、公開初日にいそいそと見に行きました。その日はアカデミー賞とる前だったけど満席だったので、かなり注目度は高いみたいですね。

ギレルモ・デル・トロといえば、スペインの内戦で翻弄される少女のダークファンタジーものである「パンズ・ラビリンス」が非常に、非常に好きで(同作はアマゾン・プライムで視聴できるので未見の方はぜひ見てほしいです)、この作品はパンズ・ラビリンスとほぼ同じような構成でした。人物配置もほぼなぞらえられるくらい。社会的なイシューとドリーミーな世界感が同居するところ、異形なのにどこか好感が持てるクリーチャーなど、さすが。

半魚人の目がマジで魚です。魚に手足が生えているといった方が近いかもしれません。この半魚人、次第にかっこよく見えてくる…なんてことはなくて、やっぱり最後まで魚!という感じでした。それでも、やはり最後は二人の恋にウルウルしてきてしまうのだから不思議です。

 

主人公のイライザは声が出せないけれど感情表現はかなり得意な方で、精神が安定していて親友もいるし、ミュージカル好きで映画館の上に住んでいる楽し気な人物。この人、この映画の登場人物の中で一番幸せそう。そこがパンズ・ラビリンスとの大きな違いといえるかもしれません。イライザを中心とした生活風景が魅力的でしたね。ゲイの親友と隣同士に暮らす部屋がまた良くて、アトリエにある色んな絵も見どころでした。

 

そういう魅力的な「小さな暮らし」に非常に分かりやすく悪として描かれたマッチョイズム、レイシズムが暴力的に絡んできて、小さな暮らしが精神世界に飛んでしまう、という構造が完全にパンズ・ラビリンスでした。けっこうキツめのリンチ描写もあります。この辺りは映画的なありきたりさを感じて、少し物足りなかったのだけど、えてして傑作というのはストーリーが王道だったりするのかも。

映画としてはパンズ・ラビリンスの方がだいぶ好きでした。