MENU

ミクロな視点で全体をつくる「くまのもの展」

隈研吾さんの素材をテーマにした展覧会が東京ステーションギャラリーで開催されています。展示作品数がとにかく多く、モックアップあり、模型あり、書下ろしの文章ありでけっこう見ごたえがありました。何より展覧会の構成が良くて、小さい頃の記憶から始まり徐々に様々な素材に手を伸ばしていくところを追っていくと、不思議な感動が生まれます。手のひらに乗るような小さいものが、巨大な建築物になっていく不思議さ。

 

展示室は「木」「紙」「石」「ガラス」など素材ごとに分かれていて、それを串刺しにする「粒子」「編む」「積む」などの操作を、どのくらい、どう組み合わせて加えるかによって、素材ごとの系譜をまとめるという構造でした。一つのテーマで連続的に様々な作品を発展させていくのが面白かったです。最初は小さな東屋や内装から始まり、徐々に大きい建物へ、少しだけ展開した別の機工へ。ディテールがたくさん出てきて、そこに新しい技術や優秀な技術者が紐づいて語られるのも魅力的でした。

 

建築家にとって、自分の興味があるテーマというのは一生を通じてあまり変わらなかったりするので、小さい展示会場やちょっとした内装でもずっとそれをやり続けていくことが大事なのかもしれないと思いました。隈さんは素材の小さい単位のことを建築全体に展開していく手法が多いので、特に小さい作品がうまく機能しているのかもしれません。

プロジェクトに終わったものや、ただの展示スペースや家具などでもきちんとまとめて、系譜立てて説明するのが大事なんですね。色々と勉強になりました。