1967年に起こったデトロイト暴動で、3人の黒人青年が無抵抗で射殺された出来事を描いた映画。キャサリン・ビグロー監督作品。
個人的なビグロー監督のイメージは
・社会派
・ずっと緊張が続くので非常に疲れる
・基本的には悪を描くのだけど、悪い側を100%悪く描かない。善側の悪いところも積極的に描く。
・後味が悪い
みたいなイメージがあり、ほぼ100%上記のイメージ通りの作品でした。しんどいけど、こういう社会的な映画も見とかななー的な…。
密室で白人警官に虐待される黒人青年たちのシーンが1時間くらい続くので、もう今すぐに逃げ出したい気持ちに。誰もがそのような制作側の意図通りの反応になるのではないでしょうかー。映画自体2時間半くらいで長いのですが、体感的には「ずっと密室で虐待される映画」という感じでした。
好きだった点は
・特に前半のドキュメンタリーっぽい映像
少し荒めの映像やゆらゆら動く画面。固有の人物にあまり焦点が絞られない状態から、次第に登場人物が浮かび上がっていき、彼らの物語を追う…という構成がかっこよかったです。デトロイト暴動までの経緯を説明するイラストも好きでした。センスが最高。
・歌
ゼロダークサーティなどと違うのは、実際に巻き込まれたという歌手が重要なパートを担って、すさんだ映画の世界観に美しい歌を乗せてくれたことです。最後に讃美歌を歌い目線を上げるシーンは素晴らしかった。
また、好きというのは違うけど
・ウィル・ポールターのキモさ
虐待刑事役。彼にははらわたが煮えくり返るほど腹が立ったので、ヴィラン(でいいのか?)として完璧だったということだと思います。もうこれ以降彼を純粋な目で見られない…。刑事役は3人とも役割やキャラクターが分かれていて嫌いだけど抜群の存在感がありました。嫌いだけど。
お勧めかというとちょっと分からないですが、迫害されていた黒人の気持ちが痛いほどわかったし、おもちゃの銃の行方が分からないことや、最初の青年はあっさり殺したのにそれ以降は慎重になった理由が分からなかったことなどから、勝手に脚色してつじつまを合わせたりしなかったんだろうなと思い好感を持ったりなどしました。