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グリーンブック(2019年、アメリカ)

 

グリーンブック~オリジナル・サウンドトラック

アカデミー賞作品賞を受賞していたので、さっそく見てきました。公開1週目の休日の昼間とかだったと思うけど、お客さんほとんどいなかったです…。いい映画でしたけどね。気になる方は早めに行った方がいいかも。

 

黒人差別がまだ激しかった頃のNY、イタリア系移民のトニーと黒人ピアニストのドックのロードムービー。トニーは最初は黒人を差別していて、お金のために仕方なくドックの運転手を引き受けるんだけど、天才ピアニストであるドックの魅力に気づき、次第に友情を築いていく…というような話。実話なのですが、よくあることですがだいぶショーアップされているようで、主にドック側から「事実と異なる」というクレームが入っているようです。

 

アカデミー作品賞だというから何か新しいものを期待していったんですが、この映画、拍子抜けするほど「古き良きアメリカンファミリーコメディ(そんな言葉はないかもしれないけど)」なんですよね。ものすごく王道な「笑うツボ」(しかもちょーーーアメリカンなやつ)を丁寧に押していってくれるので、会場はずっとクスクス笑いが起こっていました。そして、お約束の「家族でのクリスマスの食事会に迎えられる珍客ドック」というシーン。いったい何回目なんだ。どんだけ家族の集まりが好きなんだ。別にいいけど。

そんな穿った見方をしている私なので、笑ったし泣いたけど、すごく物足りない気分で映画館を後にしました。黒人差別をテーマにした映画には良いものや新しいものがたくさんあるので、このテーマでこれを見たいかというと、別に…という感じでした。「ムーンライト」とか「それでも夜は明ける」とか「ドリーム」とか「バースオブネイション」とか…を見た後でこれを見ると、一気に初級編に戻ったような気分です。

 

いや、誤解しないでほしいんですが、すごくいい映画だし「今上映中の映画でおすすめを教えて」って言われたらこれは必ず上げます。上げるんですが、いちいちライトな感じに、映画のお約束からはみ出ない感じにキレイにまとめているのがヒシヒシと伝わってきて、それが私にはしっくりこないというだけです。魅力的なトゲがなく、キレイに磨かれた球みたいな感じ。つるんとして心に爪痕を残さない感じです。

 

その「しっくり来ない感」をMAXに高めたシーンがあって、ドックがバーでショパンのエチュードOp25-11を演奏するんですが、これ名曲で大好きなのでめちゃくちゃテンションが上がったんですが、音符二つくらい出たところで「うおキタ――――――!!!」ってなったのですが、

なんとばっさり省略!

この曲、3分ちょっとしかないんですよ!?それ、省略するとこちゃうやろ!!!!しかも、私の好きなとこーーーーー!!ドックの行き場のない怒り、苦悩、そこにいるたくさんの黒人たちの暗い目、そこにぶつける大嵐を表現してるのに!

もーーガッカリ。

 

なのでだいぶ辛目の評価でございます。

さようなら。

 

ポリーニのOp25-11


Pollini plays Chopin Etude Op.25 No.11 'Winter Wind'

これだよこれ「怒り」なんだよーーー

 

異文化交流×運転手ならこっちの方が面白いんじゃないですかね(投げやり) 

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