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「800人の子どもを30年観察して、社会的に成功するか見る」実験の結果を読み込んでみた

 

GIGAZINE『「子どもが成功するのに必要な要素」が800人の子どもを30年に渡って追跡した結果判明』という、読まずにはいられない記事を見つけたので、鼻息荒く読んでみたのですが、、、

 

「金持ちの子は金持ちに。貧乏な子は貧乏に。」という、身も蓋もない結果が書いてありました…。そりゃそうだろうね…。

 

というわけで、自分でも参照元の記事を読み込んでみました。その結果、さらに下記のことが分かりました。よければお付き合いください。

 

親が意識して子どもを育てられれば、負のスパイラルから抜け出せる(こともある)

「特殊例」として、一人の有色人種の女性が取り上げられています。やはり貧しく育ち、大学にも行かなかった方です。彼女はこの調査上、成功者には入りませんが、その子どもたちは貧困のスパイラルに巻き込まれそうにありません。二人の子どもは、ギフテッドチャイルド枠(とりわけ知性などが優れている子どもを特別な教育枠に入れるプログラム)に入っていたり、大学に通っていたりします。彼女は自分の生まれ育ちが嫌で、きちんとお金を稼ぎ、子どもたちに自分の体験を語り、教育を受けさせたそうです。

 

子は親の鏡である;お金があっても、なくても。

もう一人の例は白人男性です。彼も裕福な家では育ちませんでしたが、親戚の結束の固い、愛の溢れた家庭で育ったと自負しています。大学では同じ町の友だちがドラッグに手を染め、亡くなるのを見ましたが、自分は道を踏み外すことなく、デザイナーとライターをしながら3歳の息子を育てています。

 

彼は、どうやって友人たちのようにドラッグや犯罪に手を出さずに済んだか?「友だちの母親がドラッグをやり、ほんの数か月で骸骨になり、ドラッグの奴隷になるのを見たからだ」とのことです。そもそも、白人男性の方が、有色人男性よりも若年のうちに犯罪に手を染めやすいとか。バイトで1時間数ドル稼ぐよりも、手早く金と車と服が手に入るドラッグのほうが、かっこよく見えてしまう、ということのようです。

 

彼の言葉が印象的でした。

「子どもは、自分の人生を変える。自分が変わらなければ自分はひどい親になってしまうから。自分の人生が子どもによって変えられて、自分が子どもの人生を変えて、子どもが社会人になれる準備をするのだ。」

 

私は、自分の子どもに積極的に「人生こうあるべし」と言いたくない方の親ですが、最低限度の道を踏み外さないこと、親は子を愛していること、自分を大事にしてほしいことなどは、きちんと伝えていきたいな、と思いました。

 

まとめ:親はやっぱり子に影響力があるのだ。 

研究の大筋としては、やはり「金持ちの子は金持ちになり、貧乏人の子は貧乏人になる。」というものです。ただ、親が金持ちになった背景…親の愛、考え方、交友関係…などによって子どもへの影響が変わっていった結果、子どもの人生がそうなったともいえます。ですから、私は、親の考え方によって子供の人生は変わる、という風に捉えました。

 

また、事例の大事な要素として「道を踏み外した時や、とても貧しい時の悲惨な状態を見聞きさせる」ということがあると思います。一人目の女性は、死や銃声と隣り合わせで、電気もなかった暮らしを子供に語っています。二人目の男性は、身近にドラッグの恐ろしさを見て、親への感謝を改めて感じています。

 

日本で平均的に暮らしていると、貧困や犯罪の恐ろしさを実体験することがありませんが、本当はそういったものに触れた方が良いのかもしれません。もしかしたら、闇金ウシジマくんみたいなものも、教育にはいいのかな。どうでしょう。

 

下記に全文があります。上記は全体的に意訳なので、間違ってたら指摘してくださいね。

Rich Kid, Poor Kid: For 30 Years, Baltimore Study Tracked Who Gets Ahead : NPR Ed : NPR

 

余談:「ボルチモア」という実験地と貧困

実験地の「ボルチモア」というアメリカの街、人種差別が根強く、貧富の差も激しいエリアですね。ミュージカル映画の「ヘアスプレー」の舞台になっていましたが、あの映画も明るいおバカコメディのように見えて、人種差別やスクールカーストがテーマでした。「ユダヤ系」「太った女の子」の主人公が歌う冒頭の挿入歌のサビが「グッモーニン ボールティモア~~~♪」です。私はお腹に子がいるときに見ましたが、鑑賞中胎動が凄かったことを思い出しました。見やすさの割に内容が深く、子どもにもお勧め。 

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さらに、「アグリーベティ」という海外ドラマに出てくる、「ゲイ」で「メキシコ系(おじいちゃんは密入国者)」の主人公の弟的存在であるジャスティン・スアレスが、地下鉄で印象的に歌う歌も「グッモーニン ボールティモア~~~♪」でした。

 

もっと関係ないですが、ヘアスプレーの主人公であるニッキー・ブロンスキーは、アグリーベティーでもチョイ役として出ています。確か、主人公のベティ・スアレスを陥れるライバル社の社員でした。それを見て、「ヘアスプレーで有名になったけど、売れなかったんだなあ」と思ったことを思い出しました。そうそう、何かのオーディションの実録映画にも出てましたね。そして、「実力はあるけど…」みたいな理由で落ちてた。確か親もミュージカル役者だったような。実力もコネもあって売れないとは、ショービズの世界は本当に厳しい。本当に親としてなにかに直面するとすれば、子どもがそういった厳しい業界を志したときかもしれません。

ちなみに、こちら↓は暇でしょうがない時にはお勧めです(おいおい)

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底抜けに明るい映画の中で語られる人種差別、貧困、そしてマイノリティ。私には、そういったキーワードの中に「ボルチモア」という町がつながって記憶されていたのでした。