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おもしろかった旧作映画10本

 

最近観た映画の一言レビューです。たまたまですが、マイノリティの話か戦争映画ばかりでした。今回は「一言読後感」を書いてみました。どんな気分になりたいか、で選べるかも??たまたま名作ばかりだったので、そもそももう観たことあるかも。画像はアフィリエイトリンクです。

ネタバレはありませんが、何だかやたらと長くなってしまった~

 

わたしはロランス

一言読後感:ハイテンションな映像美。そして覚悟と勇気がむくむく湧いてくる。

わたしはロランス(字幕版)

「トム・アット・ザ・ファーム」のグザヴィエ・ドラン監督の過去作を探している中で見つけた作品です。(というか、これを含めてまだ4作しかない。)美しく、読後感のとてもいい映画でした。

主人公は、アラフォーになるまで男性のヘテロセクシャルとして生きてきた、性同一性障害で本人の主観的にはレズビアンの「ロランス」。どうやっても複雑な人生にならざるを得なさそうな状況です。しかし、マイノリティの話というよりは、普遍的な愛の話としても観られます。

この映画は、演出過剰に見えるほど、美しくて印象的な演出の印象が残る方が多いのではないでしょうか。予告編に出てくる映画評で「あまりに美しいメロドラマ」というのがあって、ああそれは的を射ているなあと思いました。もちろん、ストーリーもとても楽しめます。

 

マイ・マザー

一言読後感:こぉんのナルシスト中二病め^@^σコノコノー

マイ・マザー(字幕版)

同じくグザヴィエ・ドラン。↑このパッケージの人ね。こちらは主役も脚本もこなしています。ゲイで絵を描くのが大好きな息子の視点からの、もはやつまらない人間にしか見えなくなった「母親」とその自立を描いています。私はもうアラサーなので「分かる分かる」というのと「まだ若いなあ」の両方を味わえましたね^@^見ていて気持ちよくない人も、いるだろうなあ。もちろん、母親の思いや息子の愛なども描かれてはいるのですが。

原題は"I killed my mother"(私は母を殺した)であり、こちらの方が作品の意図が伝わりやすいと思いました。

 

ちなみに、グザヴィエ・ドラン監督(=俳優=脚本家)は、17歳で脚本を書き、19歳で監督をした「マイ・マザー」が評価され、昨年は「トム・アット・ザ・ファーム」で注目を浴びた弱冠25歳の天才です。LGBTのテーマが多いのですが、本人もゲイなのだそうです。若くてイケメンで天才ですが、それ故かかなりのナルシストっぽい^@^(映画の中での出方がナルってる)まあ、この状況でナルシストにならない方が変わり者かもしれません。

これからどんな作品を作っていくのか楽しみです。

こんな人↓どういうポージングを依頼すると、こうなるんだろう…いやカッコいいけどさ…

EYESCREAM (アイスクリーム) 2014年 11月号 [雑誌]

 

ハッシュ!

一言読後感:前向きになれる。女の生き方アレコレ

ハッシュ! [DVD]

子供が欲しい孤独な女性と、ゲイのカップルの不思議な3人暮らしを描く映画です。この映画は設定が面白そうなので観てみたんだけど、想像していたよりも「女性性についての映画」でした。全く違うタイプの女性が何人か出てくるので、その生き方や考え方の違いと自己矛盾などに注目してみると面白かった。高橋和也演じる直也も、どちらかというと女性目線に近いので、女性側にカウントしたくなります。そういえば、直也が一番「普通の女の子」っぽくて、他の女性たちの方が個性的だったなあ。

あと、夫もよく言うんだけど、なんで一部の女性は自分が嫁入りしたところの名字や血筋をとても大切にするのだろう?不思議です。

 

***

 

ここからは戦争映画・歴史映画です。

 

ノー・マンズ・ランド

一言読後感:この監督スゴイわ

ノー・マンズ・ランド Blu-ray

旧ユーゴの紛争を、大規模な戦闘シーンを描くことなく、たった3人の人物を中心に描き切っています。かなりコンセプチュアルな映画だと思います。今まで観た戦争映画の中では一番好きでした。

政治的対立構造が作られた状況において、政治から遠い所にいる一般市民は、最初は「対立してはいない」ということ。そして自分(仲間)の身体を傷けられたときに初めて、本当の対立の沼に落ち込んでいくということを感じました。そして、解けない呪いをかけられて横たわる人物は、引き裂かれた国土の象徴であろうと思います。

 

硫黄島からの手紙

一言読後感:こういう戦争映画はもういいや…

硫黄島からの手紙 [DVD]

「今まで観てなかったんかい」というような大ヒット作ですね^@^背水の陣となり、ほぼ全滅することになった硫黄島の戦いの、日本軍からの視点。クリント・イーストウッド監督(一応日系人の監督も、確か、いる)。二宮和也さんというジャニーズの方が主役で、他に渡辺謙、井原剛士、中村獅童、加瀬亮など、人気者が勢ぞろい。さすがクリント・イーストウッド監督という、よくできた映画でしたが、私は好きではありませんでした。平和に暮らしていたパン屋が死闘に巻き込まれる戦争の悲惨さや、日本の敗戦直前の状況は分かるのですが、そこよりも、なぜこういう無茶な状況になったのかという、大きな話の方が見たかった。

 

父親たちの星条旗

一言読後感:退役軍人の悲哀。戦争を経験した人を、敬まおうと思った。

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硫黄島からの手紙の、米軍からの視点と、その後の軍人の暮らしを描いた作品。個人的にはこちらの方が良かったです。退役軍人の扱いの酷さはしばしば耳にしていたのですが、戦時中は使い倒され、その後経済大国として成長していったアメリカに置いて行かれたような退役軍人の姿が描かれていました。

「硫黄島~」との連動したシーンも多いので、続けて観るといいです。順番は時間の流れ的に「硫黄島→星条旗」がいいかも。

 

ブラック・ブレッド

一言読後感:やさぐれた気分になります。

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同じスペインの内戦について描いた「パンズ・ラビリンス」↓がよかったので観てみた。

スペインではかなり評価された作品のようです。 スペイン映画独特の血塗れたファンタジー的タッチで、魅力的だったり驚くようなシーンがたくさんあるのですが、私にとってはストーリーがちょっと身も蓋もなさすぎました。「パンズ~」も救いはあまりない話なんだけど、ファンタジー部分のつくり込みや子供の純粋さが良かったんです。「ブラック~」は現実・現実・and現実という感じでございました…。ご都合主義大嫌い、リアリティを重視する方にはお勧めかもしれません。演技(?)とはいえ、子供や動物に容赦ない所も、ただただすごいなあという感想です。日本ではまず作れない映画でしょう。

関係ないけど、主人公の少年の父があべひろしさんに激似でした^@^ローマだけでなくスペインでも大活躍だなんて(違)

 

ラスト・エンペラー

一言読後感:人は簡単に生き方を変えられない。でも変えられる。

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中国最後の王朝の皇帝、愛新覚羅溥儀の一生を描いた作品。これは小さい頃に何度か観た記憶があったんだけど、覚えていたシーンが全部ちょっとずつ違っていて、私の記憶って曖昧だなあと思いました^^;舞台になったところは親に連れられて一通り見に行ったけれど、紫禁城はもっと信じられないくらいだだっ広かったし、紫禁城を追い出された後に住む洋館はもっと小ぢんまりとしていた気がしていました。観たことあるものでも、時間を経てもう一度観てみるのもいいですね。

とにかく統治者になることしか教え込まれていない幼少時代から、外圧的に(能力的にも)「本物の統治者」になることがついぞなかった溥儀。外から見ると全く華やかさの無い老後ですが、本当はそちらの方が彼本来の生き方だったのかな、と思いました。

隅々の演出の細かさや小物に至るまでの美しさを楽しめる、映画って本当にいいなあと思える壮大な作品です。ベルナルド・ベルトルッチ監督の映像美!坂本龍一さんの音楽も良いです(ついでに結構重要な役として出演もされている)。

 

ベルナルド・ベルトルッチ監督つながりで観たのは…

シャンドライの恋

一言読後感:あ~美しいな~素敵だな~……ってえっ!?どうなるの!?えっ終わり?!

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あるアフリカ人女性(シャンドライ)の夫が政治犯として逮捕され、女性が一人で生きていく中で出会った一人のイギリス人男性との物語を描いています。とっても美しい映画でした。ラスト近辺が非常に驚くし、気になる感じで終わるので、観終わってもドキドキしました^@^

シャンドライ役は、「クラッシュ」にも出てくる若き日のサンディ・ニュートンですよ。「クラッシュ」の時はハイソなマダムという感じでしたが、「シャンドライ~」では匂い立つような生っぽい魅力がありました。

どうでも良いけど、↑このパッケージダメだと思うの。もっといいシーンあるだろうし、妙にネタバレな感じでイヤン。気になる演出や美しいシーンについて語るだけで長文を書いてしまいそうな映画でした。

 

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これはサスペンス・スリラーですかね。 

ブラック・スワン

一言読後感:犠牲の上に成り立つ究極の美。これはちょっと気軽に「キレイ」とか「ステキ」とか言えないな…

ブラック・スワン [DVD]

万年その他大勢に甘んじている優等生バレリーナ(ナタリー・ポートマン)が「白鳥湖」でプリマに抜擢されるが、その演技の難しさに自分の精神の限界を超えてしまう話。

痛々しいほどに痩せたナタリーポートマンの、爪が割れたり自傷したりという痛々しいシーンが重なってとにかく痛々しい。映画の大半、眉をしかめて手は口元でした。

表現者の肉体と精神を酷使する芸術やスポーツについて/子供に自分を過剰投影する母親/女の子から女の子への憧れ/過剰に注目され、すぐ飽きられる者の悲哀/などのテーマもあり。色んな見方ができて、鑑賞者の見方による違いも面白いのではと思います。

個人的には、芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)が気になりました。冷静でいて優秀な芸術監督であり、ニナ(ナタリー・ポートマン)の可能性をよく見ている人。バレエ団としての成功しか見ていない冷たい人物に見えるし実際そうなんだけれど、ニナや旧主役のベス(ウィノナ・ライダー)の魅力と欠点をよく理解していて、適切なアドバイスや刺激を与える人物でもあります。けしかけたり、突き放したり。

同監督・同テーマの「レスラー」も観たいな。

 

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