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銀座の無印ホテル、けっこういい

 

資料だけ見て「値段の割に、せまい」というイメージだったMUJI HOTEL GINZA。実際に行ってみると、立地は観光にビジネスにちょうど良いだろうし、狭さを感じない工夫がされていて「アリなんじゃないだろうか」と思った。日本的な収納美、ミニマルデザインを味わいつくすことができるので、特に外国人には人気が出そう。

 

店舗部分は拍子抜けするほど普通の無印。個人的にFOUND MUJIが好きだったのに、その売り場がテーブル一つぶんくらいしかなくガッカリしてしまった。

ホテルは6階より上の部分だ。6階はロビーと飲食、IDEEとのコラボエリアが少しあり、ここはもともとのビルの古材などをインテリアに活かしている。個人的には、一般的なホテルよりもプライベート性が低く落ち着かないため、あまりこのエリアは好まなかった。ビルのほとんどが商業施設だからしょうがない。

 

客室だが、インテリアは全くもって「いつもの無印」なので、感覚としては無印店内に泊まるような感じだろう。そうしたいかどうかは別として、加湿器で「あの香り」を出し、スピーカーから「あの音楽」を流せば完全に無印になる。

当たり前だが家具も家電も無印でそろえてある。無印にないのは水洗器具周りだが、これらはそれぞれさっぱりしたデザインのもので無難にまとめてあった。全体的に家庭用のインテリアだし、ホテルには珍しくフローリング張りなのも効いていて、家にいるような不思議な感じがする。

広さはあまりないが、天井がかなり高く、間取りも工夫されていて奥行き感があるので、むしろ少し広く感じるくらいだった。

外国人需要を考えると、たたみルームなんかは特に人気が出そう。全部たたみにしても良かったかもしれない。

 

個人的には勉強になったのは、マットレスを直置きにしている部屋の、子どもも大人も無限にゴロゴロできそうなところ、水回りの内装を厳格に外壁用の大判タイルの寸法でそろえているところ、窓辺の造作ソファや書き物スペースなどのサイズ感、ベッド周辺に置いてある本の展示スペースなど。

特に本の見せ方はすぐに取り入れたい。うちでは子供部屋の本棚がすぐにあふれて困っているのだけど、どうせ一度に読むのは数冊なので、「いま現在読みたい本」をこのように手に取りやすいようにして、残りを内側に収納できるようにするのはかなり良さそうだ。しかも、単に本棚の片側を木板で塞いで、そこに本を乗せられるストッパーのようなものを取り付けてあるだけだった。この本棚自体を部屋の仕切り代わりにしてもいいかもしれない。

収納の良さは言わずもがなで、ノイズになるようなものは何も露出していない。ただ、全てが収まる壁面収納はめちゃくちゃお金がかかっていそうだ…。扉を全部閉めてしまえば、何も入っていないキレイな木の壁のようになる。すばらしいが、なかなかマネしづらい。この壁面収納に限らず、小物一つに至るまで厳格に寸法と置き場所が考えられているため、空間がピリッと締まっている。

 

最初はなぜか穿った見方をしてしまっていたけれど、そこはやはりインテリアのことを考え続けているブランドなので、学ぶことは多い。