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サバイバルファミリー(2018年、日本)

サバイバルファミリー

ポスターの雰囲気で勝手に面白くなさそうと思っていたのですが(失礼)、「思ったより面白い!」と言っている方が多かったので見てみました。確かに、思っていたよりずいぶんとディープな作品でした。終始コミカルなのにちゃんと重みのある映画で、家族で見るのにもピッタリという稀有な作品だと思います。おすすめ。

 

全世界同時停電という状態ながら、一つの家族に絞って描いているのが功奏しているように感じました。実際は飛行機が落ちたり病院で大量の死者が出たりであんなのほほんとした空気はないかもしれませんが、あえてそこには触れずに、健康でごく普通な4人家族に焦点を絞っているおかげで、却ってリアリティを感じられたように思います。なんせ電気が止まって情報がないので、家族が知りうることは目の前で起こっていることしかないのです。

 

終始楽しげなシーンから一つずつスイッチを切るように希望が消されていき、このコミカルさの奥に見え隠れする恐ろしさが、何とも言えないディープな印象を形作っていたのでした。

例えば、水を盗んだお父さんと乳児の3人家族はもっと早い段階で全員死んでしまっただろうとか、米を売っていたおばさんも飢餓の末亡くなっただろうとか…。

想像すると恐ろしいのですが、それらは画面の端にちょっとずつ現れては消えていき、主人公家族が面白おかしく、でも徐々に弱っていくところに共感の的が絞られています。水族館の魚を全部食べてしまうシーンはどこか祝祭的な雰囲気ですが、普段大切にしているものを食べてしまうという恐ろしいエピソードです。陽気にしていた係員が追いすがるお父さんを乱暴に払いのけるシーンなども怖いと思いました。

 

月並みですが、どんな状態でも驕ってはいけないなぁと思いました。

さて、防災グッズをそろえなきゃ…。