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特殊な敷地に建つ家(日本)

 

「特殊敷地」…旗竿敷地、狭小敷地、斜面、2方向斜面など……は、国土が狭く、なおかつ都心部に人口が集中する日本ならではの立地ですね。

 

基本的には、「そういうところには住みたくない!」というのが一般的な意見だと思うのですが、そういった敷地ならではの面白さがあります。

 

単純に、敷地が変わっているので住空間自体も変わっている(面白い)、ということももちろんあるのですが、建築家による名作が多いのは、敷地自体に問題があるので建築家に頼む人が多いからでしょうか。

 

というわけで、そんな特殊敷地に建つ新築物件を2つと、ちょっと前の住宅をいくつか紹介します^O^

 

「4面を家に囲まれた」開放的な家

敷地:神宮前 床面積:111平米 建築面積:64平米

この物件は、4面を他の家に囲まれ、道路に少ししか面していません。上から見ると旗の形に似ていることから「旗竿敷地」と呼ばれます(この物件は一部道路に面しているので、厳密には違いますが)。プライバシーを確保するためには、塀を高くするか、窓を設けない壁を立ち上げるかしかありません。結果、広さを多少諦めても、中庭などで室内に光を確保することになります。この家も実際そうなっており、外観は白い城塞のようです。

 

しかし、一歩中に入ると、吹き抜け空間と壁一面の窓により、プライベートなのに開放感があります。これが普通の敷地だったら、逆に室内にここまでの開放感はなかったかも。面白いですね!

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VIA:PANDA : 株式会社 山本浩三建築設計事務所 » » House in Jingumae

 

大通りに面しているからこそ閉じる家もある

次は、反対に2面を道路に囲まれている「角地敷地」です。

店舗などでは良い敷地ですが、住宅だとちょっと落ち着かない人もいるかもしれません。かといって、先の住宅のように要塞みたいにしてしまうと、景観が悪くなります。(そういえば、要塞のような外観に関してはまた違う話もありますが、割愛します。)

こちらの住宅だと、ファサード(建物の表層)にスリットを入れることで、プライバシーを守りつつ道路に対しての圧迫感を減らしています。

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VIA:arbol design cuts courtyards into otori house

 

ただ、金属のスリットはちょっと怖い感じがするかもしれません。好みの問題とはいえ、住宅は不思議と公共物でもあるので、難しいところですね。個人的にはアリな外観ですが、皆さんはいかがですか?

 

 

上記2つは新築です。これらを見て「特殊敷地についての記事を書いてみよう」と思ったのですが、せっかくなので過去の名作住宅も紹介します。良ければお付き合いください。

 

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大通りに面しているからこそ閉じなかった家もある

角地の家だと、上記とはまた逆に、完全にオープンにしてしまった名作もあります。

 

「カーテンウォールの家」

角地に面して、壁なし。カーテンで仕切っています。お施主さんが、町の人とおしゃべりするのが好きらしく、このようなオープンな設計となった、と聴いた覚えがあるのですが…なんとも不思議な光景でしょうね。最近プリツカー賞をとられた、板茂さんの設計です。

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大通りに面したファサードの工夫

また、特殊な敷地ではありませんが、大通りからの目隠しが特徴的な家だとこんなのもあります。

 

「optical glass house」

個人的にこの住宅は大好きで、書き始めると長くなってしまいます。ファサードの話にとどめます。(詳しくはこちらご覧ください。動画もあります。→中村拓志&NAP建築設計事務所:Optical Glass House | MakeSeen

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大通りからの遮音と、光を取り入れることを両立させるために、住宅のファサードに純度の高いガラスのブロックをオリジナルで制作し、金属のフレームにはめ込んで、天井からつりさげているそう。ガラスの純度や組み込方の精度を上げるためにはかなりの努力が必要だったそうですが、多少のゆがみやブレが、かえって不思議な光のイリュージョンを作っています。

 

ファサードの美しさも素晴らしいけど、おそらく、大通りの喧騒から一歩入った時の静けさが、一番感動できると思います。こちらには入ったことがありませんが、似た構成で入ったことのある住宅である、パリのサンジェルマン通りにあるグラスハウスという名作住宅があります。賑やかな通りを隔てた、揺れる光と静けさが感動的でした。

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ガラスって、厚みがあったりペアガラスになったりすると、保温性ももちろんのこと、防音性が非常に高い素材なんですね。なのに、光はしっかり透過するので、向こう側の風景をただの絵にしてしまう効果があります。

 

2面を斜面に囲まれた家

ちょっと話は変わりますが、2方向を斜面に囲まれた家です。

 

「地中の棲家03」

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こちらは人目は気にしなくていいけれど、斜面に囲われた、ケーキの端切れのような敷地なので、普通は家を建てられる環境とは言い難いかも。実際に、建築のための重機を入れるのに大変苦労したとか。地中に埋まっているような住宅なので、年間を通じて温度変化が少なく、快適なようです。

 

 

あとは、狭小敷地だとワタリウム美術館近くの「塔の家」などが有名ですね。

 

特殊敷地、面白いですね!

 

でも、個人的には、手塚治虫ブラックジャックに出てくる丘の上の家みたいな、海を臨める何もない敷地に住みたいです…。 _(┐「ε:)_ズコー