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葛城事件(2016年、日本)

葛城事件

いくつかの殺人事件をベースにした映画だそうです。この映画、怖すぎる。


ニュースで連続殺人や無差別殺人を犯す人物が取り上げられると、必ず「そんなことになった理由」が話題になります。異常に厳格な親とか、むしろ放置子だったとか、そういう思想を育てそうなものを読んでいたとか、生まれつきおかしな子だったとか。

理由がないと、「誰にでもそうなる可能性がある」ことになってしまい、恐ろしいからだと思います。


この映画が怖いのは、見進めていくと次第に「どの家もそうなる可能性がある」と思わされていくからなんです。

 

最初は支配的な父親や無気力でいつもコンビニ弁当の母親など、ちょっとおかしな家庭なんだと思わせるシーンが続くのですが、時間がさかのぼるにつれ、母子の間ではごく普通の会話があり、もっと前はきれいな母親と頼もしい父親という、魅力的に見える家族だったことが明らかになっていきます。

息子二人が死に、妻は精神病院という最悪のラストが、あの幸せだった若い頃の延長線上にあるとは。

 

実際に殺人鬼を生み出すかどうかは別としても、家庭内の異常なことって、多くの人に少なからずあるように思います。


それは、それぞれの人の中にある、個性と言ってもいいおかしな部分が、家庭内では温存され、助長されるからかもしれません。「お父さん、威張りやなところもあるけど、いい人なのよね。」と言って家庭内で保存されていた横暴さが、30年後にはどうしようもない暴力に育ちあがること。我慢し続けていた妻が無気力になること。我慢し続けていた息子たちがそれぞれのおかしさを社会の中で衝突させて、対処できないでいること。そういうことを描いていた映画なのでした。


個人的には、「察する」「我慢する」ことの罪をしみじみと感じました。誰もが思ったことは普通のトーンでどんどん言っていくべきなんでしょうね。ここはやはり、「毎日ホワイトボードで家族会議」なのでしょうか…。ううむ。

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やっぱりあったほうがいいのかなあ

風邪をひかない冬、だと思っていた

何度も体調を崩していた去年までとは違って、今年の冬は一度も風邪をひいていませんでした。

ここのところ「どうにも体力が落ちているな」と思ったので、いくつか始めたことがあったのです。具体的には、マルチビタミンと薬用養命酒、ユンケル。それから、体を冷やさないこと、歩くことです。風邪を引きそうなときは、粒状のユンケルを1包食べるようにしました。ユンケルは飲むとすぐにポカポカしてきて頭痛などが治まるので、私に合ってるんだろうな~と思っていました。そのおかげで、風邪をひいていないんだろうな、と。

 

ところが、数日前娘が熱を出したとたん、私もゾクゾク。寝苦しい夜を過ごすと、朝にはすっかり風邪気味に…。こうして「風邪ひかない伝説」は夢のものとなりました。

 

考えてみれば、そもそも今年の冬は娘が一度も風邪をひいていなかったのです。娘は昨年の今頃インフルエンザになっていたし、その前後はずっと鼻水に悩まされていたのでした。

 

今年は風邪症状になること自体が無かったし、ベビーカーも卒業して長く歩けるようになり、体力がついたなあと思うことが増えました。

 

そっか、幼い娘が熱を出していたから、私もよく風邪をひいたのか…。新たに取り入れた生活習慣とは関係なかったようです。

 

風邪は気合で1日で治しましたが、今度は病み上がりに娘を抱っこしたとたんにギックリ腰になりました。だ、ださい私。

 

踏んだり蹴ったりな日々でしたが、今年の冬はこれでカンベンしてもらえたらと願うばかりであります。

もはや効くのかどうか、何のためにやっているのか不明な諸々の生活習慣ですが、もうちょっとだけ続けてみようと思います…。

 

意外とハマる

【第2類医薬品】薬用養命酒 1000mL

 

AMY(2015年、イギリス・アメリカ)

AMY エイミー(オリジナル・サウンドトラック)

エイミー・ワインハウスという歌手については、「お騒がせセレブがいるらしい」「アルコール中毒で亡くなったらしい」というぼんやりとしたイメージしかありませんでした。曲も耳にしたことはあるかもしれないけれど、「これがエイミーワインハウスか」と思って聞いたことはないし。


さて映画を観てみると、なんちゅう可哀そうな話なんだ(T_T)と思ったり。実際の映像しか使っていないドキュメンタリーですが、よくできていて入り込んで見てしまいました。個人的にソウルフルな歌があまり好きでなく、見た後もやはり好きなタイプの音楽じゃないなーとは思ったのですが、それでも一人の非凡な女の子の話として面白かったです。

 

家族を捨てることで彼女を絶望的な寂しがりにした父親が、娘が有名人になると戻ってきて間違った口出しばかりするのもヒドイ話だし、そんな父親を崇拝してしまうエイミーもツラいし、ドラッグを教えるヒモ彼氏も同じような感じ。エイミーは、彼女をダメにする人ばかり近づけてしまいます。


印象的だったのが、エイミーにひどいことをする相手に彼女が繰り返し言う”be nice to me”。「私に優しくして」と訳されていました。最後は、薬物中毒でガリガリに痩せ、病的な顔になった彼女は「カメラが回ってるんだから私に優しくして」と言っており、なんかもう、抱きしめたくなりました(T_T)心神喪失状態で歩き回った後の、血だらけでボロボロの靴も象徴的に何度か映し出されていました。こんな感じで、有名になってからの彼女は痛々しさしかなくて、でもどうしたらエイミーにとって良かったのか分からなくて。


今は天国で安らかに歌っていられているといいな、と凡人は思いましたよ。

出張で2泊した、すごくどうでもいい話

先日は出張で初めて2泊子どもと離れました。娘は出発の時グズっただけで、留守中電話しても「おみやげはえほんかってきてね」など、アッサリしたものでしたー。なんだかショックだわ。まあでも、良いことだということにしておこう。

 

私は子どもと半日離れただけでずいぶん気持ちが変わるのですが、2日も離れると「本当に私に子どもがいたのだろうか」とまで思いました。帰ってきたらすぐに子ども中心モードに変わりましたが…。

 

出張では某帽子が特徴的な社長のいるホテルに泊まりました。特にAP○ファンだというわけでもないのですが、高級ホテルに泊まれるわけでもない身からすると、見知らぬ土地で地元の古いホテルに泊まるのはなんとなく恐い。お化けが出そうだし、「外れ」を引いてしまった時のショックが大きい。その点ここなら築浅だし銭湯ついてるし、最悪なことにはならないだろうと思ったのです。

 

結果はその通りになりました。部屋に入ったとたん、あまりのきゅうくつさに「ここに2泊か…」とツラくなり、夫に「早く帰りたひ」などとメールしたりしましたが、銭湯はほっとしたし、狭いなりにベッドは新しく、朝食はできたてでおいしかった。

 

部屋には最近中国で問題となっていた歴史系の本と、グループ創生からのあれこれをつづったマンガ本があります。某帽子社長がアイドルみたいに美化されているのはともかくとして(?)、徹底したコスト管理の話や、2つの経済危機を経営才覚と運で乗り切った話などけっこう面白かったなー。

確かに、コスト削減は身に染みて感じられましたよ。ギリギリ導線を確保した部屋の狭さもですが、空調も「室内に客がいる間だけ」なのでむちゃくちゃ寒い…。銭湯も激混みです。建設会社を自前で持っているから、ここまで徹底したコスト削減建築がつくれるんですね。A○Aがこのまま進化を続けると、「共有設備が豪華なカプセルホテル」に行きつきそうです。

 

そんなこんなで色々ありましたが、次に慣れない土地で仕事の宿泊があれば、またここを検討しちゃうんだろうなーと思いました。

 

家族が近くにいない状況になると、不思議と酒量が増え、夜更かしになり、酒席以外ではほとんど食べないという独身時代の生活に戻りました。そうそう、忘れていたけど、私は本来食に興味がない人間なのでした。わずか2日でこうなので、今でも家族がいない生活だったら、今の数倍老けて不健康になっていただろうと思います。私にとっては、「子どものいる生活」は健康のためには良かったみたい。

 

子どもへのお土産は、リクエスト通り絵本にしました。アノニマスタジオの仕掛け絵本です。一見普通の絵本なんだけど、ルーペみたいな形の赤いシートを通してみると別の話が見えてくる、という。デザインのいい、面白い絵本です。「このルーペ、すぐに壊れそう」と思ったのですが、娘は毎回慎重に本に挟み込んでいて「えらいなあ」と思った次第です。そういえば、他の仕掛け絵本も何ともなっていないしなー。

ルージュベックのだいぼうけん

おしまい。

神様メール(2015年、ベルギー)

神様メール [DVD]

お兄ちゃんはキリスト、お父さんは神、お母さんは女神という女の子を描いた、異色の映画です。お父さんは気まぐれで世界を壊したり、人を苦しめたりするろくでなしで、愛想を尽かした女の子は家出。世界を覆して、新・新約聖書をつくるために奔走します。


これだけ読むとなんだかすごいスケールの映画になりそうですが、割と画は普通っぽさもあり、地味なシュールさもあり。新・新約聖書に書かれていく事柄は、けっこうしょうも無かったりただの気まぐれだったりするんですが、それが却って神話っぽいなと思いました。だって、天照大神やシヴァの話って「えっ、そんなことなの?!」と拍子抜けするようなものが多いじゃないですか。


主役の女の子・エアーちゃんがめちゃくちゃかわいくて、お兄ちゃんのキリストが軽いノリのヒッピー風だったり、新しい使徒たちがそれぞれに現代人の悩みを描いていたりするので見ていて飽きません。キリスト教徒が見たら卒倒するような内容かもしれませんが、そうでない身からすると「こういうことってあるかもなー」と思えました。


どうして神は人を苦しめるのか?辛いことばかりなのはなぜ?ということに、アイロニックに答えてくれるような映画です。個人的にはかなり好きでした。

「沈黙」の後に見ると、あまりの落差にズッコけますが…笑

保育園落ちた&最近の娘

玄関から徒歩30秒という恵まれた認可外保育園に預けていた娘ですが、3歳児クラスからは預けられないのでウワサの保活をしていました。と言っても、何園か見に行って普通に申し込んだだけで、特別に何もしていません。というのも「どうせ落ちるんだろうよ」という気持ちで一杯でして。3歳児クラスだから多少は空きがあるとはいえ、うちが受かる要素って何もないですからね…。夫婦フルタイム共働きというだけの、一番多い区別がつけられない層だと思われます。

そして案の定落ちました(^o^)/

社内のママ友も全員落ちたようで、「ま、受かるとは思ってなかったけどね」という雰囲気でした。受かっている人と落ちた人の間のポイント差を検証している人がいて、「本気で受かろうと思うなら離婚や単身赴任してもらうしかない」なんていう話になり、改めて大変な状況なんだなあと思いました。料金が高いけど無認可はあることはあるので、とりあえずこのまま2次、3次を待ってみようと思います。あと3年だから、無認可に入ってもなるべく動きたくないんですが、結構な金額差なんですよね…。ううむ。

 

娘は4歳を目前にして、すっかりいい子になってきました。食卓の準備をしたり、食べたり片づけたりができるようになり、朝の身支度も一通り自分でやるようになりました。唯一、トイレ大の後は親に拭いて欲しいそうです…笑 カワユス。原因不明で泣き続けたり、服を着ないと言ってグズりつづけた日々はなんだったのか。子育ては「てえへんだてえへんだ」などと言っているうちに、いつの間にかラクになるようです。あの頃の自分に教えてあげたい。

おしゃべりがますます達者になってきたのですが、ダ行がラ行になってしまう幼児特有の可愛い言い間違えがたまりません。娘が先日ジプシーキングスのボラーレをかけて「おどろう」と誘ってきたのですが、「おろろー」になっていたので「うん、おろろーおろろー」と返すと「おろろーじゃない!お・ろ・ろー!!」とプンスカしていて超かわいかったです。最近はどうやら自分にダ行が言えてないことを自覚し始めたようで、「~だけど?」が「~けろ?」になる娘の口癖が家族内で流行り始めて、娘も「けろろ~ん」などどノッています。

 

最近誰に会っても「今が一番かわいいときでしょう」と言われるのですが、子育ては初めてなので今がMAXかは分からないんですよね。なんとなく、小学生になっても20になっても、その時の可愛さがあるんじゃないのかな~という気はしています。今はぷよぷよの桃みたいな生物が「ママ、だいすき~」と言ってくるので、そりゃかわいいだろうよという感じなのです。むしろ、今後どんな個性が表れてくるのか楽しみです。

https://www.instagram.com/p/BP2TJhThCBg/

ほっぺの余ってる感がすごいsqueezy cheeks

沈黙-サイレンス-(2017年、アメリカ)

遠藤周作の原作のファンだったスコセッシ監督が、長い年月をかけてやっと実現した映画だそうです。リーアム・ニーソンやアンドリュー・ガーフィールドと並んで、イッセー尾形や浅野忠信などの日本人俳優が出演しています。外見がかなり違うので気づきにくいのですが、小松奈菜や加瀬亮も出演しています。去年から超楽しみにしていたので、いそいそ見に行きました。

 

ただ、小説の方が、良かった。小説を読んだのははるか昔ですが、映画化されて新たに得た感動はありませんでした。小説に忠実な内容なのですが、説明的で冗長な印象です。小説未読のほうが良いと思える映画なのかもしれません。

 

中盤までは、イッセー尾形さんや塚本晋也さんの演技が素晴らしくはまっていて、映像が幻想的ですごく引き込まれました。特に小舟が霧の中を進むシーンや、つかの間の休息で村人二人に発見されてしまうシーンなど、詩的で美しい。イッセー尾形さんの曲者っぷりは、西洋文明に対して完全な異物に見える日本人の中では妙に説得力があり、洒脱な印象だったし、塚本晋也さんの真っ直ぐな信仰心はパードレ側を超えるほどの熱さを感じました。ですが、後半からはセリフが多くて説明的なのが気になって気になって…。アメリカでも理解できるように、という配慮なんでしょうか。セリフ半分くらいにしてほしい。

長崎の農民と異国のパードレたちが瞬時に意思疎通し、心を通わせているのはイージー過ぎるように思えたし、最後はキリストまでしゃべりだしてうへーとなってしまいました。小説だと文字でキリストの言葉として書いてあっても気にならなかったのですが、映像だと「声」があるので、妙に敷居が低いような感じがしてしまいました。ロドリゴや井上などの説明役が喋らなくなってからは、説明の為だけに出てくる人のナレーションが始まります。この人には思い入れもないので、後半の話が長い長いつけたしのように感じられました。

 

小説を読んだときは、ロドリゴが牢につながれているときに聞こえてくる耳障りな大いびきが、実は逆さづりの拷問を受けている信者の声だと気づくシーンが衝撃的でした。ただ、映画ではそこまでの印象が無く。これはロドリゴが転ぶきっかけの大事なシーンなので、個人的にはもっとなんとかならなかったのか、と思いました。むしろロドリゴが踏み絵を踏まされるシーンはやけに躍動的で、ちょっと面白く感じてしまったりしました。(ちょん、と足をつけたあとにフライング土下座みたいになるのを、スローモーションでかっこよく撮っている。こんな野生動物の狩りを撮るようなシーンにする必要ある?)やり過ぎ演出と言えば、最後の最後も、あれ、いるの?普通に手に持たせて焼けば良くない?それまでのきれいだったり生々しかったりする魅力的な情景の印象から、いきなり「ハリウッドでござい」となったようで興ざめでした…。

 

散々disっておいてなんですが、やせこけて泣き叫ぶスパイダーマンとカイロ・レン(違)は悲壮だったし、信じているものを奪われる痛みが確かに描かれていました。キチジローは小説の印象と違い、これはこれでいいなと思いました。小説ではもっと忌むべき人物という印象だったのに、映画では窪塚さんの顔が幼く見えるせいか、変な話ですが、かわいさや親しみを感じました。人間のあるべき姿という気さえしました。