MENU

ロブスター(2015年、ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス)

ロブスター(字幕版)

男女問わず誰かとカップルにならないと動物に変えられてしまうという世界を描いたおはなし。なんだかよく分からんけど、舞台みたいな映画で映像が美しく魅力的です。社会風刺みたいなコンセプトもうかがえます。個人的にはかなり好きでした。

あまりネタバレが関係ある映画ではありませんが、以下内容に触れているので未見の方は気を付けてください。

 

主人公は、「うっとうしい独り者」の代表格、建築家。当然バイセクシャル。やっぱりヨーロッパでもそういう扱いなのね…(誤解を招く文章)。その彼が相手を探したり、あきらめたり、やっぱり本当の愛の相手に出会ったりしながら話がゆっくり進みます。

主に3つの舞台があって、ひとつはカップルたちが社会生活を送っている「街」、もう一つは相手を探している独身者が2か月ほど仮暮らしを送る「ホテルとビーチ」、そして独身のまま生きるレジスタントがサバイバル生活を送る「森」。この3つの世界は非常に簡素な表現なので、あまりお互いの関係性とか、どういう主体がどう統治しているのかなどはよく分かりません。

 

一つの接点は「ホテル」と「森」であり、独身者はなぜかレジスタンスを一人殺すごとにホテルでの滞在時間(=独身でいていい時間)が一日伸びるという仕組み。滞在時間がゼロになると動物に変えられます。独身者たちがレジスタンスを狩る(文字通り殺す)シーンは妙に美しく躍動的。森にはレジスタンスの他に動物に変えられた人がウロウロしていて、たまにクジャクやゴリラが横切ったりするのもまた幻想的です。森のシーンは全てキリスト教の宗教画のようで非常に印象に残っています。なんじゃこりゃ。

 

出演者は、主役の悩める建築家にコリン・ファレル、森の女王レア・セドゥ、せこいエセ独身者にベン・ウィショー、主役の本当の愛の相手レイチェル・ワイズと豪華です。コリンファレルは役作りのために初めて20kg以上太ったようで、なかなか彼だと気づきませんでした。太ると普通のおじさんなのね…。個人的に大好きなベンウィショーも、角刈りのような変な髪型でなんだかキモかったなあ。役のせいもあるのか。レアセドゥはベタベタの髪に汚いマントを羽織っているだけなのに現実離れした美しさで、さすがの存在感でした。彼女が一番魅力的だったかも。

 

以下、気になったところ。

  • 独身者のホテルでは服装が決められている。男性はグレーのスラックス、青系のシャツ、紺ブレザー、女性はその時々で花柄の上品なワンピースなど。これがいかにも異性に好印象を与えそうなファッションで、それを制服のようにして全員着ていることの奇妙さ。合コンなんかもこんな状況になっていることが多そうな気がする。
  • しつこいまでの「共通点探し」。カップル成立するためには「共通点」を見出すことが重要となっていて、「鼻血が出やすい」「冷酷だ」果ては「目が見えない」など、共通点をつくるために奮闘する男たちの姿が表現される。この表現はちょっとウザかったなー。
  • 突然現れる「娘」の存在。なんとなくだけど、独身者は時間の流れが速く、カップルの子供の出現は突然に見えるのかも。「えっ、子供もうこんなに大きくなったの?」っていうアレ。前回君に会ったの2年前やん…。そりゃ子供も育つよっていう。さらに、家族持ちにとって子供は誰にでも好かれる存在と思ってしまいがちで、「○○おじさんにあいさつしておいで」なんてやってしまう。でもこれ、独身者にとって単なる迷惑なことがあるんだよね。そういう象徴的なシーンがあり、ちょっとドキッとした。
  • 親子が揃いのボーダーの服を着ているところ。日本だと無印に違いない。本当にじわる。
  • 独り者はヘッドホンで電子音楽を聞きながら独りで踊るところ。でも一応みんなで同じ場所に集まっているところ!
  • カップル成立した女の子が、動物に変えられる親友に手紙を読むシーン。「もっと時間があれば私みたいになれた」「あなたは髪がきれいだからすぐ相手が見つかると思ったのに」など微妙に神経を逆なでする内容で、親友にキレられてしまう。「結婚できただけで謎の上から目線発動」で、クスリと笑ってしまうシーンだった。
  • 件の「髪が綺麗な女の子」は、髪が綺麗なことを鼻にかけ過ぎて、せっかくアプローチしてきた男性に引かれてしまう。そのセリフの勘違い具合もたまらんかった。髪がそこまで綺麗じゃないところも妙にリアルで…。あれがツヤツヤだったらただのコメディなので、実に絶妙。
  • 自殺する中年女性のエピソードは、監督の性格悪すぎなんじゃないかと思った。調べたら監督の奥さんはメイド役の美人だったので余計に腹が立った(何)まあでも、この映画でこれだけ楽しんでる私が一番性格悪いというはなしもある(何)

 

そんなわけで、独身者vs既婚者あるある満載でおもしろかったです。他にもいろんなメタファーがありそう。何より構図や色合いが綺麗なので、ボーっとみていても楽しめる映画だと思いました。寒い日に家でお酒飲みながら見るのが良さそう。 

特大活ロブスター(オマール海老[エビ])アメリカ東海岸産 450g 2尾

特大活ロブスター(オマール海老[エビ])アメリカ東海岸産 450g 2尾

 

↑ちなみに、ロブスターは100歳生きられて最後まで生殖できるそうです。ヘー。