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神のゆらぎ(2014年、カナダ)

神のゆらぎ [DVD]

グザヴィエ・ドランが出ているからみた。彼は監督作品だけじゃなく、演技のみも面白い作品が多い。

 

白血病で死にかけているモルモン教徒とそのフィアンセ、飛行機事故に遭う麻薬の運び屋、不倫されているアル中の女。それぞれに不幸な3者を、悲劇的な飛行機事故がつなぐ。アル中女の夫は、乗るべき飛行機に乗らず難を逃れる。麻薬の運び屋は、全身に火傷を負いながら飛行機事故でただ一人生き残るが、けっきょく死んでしまう。モルモン教徒は戒律により輸血ができないが、飛行機事故が起こったこと、患者を助けられなかったことなどが心を動かし、輸血をすることを決断する。登場人物たちは自ら不幸を背負い込んでいるように見え、彼らの運命が飛行機事故を転機に変わってくのは、神の采配っぽいなーと思ったり(すごく雑な感想)

映像の雰囲気も音楽も良かったし、もともと群像劇は好きだし、グザヴィエ・ドランが出演しているという期待感もあったんだけど、なぜか最後まで乗れず。

自分の場合よくあることなのだけど、宗教的制約みたいな話が映画のストーリーとしてピンと来ないせいだと思う。物語の最後のカギが「輸血の決意をするフィアンセ」なので、なんだそりゃーとなってしまった。モルモン教徒以外の人たちが揃ってダメ人間なのもよく分からない、、モルモン教徒についてはどういう位置づけで捉えている映画なんだろう?

漂白したように清らかに見える、フィアンセの美しい顔が何度も象徴的に映る。「絶対に輸血しない」と決めて、目の前の恋人も全身に火傷を負った患者も助けない姿は冷たく見える。一方で、不倫に興じる老人たちやアル中の女、運んだ麻薬を排泄しようとしている売人たちはひたすら汚く見える。そのギャップと、神が実在していたらありえないはずの「燃える飛行機」と、フィアンセの最後の判断の対比が鮮やかではある。

 

超どうでもいい話なんだけど、この映画は「ハドソン川の奇跡」(飛行機が墜落し「なかった」映画)の後に見たので、「サリー機長が判断を間違えていたら、麻薬の運び屋がただ一人生き残ってアル中女が小さな幸せを思い出し、モルモン教徒が信仰を捨てるのかー。」など、頭がごっちゃになった(´・ω・`)