常々思っていることですが、建築写真はあまり建物の魅力を正確に伝えられません。「写真映えする建築」というものは存在しますが、そもそも建築物の魅力である空間構成などを写真で推し量るのは無理だと思います。だから、建築学生は「よく実際の建築を見て回りなさい」と言われるものです。
例えば、サザエさんやドラえもんは何度もあらゆる角度で家の中を見ているはずですが、部屋と部屋の位置関係や空間構成を知っている人はほとんどいないでしょう。それは、動画なのに人物の背景はほぼ静止しているからだと思います。
部屋の構成が分かりやすいアニメ作品と言えば、トムとジェリー、あとはジブリ作品などでしょうか?トムとジェリーは「建物の中でどう動くか」が主体のアニメです。ジェリーが追いかけられる穴の辺り、椅子の下、キッチンなど、視点は人間より低いのですがなんとなくわかります。ジブリ作品は、例えば「ハウルの動く城」、「千と千尋」が印象に残っています。背景も含めてちゃんと動いているし、建物自体も魅力的なので空間が頭に残りやすいのだと思います。
まあそれでも、建物の方に意識が行かない人が多いと思うので、構成まで把握できることはなかなかないのかもしれませんが…。
建築写真は、建築家が非常に重要視しているものの一つです。ひとたび発表されれば、写真が独り歩きして随所で評価されます。建築家が建築を評価する方法としては、この建築写真と図面を見比べながら空間を想像し、コンセプトとその知覚への作用を見るという事になるかと思います。
このようにもともと建築物をたくさん見ている場合、その「想像」の完成度が高いので問題ないのですが、専門外だったり、学生だったりするとフォトジェニックな物件ばかり魅力的に映るでしょう。それは主にマテリアルの話だったり、天井が高い、奥行きが広いなどの特定の構成だったりします。
その結果、何となくフォトジェニックな要素ばかり建築物の魅力として残り、独特な空間の魅力が理解されないともったいないと思います。
ネットでは動画コンテンツがよく見られていますし、プロダクトの説明でGIF画像を使うことも増えました。
ぜひ、GIF画像や短い映像でもっと建築物を見られるようになればいいと思っています。
おまけ:動画で見る建築
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