「耳が聞こえる・聞こえない、作曲できる・できない」で世間が騒いでいた佐村河内さんを撮ったドキュメンタリー。終始、居心地が悪くなるような映画だった。
まず、映画の最初のほう。わたしだけかもしれないが、完全に佐村河内さん側に立って居心地の悪さを感じていた。例えば、佐村河内さんが「リズムは音楽であって、それが自分には分かる。=音楽が分かる。」みたいな話(乱暴でスンマセン)をしていたシーン。ビバルディの春か何かをオリジナルなボイスパーカッションみたいにして表現するんだけど、それがとても下手で途中から変になってしまう。「うわー!やめてくれー!」と叫びだしたくなってしまうような気まずさがある。
奥様と何度も繰り返される、「誰か喋る→聞こえていない→奥様が手話で伝達→答える」というシークエンス。完全に「聞こえている人が、聞こえていないフリを表現しようとしている心情」でドキドキしながら見てしまった(実際に聞こえているかどうかは分からない。でも正直アヤシイ)。
極めつけは、最後に実際に作曲してみるシーン。作曲しているシーンが映っていないからダメ、という話もあるが、オリジナルだろうがゴーストライターがいようが、そもそも安っぽい変な曲で、佐村河内さんの達成感あふれる顔がしんどく見ていられない。そして映る、なぜか沈鬱な奥様の表情。監督の靴下のつまさき。奥様の手の中があやしく光る(指輪?)。ネコ。
「ラスト12分の衝撃」とか、「靴下に注目」などの文章を読んだのだけど、何度見返しても私には意味が分からず。。ただ単に微妙な曲ができたので、やっぱりゴーストライターが必要なんだなと確認した。
見ている私が性格悪いだけなのか、監督が性格悪いのか分からない。分からないけど、なんつー嫌みなドキュメンタリーなんだ、と思った。