アマゾン・プライムで。「月に囚われた男」が面白かったので、「関連作品」で表示されていたこれもついでに見てみた。監督はロード・オブ・ウォーのアンドリュー・ニコル。なるほど近未来SFで、カテゴリーは同じ。だが、こちらはヒューマニズムが主題の割と熱い話だった。
生まれる前から完璧な遺伝子を選別するようになった未来で、そうではない生まれ方をしてしまった男が夢をかなえるために奮闘する様子を描いている。昔の007みたいな小道具がいっぱい出てきて、レトロSFといった趣。若い頃のユマ・サーマンとイーサン・ホークがキザな感じで出てくるのが面白い。それから、若くてセクシーだった頃のジュード・ロウも出てくる。その当時、気鋭の若手俳優がたくさん出てくるオシャレ映画だったのかもしれない。
それにしても、アンドリュー・ニコル監督は幅が広い。全然違ったタイプの映画を撮っている印象。中でもロードオブウォーは傑作だった。TIMEはストーリーが面白かったし、グッドキル(ドローンオブウォー)はコンセプチャルな良い映画だった。こうしてみると、「望まない境遇で必死に生きている人」、また乗り超えられない身分・階級についての話が多いようだ。ものをつくる人は、映画監督にせよ建築家にせよ、若い頃に設定したテーマを生涯描き続けることが多い。しかもそのテーマは、自分の出自に関することだったり、人生で感じてきた苦悩をそのまま描いていたりすることが多い。
ザ・ホスト、シモーヌは未見なので、機会をつくって見てみたい。