DVDで。北朝鮮に拉致され、キム・ジョンイル総書記のために映画を作りまくった韓国人映画監督と妻の女優のドキュメンタリー。数奇な運命とはこのこと。嘘のような、本当の話。面白かったー。
シン監督は、その当時韓国でトップの映画監督だったが、「世界に通用するような映画を撮りたい」と思っていたキム・ジョンイルによって女優である妻が拉致され、自身も韓国での映画活動が禁止され(←この辺りは理由をはっきり言ってなかったけど、北朝鮮の差し金である雰囲気で描かれていた。本当のところは不明。)、北朝鮮に拉致される。強制収容所に入れられたり、拷問・思想教育を受けたり等色々あって、最終的にはキム・ジョンイルのために映画を製作することに。
ここからが抜群に面白い。シン監督はそれまで資金で苦労して思うように映画製作ができずにいたんだけど、北朝鮮ではキム氏が湯水のように製作費をくれるし、エキストラも使いたい放題。非常に映画製作がやりやすく、しかも映画の内容もキム氏を持ち上げるものばかりではなく、自由につくらせてもらえるようになる。ある意味、最高の環境だったのだ。結局ここで17本も映画を製作し、いくつかは映画祭で取り上げられるまでに。
けっきょくシン監督夫妻は亡命するが、シン監督はその後も映画を撮り続けて、天寿を全うしたそうだ。
女優である妻はご存命で、このドキュメンタリーは妻のインタビューと、シン監督が北朝鮮で撮った膨大な映画のシーンを「それっぽく」繋ぎ合わせて作ってある。最初は「ヘンテコな再現シーンだな…」と思っていたけど、全てシン監督作品というのは興味深い。
ネタバレも何もないのでほぼ全部書いてしまった。それでも一見の価値はあると思う。