「グッド・キル」から2年、ドローン攻撃の本場アメリカから舞台は移ってイギリス。ただし、攻撃するのは同じくラスベガスの、イーサン・ホークが勤務していた基地。と、無関係の2作品をあえてごっちゃにする書き方をしてみたが、この2作品は両方見るとますます興味深い。慎重なイギリスと攻撃的なアメリカ、人道的なイギリスと合理的なアメリカ、決定が現場で覆るイギリスと覆らないアメリカ…などなど、2国の見せたい表情の違いが如実に表れている。
実際、「アイ・イン・ザ・スカイ」は「グッド・キル」で起こる一つ分の攻撃を100分かけて上から下まで審議する話で、非常に丁寧な描写でドローン攻撃の矛盾を描いている。
攻撃される対象に「鳥瞰から」スポットを当てているのは同じだが、「アイ・イン・ザ・スカイ」ではさらに現地の住民に視線を合わせて生活を描き、現地で活躍する兵士(スパイ?)も重要な役回りを負っている。この「現地の少女」がむちゃくちゃかわいい!
軍人と政治家の役回りがこれでもかときれいに整理されており鑑賞者にとっては見やすい反面、「決して軍人に言ってはならない、彼らが戦争の代償を知らないなどと!」というセリフはキザすぎーと思った。そこで人道派の女性政治家が一筋の涙を流す、など…。ちょっと美化しすぎよね。全体的に。イギリスは良いかっこしいなのか。酒に飲まれて自分勝手に攻撃を始めるイーサン・ホークの方が、正直に感じた。