MENU

鑑賞者に降りてくる「安藤忠雄展」

安藤忠雄―挑発する箱 (日本の建築家 (6))

単独の建築家の展覧会としては類を見ないほど大規模な「安藤忠雄展」。新国立で12月半ばまで開催ということで、見てきました。想像以上に力の入った展覧会でした。

原寸大のモックアップ(と言っても普通にコンクリート打ってる!)や、6帖くらいある巨大模型などももちろんすごいんだけれど、本人による直接の書き込みや施主寄せ書きなど手作り感あるコンテンツもあって、建築業界らしい難解さがない、親しみやすい展覧会でした。動員数が多いのも頷けるなー。

 

まず、音声案内が安藤忠雄さん本人です。お馴染みのダミ声の関西弁で愉快な気持ちに。娘は「おじいちゃんと電話する!」と言ってずっと聞いていました 笑

初期の住居エリアには施主のコメントが書いてあるのが特徴的。一部手書きだったりして、いい味になっていました。みんな一様に「寒い」「修行」と書いているのが…笑 それに対して安藤さんも「服をもう一枚着なはれ」みたいなことを言っているという 笑 冒頭から笑わせてきます。こんなに住居作品が多いのも知りませんでした。一連の作品があっての「住吉」だったんですね。

 

続いて、事務所ビルやいくつか中規模の商業施設などを挟んで、「光の教会」の原寸大モックアップです。模型っていうか、普通に新築してる 笑 そして、さりげなく念願の「ガラス窓なし」を実現しているという 笑 (さっきから「笑」ばかりですが、基本にやけながら見てしまう感じでした 笑)娘は十字架のスリットに挟まってご満悦でした(^^;)やめたまえ。

 

屋外のモックアップから戻ると宗教施設やウェディングホール・教会などのコーナーがあって、あの大仏が埋まっている建物などもあります。宗教系の作品、多いんだなー。うまくやれたらかなりおいしい仕事ですね。予算が大きいし、自由度も高そう。

 

これ以降は大型のプロジェクトが大部屋に点在しています。たまたま数日前に通り過ぎたばかりの、パリのブルス・ド・コメルス改修の大型模型もありました。完成は2019年だそうです。またパリに行かねば。

 

直島の一連のプロジェクトは、なんと島全体を表現した模型で再現。でかすぎて笑う。個室にまとめられていて、改めて重要な作品群だったのだなーと思いました。せっかくなので南瓜やSANAAのターミナルなども再現してほしい(それ、もはや観光用模型!)安藤さん「こんな島、誰も来ませんよ」福武さん「なんて情けないことを言うんだ」などのやり取りも紹介されていました。神々の会話か。今じゃ世界のデザインツーリズム拠点ですからね…。恐るべし。娘とベネッセホテル「オーバル」を指さして「あのホテルにいつか泊まるんだからね」と誓い合いました。子どもは10歳からなんです。

 

出口付近は環境問題への取り組みなどが紹介されていました。

 

安藤忠雄さんが好きならもちろん、建築ファン以外でも楽しめる展覧会なのでは。個人的には、安藤さん作品自体そこまで興味深く見れないのと展示手法がオーセンティックなのとであまりグッと来なかったのですが、普段こういうところに連れ回されて無言の娘がとても楽しそうだったので行って良かったです。これってけっこうスゴイことですよね。

 

土日は激混みらしいですが、金曜の閉館間近に行ったところゆったり見られましたよ。金曜は20時までなので、ぜひ。