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シン・ゴジラ(日本、2016年)

映画の感想文

【映画パンフレット】 シン・ゴジラ SHIN GODZILLA 監督 庵野秀明 キャスト 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ

映画単体でこれだけはてブ*1がついたものはマッドマックス以来ではないでしょうか。いや、国内だからかマッドマックス以上のように思えます。というわけで、ちょっと時間ができたので見に行ってきました。今時期は「ゴースト・バスターズ」「ターザン」「ファインディング・ドリー」「ジャングルブック」など見たいものがたくさんあって目移りしましたが、私の前にチケットを買ったお姉さんが澄んだ声で「シンゴジラ」と頼んだので、気づいたら私も同じチケットを買っていました。会場は70%入りくらいで、「水平も垂直もスクリーン中央ど真ん中」といういつも狙っているシートに座れました。私にとっては初めての経験だったのですが、エンドクレジットが終わるまでほぼ誰も立ち上がりませんでした。すごく面白かったし、エンドロールもある意味とても面白かったのでそうなったのでしょうね。

※ネタバレあり

 

***

 

想像と違って、モンスターパニックものというよりはお仕事映画だったのが新しくて興味深かったです。ひたすら書類をコピーし、ハンコを押す公務員たちがかっこよく見える映画なんて今まであったでしょうか?事件の裏にある仕事の困難さや鮮やかな解決を見せる映画はたくさんあるけど、この映画のように不要に見える会議や肩越しの指示、役職が変わったことを執拗に見せていくスタイルは見たことがありません。役職名の白抜き明朝体大写しなどはギャグでしょう。「あの人は幸運だったから昇進できた」とか、「昇進には響かないので自由に発言してもらいたい」などのセリフがまた…。これは私のようなサラリーマンには非常に響く形で、不思議と半沢直樹を見ている時と同じ気持ちが起こりました。一人の英雄が躍進するストーリーよりも、組織力で打開するストーリーの方が日本には合っているのかも、とサッカーの国際試合などを見ていても思います。

「俺がいなくなっても、次の人間がいくらでもいるだろ」というセリフも「私が死んでも変わりはいるもの」を思い出させて、悲しいけどそれが現実よね~と思ったり。入れ替え可能であることは組織にとって大事なことで、例えば長谷川さんが死んで違う人に入れ替わり、当たり前のようにヤシオリ作戦を成功させる話だったら徹底してるなあと思ったでしょうね。庵野監督はそういう世界から一番遠い所にいると思われるのに、どうしてこういう面白さが表現できるのかとても不思議でした。

 

また、日本語が不明瞭でめちゃくちゃ速いため、何を言っているか分からず雰囲気でつかむだけということが特に後半多くなってきます。わざと言葉を重ねさせて分からないようにしている所もあります。「駆け込み女と駆け出し男」の時にも感じたのですが、不要でも全部のセリフを拾いたい勢としては字幕が欲しい。どうやら3時間の脚本を2時間に縮めるためにセリフを速く言わせているそうです*2

これはどっかで聞いたぞ…と思うと、マッドマックスでした。マッドマックスも全編80%を占めるアクションシーンを早送りしているらしく、だからこそあれだけのスピード感と情報量を感じることができるのでしょうね。短い動画視聴に慣れている現代人にとっては、多少分からなくなっても情報量が詰め込んであって流れが速い方が面白く感じるのかもしれません。

「落ち着き払っている悪役や大統領」などがおらず、全員もれなく焦っているというのも良いなと思いました。誰か一人に感情移入することはあまりない作品なんですが、その場の雰囲気にはのまれましたから。平泉成さんは例外的にまったりとしたトークを許されて(?)いましたが、そこだけ雰囲気が変わるのもまた良かったです。アメリカに対して超イエスマンなところもとぼけてて面白かったです 笑

 

唯一、かわいいかわいい石原さとみさんが変な役をやっていたのはよく分かりませんでした。長谷川さんや竹ノ内さんなど日本人役の日本人が日本英語をしゃべっているのはいいけど、仮にもアメリカ人として生きている女性(しかもクオーター?)があんなだったらおかしいでしょう。石原さんがどうとかではなく、単純にハーフに見えるネイティブスピーカーを起用すればいいのにと思いました。

 

最後になりましたが、ゴジラさんです。怖くて無敵に見えるのに、痛みも感じる不思議な存在でしたね。米軍からの攻撃に参って火の塊のようなものをおえっと吐くシーンがツボでした。そこから「あれ?僕光線が吐けるよ?」みたいな感じで一気に攻撃力が増します。

私は前情報を極力排除して観たので、ゴジラの動きが野村萬斎さんだということさえ知りませんでした。エンドロールを見て、「え?KREVA?前田敦子?えっ野村萬斎!?いなかったよ!?」と思いました^^;気になったのは、幼体のゴジラも野村さんだったかどうかです。私は地味な役で有名人起用などと聞くと「費用対効果はどうだったんだろう」などとゲスく考えてしまうタチです。マエアツさんは、そういう対象だったのかな~。絶対に失敗できないという東宝の気合を感じました。ゴジラは幼体のとき以外はゆったり歩くだけだったので、野村さんもただの宣伝要員なのかな?と思っていました。ところが幼体ははいつくばってグネグネ動き、ビルに飛び乗ったりするので、コレも野村さんならすごいな。全く違う姿に劇的に成長していく様子はたまごっちやポケモンみたいで、これも日本ぽいのかも。

それから、口から吐く放射線ビーム(?)はもとより、背中から出る光線の絶望感!モンスターパニック映画はCGのリアリティや破壊の規模なんかよりも「ちゃんとモンスターに絶望できるか」ということがずっと重要だと思うのですが、このゴジラには相当絶望させられました。見慣れた街、タワーが破壊されていくのも理由の一つなんだろうけど、あの光線で首相以下が全滅したときは「あああ…終わった…」とマジで思ってしまいました。

最後のしっぽは何なんだろう?人間がまとわりついた禍々しいものがついていたような気がします。牧先生のエピソードを鑑みると、今まで核の犠牲になった人の霊が宿っているのかなと思いました。

 

長くなりましたが、エンタメとして普通に面白いのに普通の映画っぽくなく、いい意味で日本謹製映画らしいなあと思いました。

 

 

*1:はてな社のサービスでウェブページをブックマークしコメントできるもの。

*2:http://bylines.news.yahoo.co.jp/sakaiosamu/20160812-00061026/