アンパンマン大好きな2歳の娘に、ばあばが初期アンパンマンの絵本を買ってくれました。
ついでに赤ちゃんの頃のアンパンマンの絵本も。
- 作者: やなせたかし,トムスエンタテインメント,キョクイチ=
- 出版社/メーカー: フレーベル館
- 発売日: 2005/08
- メディア: 大型本
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初期アンパンマンはけっこうな衝撃作でした。
飢えている旅人に自分の顔を食べさせるのですが、今のアンパンマンのようにちょっと千切ってあげるとかの生易しいものではなくガッツリと食べられます。しかも、砂漠に旅人を置いて飛び去るアンパンマン…。助けてあげてー!
頭を完全に食べられて、首なし状態でパン工場の煙突に墜落するアンパン男…
マントもパン工場もボロボロです。頭のアンパンも完全に食べ残しなく食べ切られるあたり、戦後の貧しい状況を反映しているのでしょうか。
最後は今までよりも一回り大きい頭を焼いてもらったアンパンマンが、ジャムおじさん(この時点ではパンつくりのおじさん)に「がんばらないとー!」と呼び掛けられるシーンで終わりです。なんだか、ヒーローと言うよりはボロボロに働かされている人という感じでなんとも郷愁があります。そもそも背景からして夕景スタート。じんわり。
色遣いもシブくてけっこう怖い絵が多いのですが、不思議と最近のアンパンマン絵本より娘の反応が良く、一度に平均5・6回読まされています。後書きにやなせたかしさんによる「ヒーローは本当はかっこ悪くてボロボロなはず。ヒロイズムとはそういうものなのだ。さて、こんな自分の本は受け入れられるだろうか?」という投げかけが書いてあり、実際に大成功しているのでかなりカッコいいと思いました。初期のアイディアは今見ているモノとはだいぶ違ったのですね。
こちらは現代の「アンパンマンの起源」を描いた作品。
赤ちゃんのアンパンマン絵本ですが、これは別の意味で怖いというか不気味…?今のアンパンマンとほぼ変わりない姿のアンパンマンが、赤ちゃんの頭巾とおしゃぶりをくわえた状態で「アンパンマンでちゅー」「バイキンマンをやっつけるでちゅー」と言う感じです…。絵柄は今のアンパンマンと同じ、明るくて影のない描き方です。
なんと、初期のアンパンマンに出てくる冒頭のエピソード「今にも死にそうな砂漠の旅人を助ける」というのが出てくるのですが、元ネタとは違って赤ちゃんアンパンマンが一生懸命旅人をしかるべきところに送りとどける話になっています。顔を食べるシーンはナシです。
まあ、確かに赤ちゃん(まだ弱い存在)が一生懸命旅人を運ぶ姿は献身的ですし、そもそも旅人を安全なところに送り届けているので原作のアンパンマンよりも道徳的、なのかも。顔を食べるシーンがなくてグロくもないので、安心して観られます(?)。ちなみに旅人役はやなせ先生。
その後、バイキンマン(こちらも赤ちゃん)と戦う姿が描かれたり。バイキンマンは卵から産まれたらしい!菌じゃなかったのね。しかし、メカに強いバイキンマンも赤ちゃんの頃はショボイマシーンに乗っていたりしてこれまた郷愁を誘います。
アンパンマンは強くなり過ぎたか?
アンパンマンのアニメを見ていると、アンパンマンは必ず勝つ普通に強いヒーローになっており、バイキンマンがいくらひどくてももはやどうでもいいというか…悪と善の対立というパワーバランスを超えているように見えるんですよね。アンパン側は限りなくたくさんの仲間がいる(しかも徐々に増えている…?)のに対して、バイキン側は気ままでやる気のないドキンちゃんだけだし、ホラーマン・ホラホラコとカビルンルンも何の役に立っているのか不明です。そこをメカの力だけで切り抜けようとする孤独なバイキンマン。結構すごくない?まあ、悪さしなければいいという話なんだけれど、もともと「誰かの役に立つため」に目覚めたアンパンマン、問題をつくられなければ存在意義もありません。バイキンマンは必要悪なのです。
何を熱くなっているんだ?
初期のアンパンマンの必死さ・ボロボロさをみていると、無駄に熱くなってしまいました。そんなことはどうでもよくて、幼児たちの注意を抜群に引いてくれるだけで、アンパンマンたちは存在意義おおありなんですよね。うん。そこを忘れてはいけない!(何の話だ)