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ブルックリン(2015年、アイルランド・イギリス・カナダ)

ブルックリン 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]

「ぬ、ぬぅ…(|| ゜Д゜)」(←映画を観た感想)

なぜラオウ風のコメントを発しているかというと、一筋縄ではいかない主人公でなかなか興味深かったからです!笑 「カワイイ顔してなかなかやるわね!」という感じでして(何)いや、面白かったです。

1950年代のアメリカを描いた映像も美しく、女性のファッションも良かったですね。ちょうど「キャロル」と同じ頃で、似た雰囲気があるのですが、「キャロル」よりも年齢が若くて凝った衣装が色々と見られます。

以下ネタバレとバリバリの主観なので観る予定の方は読まない方がいいかも。

 

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主人公はシアーシャ・ローナン、「つぐない」「ラブリー・ボーン」の驚くべき子役であり「ブダペスト・ホテル」でも感じの良い少女を演じていました。一言でいうと「むちゃくちゃ良い子っぽい」という感じ。いま20歳くらいだと思うのですが、年齢より幼く見えます。


「ブルックリン」ではアイルランドの片田舎に住む素朴な少女を演じていて、閉鎖的な町でいじわるな職場の上司、病気で気難しい母、美しくて優しい姉、自分よりモテる友人(笑)などに囲まれて住んでいます。この時はあか抜けない雰囲気で、いつも「2番目以降の子」。町で人気のあるラグビーチームの男の子たちに見向きもされないという設定です。単身ニューヨークに移住することになってから、ぐいぐいっと話が動き出すんですね~。

 

ニューヨーク・ブルックリンには厳しいけど優しい下宿の寮母さん、個性的な下宿人の女の子たち(ファッションがかわいい!)などがいて、その女の世界も面白かったですね。

下宿人たちや会社の先輩には「地味な子が来たわね」という扱いですが、シアーシャちゃんはまじめで優秀なので年上に好かれます。神父さんの計らいで大学に行けることになり、寮母に好かれて一人部屋ももらえて、「アイルランドの女の子が好き」というイケメンイタリア人彼氏もできて…という感じで驚くほど人生がうまくいってしまうシアーシャちゃん。周りに愛され高速であか抜けて行きます。

こんな感じで周りに持ち上げられても「さもありなん」としか思えないのが、まさにシアーシャ・ローナンだと思いました。まさにラブリーにボーンなんですよね(*´∀`)(それはボーン違い)

 

ただ、「アレ?」と思ったシーンもあって。変わり者の新人女子が寮に入ってきて、女の子たちはそのお世話を押し付け合うんですが、シアーシャちゃんはいい子なので当然引き受けます。ですが、外出先でまだ恋人になっていない時のイタリア人彼に出会い、新人を「あの子サイアクなの( ・ε・)」と言ってさりげなくまきます。けっこうスゴイことするな!と思ったのが一つと、「このシアーシャちゃんは意外とちゃっかり者?」と思ったのがもう一つ。そこから流されるように結婚→姉の死→浮気(?)→母を置いて帰国 となるので、個人的には「まあ、実はちゃっかり者だからね(;´∀`)」と納得の流れなのでした。笑

 

すっかり「あか抜けた女性」に変身した後の帰国は気持ち良かっただろうし、以前より魅力的な自分の居場所があると感じた経緯も分からなくはない。ラグビーチームの一員でお金持ち、両親は今から引っ越すというむちゃくちゃ都合のいい新恋人の設定にはちょっと笑えました。それを演じているのがドーナル・グリーソンというのも頷け過ぎる!このいい人そうだけど退屈で残念な役は彼しかいないだろうと(そこ失礼)。

置いて行った母についてはいくらなんでもヒドイなと思いました。狭い町なので、町のお金持ちに嘘をついてさっさと出国した娘の母なんて、ものすごく肩身が狭くなりそうです。なんとか次女をおびき寄せようとする孤独で老いた母、あまりにリアルでしんどい設定。原作未読ですが、NYに呼び寄せるか何かフォローがあるんだろうなと思います。

 

そこからまた新天地に向かうシアーシャちゃんの、冒頭船シーンの再現などは痛快でした。

移民の街での新しい暮らしは苦難の選択だろうと思いますが、20歳で、優秀で、活き活きとした彼女にはぴったりの非常に爽やかなラストでしたね。ホームレスの配膳ボランティアで出会ったような、祖国ともアメリカとも断絶された移民の暮らしではなく、力強く自分たちの居場所をつくっていく未來が見えました。ロングアイランドに新居なんて、その後の不動産価値の上昇を見ると完全に「勝ち」の選択ですしねヽ(・∀・)ノ(ゲス顔)

 


素敵な映画なのにここまでゲスい話に見てしまう自分にガッカリです 笑