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ザ・ビーチ(2000年、アメリカ)

映画の感想文

ザ・ビーチ (特別編) [DVD]

美しくて残酷な「人生の寄り道」

「スラムドッグ$ミリオネア」や2015年の「スティーブジョブス」などのダニー・ボイル監督作品で、レオナルド・ディカプリオ主演です。

「ご飯を食べて仲間とつるんで、映画を観て…どこを旅しても同じことをしてしまう」。タイに旅行に来ている若者が「なんか面白くないな」と感じ、見知らぬ男からもらった地図を頼りに冒険に出るが、物事はおかしな方向へ進んで行って…という話。変な映画だったけど前半はかなり楽しかったし、見てよかった(´∀`)メッセージ的には「トレインスポッティング」と似たようなものを感じました。

 

※ネタバレというか鑑賞後の方が内容が分かる文章になってしまいました。

 

フランス人彼氏の役割はなんだったのか

この映画は途中から雰囲気がかなり変わります。前半は不穏な感じはあるものの無邪気に楽しく、後半は同じ内容の反対側を描いたグロテスクでヒリヒリした世界です。目につくのは白人たちの妙な子供っぽさ。子どもが集団生活しているような感じで、彼らが犠牲にしているものの正体が見えてくるにつれて冷たい手で心臓をつかまれているような気分になってきます。

 

気になったのは一緒に旅を始めることになったフランス人彼氏の存在(名前が難しくて覚えてない(;´∀`))。行動力も良心もあり、あの集団の中では唯一の大人であり、馴染んでいるように見えて最後まで異質な人間でした。「楽園」にリチャード(レオナルド・ディカプリオ)を連れてきたのは彼ですが、集団の中では彼は無力です。集団の中で力があるのはリーダーだけのようです。サルというティルダ・スウィントン演じるリーダーは、理想主義で自分勝手なキャラクター。Salは沙羅双樹の意でしょうか。教祖的な意味合いを持たせたかったのかもしれません。

 

冒頭からずっとお子ちゃま的に描かれるリチャードは「子供の女王」サルの意に沿いますが、後半から欺瞞に気づき最終的には楽園を壊します。その過程がゲームチックに描かれたり、現地住民に憧れたり、集団との距離を感じさせる演出があるのですが演出過剰気味で散漫な感じがし、後半の展開は唐突に感じてしまいました。

 

この映画ではリチャードはたぶん成長はしてなくて、本当に「人生の寄り道をした」というだけで映画が終わっているんだと思います(そこがトレイン・スポッティングと似ている)。だから後半の展開は分かりやすい成長物語にはなっておらず、中途半端にならざるを得なかったのかな、と。それはそれでいいんだけど、前半が面白いだけに後半がダルく感じてしまいました。唯一の大人キャラであるフランス人彼氏がもっとサルやリチャードと絡んだり、怪我人や寝返った人を連れて早々に逃げてしまったりしたら印象が変わっていたかもしれません。

ロードムービー的に見ればいいのか。うーん。いやこれはこれでいいのかも。うーん。爽やかさと気持ち悪さが同居する、見たことがない面白い映画でもありました。