ちょっと前になりますが、ドイツのデュッセルドルフに遊びに行きました。
現地の方におすすめ建築を聞いてみると「ゴットフリード・ベーム!」と教えてもらったので見に行くことに。プリツカー賞受賞建築家らしい。「神・自由度・ベム(妖怪)」と覚えるといいらしいです(なんだそれ)
ゴットフリード・ベームのかなり大きな教会作品があるとのことで、デュッセルドルフ郊外に足を伸ばしました。デュッセルドルフからさらに電車で1時間ほどのVelbert-Nevigesという駅から歩いて5分くらいです。読み方は分かりません。フェルバート、、、ネフィグス、、、?
建物がちょっと見えてくるだけで、みんなの口から「お、おお~…」という声が漏れてきました。なにこれ、山なの?
わたしが撮ったしょぼい写真を見るよりも、グーグルマップの3Dでぐりぐり動かした方が面白いのでは?と思ったけど、形が複雑すぎてグーグルが全然対応できてないわ。
模型で見るとこんな感じ
小屋が寄り集まったような、アリ塚のような不思議な屋根形状。線は全て非対称で、曲線もあります。
暗すぎて全然見えないけど、一応トップライトはあるんですよ。
コウモリがいそうな真っ暗のたっかい天井!
余談ですが、ヨーロッパの古い天井の高い建物には実際にコウモリが住んでいることがあり、改築するときは住人たち(コウモリ)をリスペクトして、建築家がコウモリの専門家を呼んできて協議するんだとか。一体どこからツッコめばいいのか!
柱はほぼ見えないけど、象徴的に塔のようなものがにょきっと1本あります。
週末でしたが観光客は皆無で、ずっと聖母子像に向かって祈っているおじいさんと、熱心に何かの宗教儀式の練習をしている家族しかいませんでした。
こんなすごい建物なのにネットの情報もほとんどない!
広さや高さは分からないんだけど、いわゆる大聖堂クラスの大きさと思っていただければよいかと。特に天井高は、暗くてあまり見えないせいかむちゃくちゃ高く感じました。ただし、降り注ぐ神聖な光とか神殿みたいな柱とかは皆無で、山みたいな洞窟みたいな雰囲気のくらーいひろーい独特の雰囲気。
ステンドグラスのタッチがなんともエグい
地下には何やら怪しげなバラの部屋があったりして、いつもの「教会」となんか違う雰囲気でした。神聖なだけでなく、どことなく禍々しいような…。宗派の問題なんだろうか?色々調べてみると面白そう。
色々とびっくりしたのだけど、一番ギョッとしたのは、この1枚の扉
分かりますか?
取っ手が「手」なんです(しかもリアルな)
それだけじゃなく
扉の上部からはニョキニョキと指があああーーー!ヒーーー
「聖人たちから手を差し伸べられる」とか、何か素敵なミーニングがあるのだろうけど、正直めちゃくちゃ怖いっす。内側からたくさんの人が逃げようとしてるみたいだよ…。ウォーキングデッドの見過ぎだろうか。
1968年竣工。
こんな巨大な、しかも構造計算が死ぬほど複雑そうな建物を、一体どうやって設計し、施工したのか。すごすぎる。
これがなんなのか私にはまだ消化できてないけど、消化する必要もなくてただそのまま受け止めるべきなのかもしれない。頭で考えて作れるものではないし。かと言って背景にかなり詳細で具体的な世界観を持っていることは、よーく分かります。完全に天才だー。
すっかりゴットフリード氏に魅せられた我々一行は、次のゴットフリード建築を見にケルンへ。ケルンはケルン大聖堂で有名なデュッセルドルフ郊外の街です。大聖堂よりもゴットフリー堂だぜ。
トラムの仕組みを解明するのが面倒だったので、タクシーに。ドイツはタクシーがけっこう安いのでついつい乗ってしまいます。行先を言うと、「アジア人がなぜそんなところへ?」という顔をされましたが、ささっと連れて行ってくれました。グーグルマップ上では"Christi Auferstehung"(キリスト復活教会?)という名前でしたが、詳細は不明。
きたー
左側のぽこぽこ丸いのもゴットフリードですが、教会は右手の屋根が重なりまくってる方です。こちらはグーグルマップの3Dぐりぐりで遊べるみたい。
どん
閉まってるーーー!12時からーーーなんでーーー
でも、外観からでも伝わる、この素晴らしさ。屋根が寄り集まったようなイレギュラーな形はMariendom Neviges(ネヴィゲス巡礼教会堂)と同様ですが、こちらは陸屋根(屋上がある屋根)だし、レンガとコンクリートの2素材を使い分けているのが特徴的でした。
ちょっとした広場の作り方とか、雨仕舞とか、ディテールの妙も楽しむことができました。
そしてやはり…
あったー!怪しい扉!
よく見ると、やはり手が。左下です。今回は控えめだけど、十分怪しいぞ。
ゴットフリード氏はご存命で、実はケルンに生まれ育ち、ケルンに事務所があるのだとか。
電車で帰っていると、「あれはゴットフリー堂では!?」と思われる建物とすれ違ったりして、まだまだ探検したい作品群がありそうです!また来よう。
おまけ
社会科の教科書にも載っているケルン大聖堂に行ってきました。親切にも駅前に建っているのです。あまりに大きいので、娘が「え?」と目を丸くしていました。ゴシック教会は外観から作り込みに驚かされます。デカいのに、どこまでも細かい。
大聖堂はどこに行っても大聖堂ですね。
実はこんなところに現代アートが。ステンドグラスが1枚だけゲルハルト・リヒターの作品なのです。けっこういい抜け感だなー。
他のステンドグラスの様子
ケルン大聖堂の裏側には、これまた素晴らしい建築であるピーターツントーの美術館があるのですが、それはまた別の話。
以上、「神・自由度・妖怪」建築家に度肝を抜かれた話でした。
追記:
ちょうどアーキテクチャーデイリーで、ゴットフリードベーエムの特集があってました。私の下手糞な写真よりも、こちらを見ていただいた方がよいですね…。www.archdaily.com