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ペット2(2019年、アメリカ)

【 チラシ付き、 映画パンフレット 】 ペット2

いつものごとく娘6歳とのデートで見た。イルミネーション・エンターテイメント社の作品。イルミネーション・エンターテイメントはピクサーなどと比べて制作費が安く、あまり説教臭くないところが特徴で…などと書き始めようと思ったら、全く同じことを3年前に書いていた。引用してみる。

 

ここは制作費が低くて、なんとピクサーやディズニーなどの半分くらいでつくっている。それは例えば街並みの表現力なんかの差に出ているんだけど(SINGの街並みはベイマックスのサンフランソーキョーやズートピアの街並みにはかなり劣る)、肝心のキャラクター造形は非常によくできていて個人的には問題なし。それでいて興行収入はベイマックスを上回っている。すごい。

 

また、昨今のポリティカルコレクトネスやダイバーシティー重視のアニメ映画とはちょっと毛色が違って、割とステレオタイプなキャラクター造形がそのまんま出ていたリする。あまり思想に政治性や社会性がないように思える。個人的には、説教臭くなくこれはこれでアリだと思う。

 

劇場で公開するタイプのアニメ映画は親も楽しませる必要がある。ポリコレ系のアニメ映画だと政治的な裏テーマを読み解く楽しみがあったりするのだけど、イルミネーション・エンターテイメントだとこれも直球で、昔の音楽や音楽にまつわるネタをちりばめて大人にも楽しめるようにしてある。

 

実際、ペット2は8千万ドルで作られていて、例えばトイストーリー4は2億ドル。半額以下やん。こに制作費の違いはどんな違いを生んでいるのか。

各社で2016年から今までで何が作られているかというと、

 

ピクサー・アニメーション・スタジオ:

  • カーズ(未見)
  • リメンバー・ミー
  • インクレディブル・ファミリー
  • トイストーリー4

 

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ:

  • シュガー・ラッシュ:オンライン

 

イルミネーション・エンターテイメント:

  • 怪盗グルーのミニオン大脱走
  • グリンチ
  • ペット2

 

ついでに個人的に好きなドリームワークスはというと…

  • ボス・ベイビー
  • スーパーヒーローパンツマン(未見…っていうかナニコレ??)
  • ヒックとドラゴン聖地への冒険(←やっと来た!ずっと楽しみにしている作品!)

 

やはり、ディズニーやピクサーはよくできていて外れが少ない。その半面アクが少なく個人的には物足りない…などと思っていたけど、改めて見てみるとリメンバー・ミーは舞台を南米にして地域風俗を描いた意欲作だし、シュガー・ラッシュ:オンラインではプリンセスをメタ的に登場させ自虐ネタを取り入れるなどけっこう冒険している。

 

対するイルミネーション・エンターテインメントだが、シングで現代的な悩みに切り込んでエンタメに昇華させた…と思ったが、以降の作品はいつものイルミネーション作品という感じで、面白おかしくはあるけれどメッセージ性はあまりない。

 

ドリームワークス…はちょっと置いておこう。独自すぎるがそこがいい。

 

そういう流れの中で見ると、ペット2は悪い意味でのイルミネーションぽい作品で、エンタメに徹しており深さはない。前作のペットは、まだ「ペットの遺棄問題」に正面から取り組んでいるように見えたが、今作は中途半端に色々取りこんだ結果、どのテーマもあまり現実味がないまま終わってしまった感じだ。

特に、重要なストーリーラインの一つである虐待されるサーカスのトラが回収されないまま終わったのが残念だった。生物としての動きもトラらしさがなく、あまり愛着が持てなかった。

こんなに中途半端ならメインストーリーの「飼い主との子供との成長」を深堀すべきだったのだが、こちらは間がすっぽりと抜けているためラストに向かっての決着感が薄い。牧場に行くだけだったら地味だし…という配慮の結果なのかもしれないけれど、例えば引っ越すだけの話であれだけの世界観があった「インサイド・ヘッド」などを見てしまうとそうも思えなくなってしまう。

キャラを躍らせてストーリーをぶん回すのに集中しすぎていて、肝心のメッセージは付け足しという感じだ。

 

とまぁ色々文句はあったのだけど、娘は「まぁまぁ面白かった。うさぎちゃんがかわいかった。」と言っていたので良しとしたい(なんだそれ)。うさぎのスノーボールは、前作では「まさにチャッキー」という感じの凶暴なウサギだったのだが、なぜか今作だと非力な可愛らしいキャラに変貌していた。ギジェットやクロエなど、前作からいるキャラクターは相変わらず魅力的だったし、異常行動に走ってしまうマックスも現実のペットにありそうな設定で、ペットを飼う人には刺さる表現だったと思う。

 

とりあえず、今年は「ヒックとドラゴン3」がようやくみられることを確認したので安心した…。