現代アートだと思って覚悟して観よう
これは、ベネチアで金獅子賞受賞ということでミーハー心で見てみました。DVDで。ただ、ごめんなさい、あまりよく分からず…。
映画の印象としては、美術の展覧会に近いと思います。ワンシーンワンカットで、ほとんど固定されたカメラに映し出される緻密な世界に引き込まれます。ワンカットごとに割とどうしようもない感じの(それこそ人類ってしょうもないなという感じの)一つのエピソードが映され、次に移り、次に移り、エピソード同士に関連性はないものの話は少しずつ進む…という感じです。全然違うけど、バベルっぽい!?
なんと100%スタジオ撮影ということで(しかもスタッフは10人のみ!)、画面に書き割りか模型しか映っていないのです。色合いは淡いグレージュのフィルターがかかったような、全体的に彩度の低い感じ。人物は全て死人のような顔色。エドワード・ホッパーという画家にインスピレーションを受けているということで、確かに色合いも構図も似たようなシーンがたくさんありました。これらなど:
リリーのすべての映像は『フェルメール』やキャロルと同じように『エドワードホッパー』のような要素がある、と思っていたけれどトムフーパーは『ヴィルヘルムハンマースホイ』をイメージしたんだね。
— Shun (@les_xx20) 2016年3月27日
まさに青とグレーの色彩、構図がズバリだった。 pic.twitter.com/XDLDm6kscR
ただ、「さよなら、人類」の方はもっと脱色されたようなけだるい色ですけどね。
話はちょっとずつ発展していき、なかなか衝撃的なシーンもあるのですが、「うーん、で?」と思ってしまいまして…。エピソードごとに印象に残ったものもあるにはあるのですが、それが私の中で何かの考えや思いにまで到達できませんでした。
俯瞰的に構造を見たり、ディテールを拾って行ったりすると面白いような気がするのですが、結構退屈で…。映画ではなく現代アートだと思って、もう少し自分で貪欲に何事かを感じ取らなければならなかったと思います。鑑賞者の姿勢も問われる映画でした。