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LION~25年目のただいま~(2016年、オーストラリア・アメリカ・イギリス)

 「LION/ライオン~25年目のただいま~」オリジナル・サウンドトラック

幼い頃迷子になった貧しいインド人少年サルー(デーヴ・パテール)が、オーストラリア夫妻に引き取られて育ち、成人した後にグーグルアースで故郷を探すはなし。実話だそうです。感動作で、ボロボロ泣きました…。

「スラムドッグ$ミリオネア」のときボンヤリしたヒョロヒョロの青年だったデーヴ・パテールが、すっかり都会的マッチョメンになっていたのが嬉しかったり(何)「スラムドドッグ」のときと同じく極貧の少年時代を生き抜いて立派に成長する話でもあり、その間の出演作を全く見ていなかったのでついつい重ねて見てしまいました。

 

子供の目線に徹底的にこだわった少年時代の描き方が大変良かったです。「スラムドッグ」の走り回る子供目線も躍動感があって素敵だったんだけど、本作は不安や焦燥感、安心感など、カメラの動きに感情が乗っていて没入してしまいました。子ども時代の子役(めちゃくちゃカワイイ)は未就学児なのでそんなに演技らしいことはしないのですが、このカメラワークと、カット後の「泣いた跡メイク」などでぜんぜん気にならず。むしろ素朴で子供らしくて良かったなー。声がカエルみたいなのがまたかわいかったですね。

 

サルーはストリートチルドレンになってしまい、貧しい子供に降りかかる色々な災難―人身売買、児童買春―などに落ちていく子供たちに出会います。路上で寝ているときに段ボールをくれた子、養護施設で手を繋いでくれた子、…たくさんの子供たちと出会って、短いけど深い心のつながりを感じるシーンが魅力的。

でも、みんな不幸な未来を思わせる形でサルーと別れます。警察も見て見ぬふりで、児童養護施設の職員はグルになっていました。賢いサルーは「信じてはいけない大人」のニオイを鋭く察知して逃げ回るので、映画を見ている方としては応援しやすいんですが、ほとんどの子供たちはそううまくいかないんだろうな。

のちにオーストラリアの養父母のところにくるもう一人の養子は精神を病んでいるんだけど、彼は何かひどい目に遭ってきたのかもしれません。この二人が同じ親に育てられながら全く違う大人になるのも示唆的でした。

そういう意味では、稀有なサクセスストーリーと言ってもいいくらいです。

 

もう一つの大きなテーマは、無償の愛でした。養母を演じたニコール・キッドマンはさすがの存在感。インドでの幼児期に比べ、バランス的に軽めにせざるを得ない少年~青年期がそれなりに重量感あるストーリーになっていたのは彼女のおかげでした。緊迫したストリートチルドレン時代から、養父母に会えた時の安堵感が凄まじく、ここで一回涙腺崩壊しました。。

インドの実母やお兄ちゃんが、味やにおいと共に幸せな記憶として描かれているのも良かった~。

 

とまあ、良さしかなかったんですが、あまり本筋と関係ない恋人役のルーニー・マーラがほとんどのビジュアルでメインみたいになっているのは不満でした。ポスターを見て恋愛モノかと勘違いしましたが、むしろ家族の方がメインの話でしたね。

またご本人の見た目が全然違うので、本人映像出すなら主役はデーヴ・パテールじゃない方が良かったのかなと思ったりも。ニコールキッドマンは雰囲気でかなり似せていたのですが、本人は180度違うと言っていいくらい方向性の違う顔だったので…。違和感ありすぎ。

ラ・ラ・ランド(2016年、アメリカ)

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック 

「セッション」が好きだったので楽しみにしていたのですが、気づいたらどんどん話題になって、アカデミー賞を獲りまくったりして、その後みんな見始めると今度は賛否両論だったりして「なんだかめんどくさそう」と勝手に気持ちが遠ざかっていました、ラ・ラ・ランド。

もうレイトショーで1日1本くらいしかなくなってきて、いよいよ劇場公開終わるかというタイミングで見てきました。お客さんはわたしと、2席離れたところに座ったメガネのオシャレ男子だけ。空いてるとてきとうに席を移動したりできるので好き。

 

ただ、あまり心が動かなかったです( ;∀;)心が動くかどうかが映画が面白かったかどうかの指標になるのかは置いといて、ですが、、、なんでだろう。恋愛モノのせいか(わたしの趣味嗜好の問題)。女優や音楽家のサクセスストーリーだともっと面白いのがいっぱいあるので、その線でもあまりピンと来ず。ストーリーは「なんとなくそうなるだろうな」としか思えず(ラストの衝撃とか言ったやつ!コラーっ!)。セブは料理が好きなんだ、とか、ミアの色の白さはスゴイな!とか、JKシモンズカワイイ良かったとかそういうことばっかり印象に残っています。

 

ダンスや歌は冒頭の群像の部分は良かったのですが、ミアとセブのはどれもパッとしなかったですね…。よく言えばナチュラルなのか。ジョン・レジェンドさんの圧倒的歌唱力が印象的でしたが、映画の位置づけ的には「テンコモリの変な演出」がされていて、レジェンドさんはあれで良かったのだろうかと思ったりも。自分が歌って踊れるわけでもないのにエラソウにすみません。でも、「現代によみがえるザ・ミュージカル総集編」という観点なら、「ヘイルシーザー」の方が技術が高くて視点がメタくて面白いですよ。いやマジで。

 

時代がめちゃくちゃなのがドリーミーで興味深いし、ぐいんぐいん動くクラフト感ある映像がなんだか良いような気がしたし、色にこだわっているのが楽しいし、「てってってっててっててってってってってってっててってってって」というメインテーマはいつまで続くんだというくらい頭にこびりつきました。

豊島の「海のレストラン」と、「豊島横尾館」

「海のレストラン」は豊島の家浦港からバスで1駅の、海沿いにあるレストラン。デザイナーの二俣公一さんが設計している。

わたしはランチを安部良さんの「島キッチン」でとったので「海のレストラン」ではワインを1杯飲んだだけだったけど、こちらもとても素敵な場所だったので次回はここで食事したいと思った。

 

なんせ立地が良い。

海岸に沿って40メートル続く細長い建物で、軽いアーチ屋根がかかっている。

柱や手すりなど、海側の構築物がとても細くて軽いので、視界の隅から隅まで瀬戸内海の優しい海の景色が満たしてくれる。手すりの細い4本のワイヤーは、海にかかる五線譜のように見えた。

 

テラコッタ色の着色コンクリートが特徴的。

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その日は曇りだったので、海と空が青から薄いグレーのグラデーションをつくっており、それとテラコッタ色がよく合う。

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夕日になれば、光がテラコッタ色と溶け込むように見えるんだろうな。

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ここから歩いていけなくもない距離にあるのが「豊島横尾館」。横尾忠則さんと建築家の永山裕子さんのコラボレーションによる、家一軒と庭園をつかったインスタレーション空間だった。

横尾忠則の良さについては、私はよく分からないんだけど、赤い光を通して見る普通の家と肉眼で見るド派手な家の対比は面白かった。ギラギラの「横尾式トイレ」も面白い。見ていて全く落ち着かない真っ赤な庭園を見ながら、なんだかんだで30分くらい休憩してしまった。

 

最後になってしまったが、安部さんの島キッチンもいい。店をぐるりと囲む3次元曲面の屋根が注目されがちだが、古民家を改造した店内がこじんまりしていて魅力的だった。

 

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予想外にいいものたくさんで、帰るときに名残惜しかった豊島

 

***

 

そんなわけで、直島と豊島に行ってきた。子連れなのでどうなることかと思ったけど、バスや船を駆使してうまいこと移動できたし、見るべきものもたくさん見られて充実した旅行だった。

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どこに行っても花と緑と海が目に入って、それだけでも幸せになれたり。

 

次はいつこれるかな~。

 

豊島美術館が素晴らしすぎた件

豊島は「とよしま」じゃなくて「てしま」と読むらしい。

西沢立衛さんが設計した「豊島美術館」のことは、「水滴みたいな形の美術館」としか認識していなくて、それが「てしま美術館」なんだということはなんとなく知っていたわけだけど、豊島という文字には全くなじみがなかった。


豊島は、直島から船で30分くらい。瀬戸内海に浮かぶいくつもの小さい島の一つで、大きさは端から端まで歩いて1時間ほどだ。

主要な産業はなく、強いて言えば水が豊かで気候がいいので農産物が豊かに実り、水産物も豊か。その昔、産業廃棄物を何十トンも捨てられたことが事件になった。


しかし今や、ベネッセによる直島アートプロジェクトの一環で豊島にも魅力的な施設が立て続けにつくられ、世界中から観光客が訪れるようになった。

その筆頭が豊島美術館。

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豊島美術館の衝撃というのはなかなかすごいものがあった。「美術館」とは言うけれど、それまでの展示作品が定期的に入替るホワイトボックス型の美術館とは考え方が全く違う。

まず、展示物というものがない。巨大な開口部から雨風が入り、室内ですらないので、建物ではないと言ってもいいくらいだ。しかし内部はとても広くて、2400㎡くらいある。これだけ広いのに、展示物はない。

 

ここで鑑賞できるのは、生き物のような水であり、大きな風であり、丸くて延々続くような光だ。

 

白いコンクリートむき出しの内部は、側面の壁がなく天井がそのまま床につながっているので、終わりが見えない。光はこのまあるい壁を伝い、すべてをぼんやり明るく照らす。

ところどころに細い、気をつけなければ見えないような糸が垂れていて、ゆったり動く大きな空気を見せてくれる。


そして、床のあらゆるところに、よく見ないと分からないくらい小さな小さな穴が空いている。ここから水が少しずつ出てくる。水は大きな玉になって、いよいよ丸い形を持ちこたえられなくなると、今度は蛇のような形に変わりながら床を転がっていく。床は強力なはっ水加工がされているので、普段見ることのできない大きな水玉に成長できるのだ。

ちなみに、この撥水加工は週に一度やり直されているらしい。水の出方にも工夫があって、一つ一つの穴から、あるタイミングで、それぞれの量の水が滲み出すようになっている。床全体には水玉が走り始めてようやく分かる程度の、ゆるい勾配がついている。

 

建物全体が作品として完結している、空間装置のような場所。地中美術館もだが、ここも行ってみないと分からないとしかいいようがない。

 

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「地底から染み出る水滴」イメージ写真(台無し感)

三分一博志さんの「直島ホール」

今年の建築学会賞が三分一さんの直島ホールになったということで、さっそく見学してきた。場所は直島の役場横で、見学には役場の教育課にて「施設利用」という名目での申請が必要。利用料は、島民外で1時間3千円ほど。ちなみにこの町役場もジブリに出てきそうな濃い建物で、石井和紘さんが設計したらしい。直島には、小学校や保育園など石井さん設計による建物が多く、見ていて楽しい。

 

直島ホールは巨大な屋根が特徴。盛り土にかかる大屋根は三分一博志さんのアイコンのようなものだ。てっぺんに大きな穴が空いており、熱い空気がそこから逃げて室内の気温が涼しく保たれるという三分一さんならでは工夫がある。(見に行ったときはとても寒い日だったので、この恩恵にあずかることはできなかった。むしろ、寒かった~。)

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全体的に木で仕上げており和風の設えだが、中身は厳然たる現代建築。鉄骨とRCの混構造らしい。巨大な屋根を支える構造はあまり目に入らず、屋根の内側は白漆喰で角もなく滑らかに仕上げられているせいで、室内は驚くほど軽やか。

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室内に入るとハッとするほど美しい。こんな風景を見たことがある人は少ないだろう。

この白い美しい屋根部分を見せるために、トイレの個室一つ一つにまでトップライトがとられているのには驚いた。

 

隣に集会所がある。こちらも大屋根の下に機能的な箱がポツポツ置いてある同じ構成だが、集会所の方は鉄骨造で中にある4つの小屋は木造。中心のトップライトの下に、井戸があるのが面白い。

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どちらも細部や外構までよくできていて、さぞかしお金がかかっているんだろうな…という印象。総工費は合わせて8億6千万円だそうで、これは思ったより少なかった。いずれにせよ、一見の価値有りだろう。

ちなみにこちらは写真可だったのに、ほとんどに娘が写りこんでいて使える写真がなかった。全然わからんよね。ごめん。

 

本村港周辺は街歩きに最適。

ちなみに直島ホールの周辺には家プロジェクトやANDO MUSEUMなどのギャラリーが固まっているし、洒落たカフェもいくつかあって街歩きが楽しめる。直島のメイン玄関は宮浦港ではあるが、本村港周辺の方がゆったりしていて個人的には好きだった。

ただし船の本数が極端に少ない。今回は時間が無かったので船のチャーターを利用したが、1万円ほどだった。人数が集まるならそれほど高くなく利便性が段違いなので、検討してみてもいいかもしれない。

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海上タクシーのおっちゃん、電話したら本当に港にふらーっと来てさっさと連れて行ってくれた。なんかすごい。

地中美術館(と、ベネッセアートハウス)

直島のメインコンテンツと言えば地中美術館だと思う。ある一つの展示品の為だけに、細部までアーティストと建築家が意見をぶつけてつくった、恒久展示のための建築物というのは、世界中探してもここにしかない(たぶん。間違ってたらゴメンね)(もちろん豊島美術館もそう)。この手法は”site specific works”というらしいんだけど、一般的には自然物の中に設置してあったり、期間限定だったりすることが多い中、建築家を巻き込んで大規模な施設にする例はあまり聞かない。

建設は2004年だそうで、わたしはどうやら建設すぐのときに見に行ってたみたいだ。その頃はここと、ベネッセアートハウスと、いくつかの家プロジェクトしかなかった。(ちなみに、宿も飲食店も今のように充実していなくて、けっこう大変だった。)その時は地中美術館の印象が強すぎて、他に何を見たか覚えていないくらい。

 


地中美術館の魅力は一言で言い難い。

 

例えば、モネの睡蓮を自然光で見られるのはここだけだろう。美術館の近くには、モネの睡蓮を再現した庭もある。ウォルター・デ・マリアの大規模な恒久展示もここだけ。ジェームズ・タレル…はけっこう色んなところで見られるか。

誰かに聞かれたら、こんなような「コンテンツのレアさ」なら説明することができる。


ただ、それだけではうまく説明できない。館に入ってから出るまでの、一連の経験としての魅力が大きい。

 

地中美術館は文字通り丘陵地に埋まっており、「モネの庭」を通過し、まず地下2階から入っていく。最初は緑(名前失念)が生い茂る三角形の庭をぐるりと廻りながら、暗い細い廊下を通ってウォルター・デ・マリアの展示室につく。緑の正三角形を通って、黒い巨大な球と金色の三角柱、四角柱、五角柱が支配するピリピリした空間に入るというのが、自分が「任意の点P」になったようで不思議な体験。球は強力な重力を感じる。いったい、どうやってこんなところに来たのか、球よ。一つ一つの柱は、球の力に引っ張られて向きや形を変えているかのように見える。ウォルターデマリアの展示は個人的に一番好きで、できればこういうところに住みたいくらいだ。

 

次は、白い人の顔くらいの大きさの角ばった石が敷き詰められた正三角形の庭を通る。ここは先ほどとは打って変わって、墓場のような空間。石に乗ってみると意外と安定感があり、楽しい…などと思っていると、中庭を見上げてクラリとする。ここの造作物には軽さがない。どこにいても強い重力を感じ、深い地の底なんだという感じがある。

次の展示室はジェームズ・タレルの「オープンスカイ」と「オープンフィールド」。遠近感を狂わせるような展示物で、それぞれ「そらの風景」と、「どこか分からない青い空間」がぺたりと張り付いているように見える。幼児にははるか遠くの遠近感はピンとこないらしく、娘はよく分からないようだった。それでも「青い空間」の方の異様さは感じたようで、怖がってすぐ出てきた。

 

ここを出たら、ようやく地上に上がる。「白い石の中庭」に面した廊下を、今度は1フロア上がっていく。数メートル上がっただけで、ずいぶん身軽に感じられた。最後の展示は、クロード・モネのいくつかの睡蓮。さっきまでの強い重力感と奇妙な遠近感の世界と比べると、睡蓮のなんと軽やかでおぼろげなこと。音が響かないように、角を取った大理石モザイクの上を、柔らかい素材のスリッパで歩かせるところも健在だった。10年前は紫外線を防ぐガラスの薄い紫色が気になったが、今見てみるとそれも含めて夢の中の出来事のように感じられた。

 

これが一連で体験できるのが地中美術館。最後は地中カフェに行って、高台から海を眺めるのが良い。

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全体として、いわば地の底から水面を通って空に上がっていくような体験だ。 

 

ちなみに、地中美術館周辺には李禹煥美術館やベネッセハウスミュージアムがある。ベネッセハウスミュージアムは一連のアート施設の中で一番古く、なんと1992年オープンらしい。なんでも早く閉まってしまう直島の中では、ここだけ21時まで開いているのでありがたい。時間がなく駆け足で見たが、大きい石の上でぺったりと寝るのが10年前と変わらず気持ち良かった。

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ハウスミュージアムの近くには有名な黄色かぼちゃもある

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どこを見ても、目にしみるように海がきれい。

直島・宮浦港周辺のアートと建築物

直島と言えば今やアートの島だが、見どころは地中美術館だけではない。

宮浦港という直島西部の玄関口周辺には魅力的な建築物や彫刻が集まっており、2時間くらいすぐ経ってしまうし、東部の港である本村港にはギャラリーや有名建築物が固まっている。もちろん、島南部の地中美術館周辺にはベネッセハウスミュージアムなどの「きちんとした」美術館があるし、雰囲気のいいレストランやスパも点在しており直島のメインコンテンツの一つであることは間違いない。こちらは室内に美術品があるホテルがあり、子供が大きくなったら時間をつくって泊まりたいなーと思っている。

 

そんなわけで、今日は直島の玄関口、宮浦港周辺について書く。

 

船で宮浦港に近づくと、まず出迎えてくれるのは草間彌生さんの赤いかぼちゃ。

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(とかいってぜんぜんかぼちゃメインじゃない写真でスマヌ)

島南部の方には黄色いかぼちゃがあるが、赤い方は中に入れるので子供は大喜び。(ちなみに、3歳の娘には直島のことを「おおきなかぼちゃがあるところ」と説明していた。)きれいな瀬戸内海の海をバックにした毒々しいかぼちゃは、何やらあやしい漂着物のようだ。

 

そのかぼちゃの脇にある(というか、かぼちゃの方が脇にあるのか)のがSANAAのフェリーターミナル。

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こちらは一転して、海の水平線のようにおぼろげで儚いうす~い屋根と細い柱が特徴的だ。SANAAの建物はどこにあってもSANAAだし、どこにあっても幽霊みたいで妙に惹かれる。

余談だがこの辺は飲食店が足りていなくて、けっきょくターミナル内にある軽食コーナーで昼食をとった。冷凍品を温めてくれるだけなんだけどそれでもありがたいし、何より地ビールがうまい。

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ターミナルを出て右手に少し歩くと、透明な紙くずのような東屋がある。これは藤本壮介さんの作品で、中に入ってくつろぐこともできる。

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娘はハムスターみたいに中を走り回っていたが、よくできていて全体が不定型なのに安定感がある。色んな小さな場所や大きな場所があって、思い思いに自分の場所を見つけてくつろげる。自然物のような、偶然できたようなパヴィリオンだ。

これは、以前”final wooden house”という藤本さんの宿泊所に行ったときと同じような空間体験だった。見た目も素材もこれだけ違うのに、同じように感じるというのが面白い。

 

港の方に戻ってまっすぐ西の方に歩いていくと、大竹伸朗さんの「I♥湯」がある。外観はまさに大竹伸朗的世界なんだけど、中はいたって真面目な銭湯経営をしているらしい。暑いし疲れているしで外観だけみて帰っちゃったけど、どうせなら浸かってくれば良かった。せめて外観くらい写真撮れば良かった。

 

そこから少し北に歩くと、西沢大良さんの「宮浦ギャラリー6区」がある。行った頃は休館中だったので見ていない。

これも余談だが、ギャラリー6区をさらに北上していくと「山本うどん店」といううどんやさんがあり、ここは地元でも有名なおいしい店らしい。ただ、日曜が休み。行きたかった~。

 

宮浦港はこんな感じ。直島旅行の出発点になるエリアなんだけど、バスや船の待ち時間に軽く見て回るのにちょうどいいものがたくさんある。

 

(ちなみに、今週は毎日直島旅行について書く予定です。)