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ボス・ベイビー(2017年、アメリカ)

Boss Baby

「なぜ、赤ちゃんによってこうも大変さが違うのか」というのは、子を持つ人なら大体感じたことがあると思います。友達の子と比較して「なんでうちだけ…」となったり、お店で騒ぐ子を見て「あの子はもっと大変そう…」となったり。第2子が生まれようものなら、どうか、どうか手のかからない子を…!と願ってしまうはず。(私だけ?)

 

この映画はそんな疑問に面白い想像力で答えています。妙に手のかかる、やたらと要求の多い子は「ボス・ベイビー」という赤ちゃん普及Inc.の社員が扮していると設定しているのです。ほかならぬわが子もまさにこのタイプで、やれ立って抱っこしろだの、抱っこしたまま歩き続けろだの、おかゆはご飯濃い目にしろだのうるさいのなんのって。まさにボス・ベイビー!(赤ちゃんが重役顔だったのもあるし!笑)その部分だけでもドはまりしたので、もう大満足なのでした。

 

犬派の人が増えているというのも何となくわかる気がするなー。もっと言うと、都会で独身生活を満喫したり、仕事に打ち込んだりなどの別のライバルが赤ちゃんにはいるので、赤ちゃん普及Inc.は前途多難ですね。社会風刺的にも面白い作品でした。

 

「泣かされているんだ」と自覚しながらも、やはり最後のシークエンスはボロ泣きしました。あんなんズルいやん。

子連れホームパーティーは昼から飲むのが一番いいという話

子供が生まれてから、友達家族で集まるのはもっぱら「家で」が多くなりました。

簡単な料理を準備して飲み物は任せたり、持ち寄りにしたりと気軽な会です。子供同士で遊んだり、一緒にアニメを見たりで時間をつぶせるし、親の方も子供を視界の端でチェックしながらゆっくりお酒が飲めるし、子供が騒ぐのを心配しなくてもいいし、子供が寝始めたり、うっかり粗相をしたりしても安心。子供がぐずり始めても、家なら他の部屋に入っておくことができます。そもそも、子供のいる家庭同士だと泣き声があまりにならないし。

そんなわけで、暇な時期は毎週のように家で飲んでいる気がします。

 

時間はランチかディナーか?というところですが、最近気に入っているのは2時、3時くらい。ランチからだときちんと食べなければいけないのでスタートでバタつくけど、ランチ後ならお酒とおつまみ+子供のおやつだけでゆっくりスタートが切れるのがいいところです。うちはもう昼寝しなくなりましたが、幼児の昼寝後の時間帯でもあります。ランチスタートだと昼寝ができずに幼児がぐずりだす…というのも経験済みなので、子供のコンディションがいい時間帯を選びたいです。

 

お腹がすけば適当に作ったりしながらゆるーく食べ続けて、7時・8時くらいの時間帯に解散すれば、子供をお風呂に入れていつもの時間に寝かせつけられます。胃がもたれないし、子供の生活リズムを崩さずに済むしでメリットしかありません。ディナースタートだとどうしても遅くなってしまいがちなので、あまりしなくなりました。

 

今後もお互い負担をかけずに、楽しい時間が過ごせられればいいなと思います。

最近読んだ絵本

最近はシンプルすぎるストーリーだと「つまんない」ということが増えてきたので、少し長めの話や絵本ではない本も読み聞かせるようになりました。

 

最近好きなのはこれ

絵本 星の王子さま

絵本 星の王子さま

池澤夏樹さんが子供向けに読みやすく訳した本です。まだ話が難しいかな?と思ったのですが、意外にも気に入っているみたいでした。最近、大事にしていたクマのぬいぐるみをなくして「新しいのを買えばいい」などと言っていたので、バラの話を引き合いに出したら、やはり今までお世話してきたクマを大事にすべきという風に思い直したことがありました。何が正解かってわからないけれど、優しい気持ちが成長してくれるようになるなら読書もいいなーと思った一件です。

 

Yayoi Kusama: From Here to Infinity!

Yayoi Kusama: From Here to Infinity!

MOMAの協力を得て作られた草間彌生の自伝的絵本。「心を病んで幻覚が見えて…」みたいな部分はなんとなくしか描かれていませんが、自分の世界を命がけで発信し続けた彼女のストーリーが分かるようになっています。子供時代から現在まで、作品の世界観が反映された美しい絵です。

「草間彌生は本当にいる」と言ったら子供がびっくりしていたので、YOUTUBEでスピーチを見せたら食い入るようにして見ていました。ひーばーばよりも年上と言ったらさらに驚いていました。子供にとっては想像もつかないような存在ですよね。子供は草間さんの作品のほうをけっこう見ているので、ちょうと読ませたい絵本でした。

 

あと、最近じゃないですがしばらく前にはまってたやつ:

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

ほとんど絵がないので大丈夫かな?と思いましたが、これも意外にも楽しんでいました。ただ、話は長いので寝るまでに読み終えられるはずもなく、断片的にしか理解していなさそう。今度は映画を見せてみようかな。

 

大どろぼうホッツェンプロッツ (偕成社文庫 (2007))

イッパイアッテナが好評だったので買い足してみた本。これは大魔法使いの鼻が気持ち悪く、絵柄が不評だったな…。でもそれなりに「読んで」と言ってくれる本。こちらも断片的にしか理解できていなさそうですがー。

 

 

文章メインでも楽しめるようになってきたので、よさげな本を探しているところです。何かおすすめがあれば教えてください。

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年、ドイツ)

【映画パンフレット】 ありがとう、トニ・エルドマン 監督 マーレン・アーデ キャスト ペーター・シモニスチェク サンドラ・フラー

コンサルで働く30代くらいの娘のもとに、フラッと遊びに来た変人の父親。親子ほっこりモノかと思って見始めたのですが、意外と色んな身近なテーマを包含していて非常に身につまされました。大企業で働くということについて、会社の傘を着た傲慢さや、一方で同じようにビジネス上の些事に翻弄されること、男女差別とまではいかない、「男の世界」に入って行けなさ、さらには格差社会まで。サラリーマンなら多くの人がはまる内容だと思います。

 

また主演の女優さんが非常に巧みで、組織の歯車になって翻弄される人間の姿が露わになっていたように思います。彼女の印象的な顔のつくりも、なんだかはまってしまいました。ビジネス的な笑顔がスッと消えるシーンや、会食をすっぽかしてこの世の終わりみたいになるシーンなど、ユーモアがあるのですがジワリとしたブラックな笑いです。笑えるか笑えないかくらいの微妙なラインがずっと続くのでちょっとストレスがたまるのですが、ラストに向かって爆発力のあるシーンが用意されているので安心してくださいね(何)。

 

最後はちょっと拍子抜けしましたが、現実的な着地点としてはこういう感じがいいのかもなー、なんて思って、結果的にはすっかりこの親子とこの映画が好きになってしまいました。

非常に評判が良かったのでハリウッド映画されるかもなんていう話もあるそうですが、この煮え切らない含み笑いの世界観は崩れてほしくないなーと思うのでしたー。

エヴォリューション(2016年、フランス)

エヴォリューション(字幕版)

今で見た映画の中でトップクラスに気持ち悪かったです、、、しかし画が非常に美しいのと、衣装演出なども詩的でなんとなく見続けてしまう感じでした。設定は本当にキモいのですがグロテスクなシーンはさほどないのでボンヤリ見ている分にはダメージ少ない…かも!?

 

彩度低めコントラスト強めの映像が非常に好みでした。衣装美術もそれに合わせるようにベージュとグレーが多く、少年たちは砂色の髪、女性たちも金髪に眉毛まで金髪に染めているのですが、主人公の少年のみ濃い茶髪の目と髪で、彼を取り巻く色のみ印象的な赤。荒波が打ち寄せる岩がちな海岸と、それにへばりつくような白漆喰の四角い町もかっこよくて、この注意深く作られた色の世界を見ているだけでも癒されました。

 

人間の若い女性のような水棲生物と、誘拐されてきたっぽい少年たちの関係はよく分からないモチーフでした。人物たちのビジュアルが美しいので耽美的な印象があるのですが、キモいとしか…。死にかけの少年たちが色っぽいのも含めてキモかったー。

 

ストーリーは「?」でしたが、ここまで好みの映像の雰囲気もないので見てよかったです。

グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル(2016年、フランス)

グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル [DVD]

映画監督・俳優・脚本家・演出家のグザヴィエ・ドランのドキュメンタリーです。グザヴィエ・ドランの作品を一つでも見ていないとよく分からないかもしれませんが、個人的には旬な若い才能を眺めるだけでも楽しめるように思いました。50分程度ととてもコンパクトなのもいいですね。なんせ20歳くらいでキャリアスタートして、まだ30になっていない人の話なので。

躁気味なおしゃべりとナルシストっぽさがまあ強烈で、あの独特の画作りの背景を語っています。周りの人に愛されているのがよく伝わってきました。ヴァンサン・カッセルやマリオン・コティヤールなどの名優もコメントを寄せていて、けっこう豪華なドキュメンタリーです。

意外だったのは、グザヴィエ・ドランが「もらったフィードバックを翌日に返す」というエピソードでした。しかも、4時間の映画を2時間にしたりなどの、気が遠くなるような編集作業も!若いからこそのパワーももちろんあるのでしょうけれど、「絶対にものにしてやる!」という信念の強さを感じます。(ホドロフスキーと同じ信念の強さなのに、ベクトルが真逆!笑)

ドキュメンタリーというよりは、今までの功績をつづった今後のためのプロモーションムービーのような映画。これも、ファン向けの50分バージョンだけでなく、プロデューサ向けの短尺バージョンがあるんだろーなーと邪推しちゃったりしました。

 

いずれにせよ、今後が最も楽しみな映画監督です。あまり生き急がずに、息長く活躍してほしいな~と日本の片隅で思いました。

メッセージ(2016年、アメリカ)

メッセージ (字幕版)

「宇宙船のモデルはばかうけ!」という、監督の捨て身のリップサービスが記憶に新しい映画ですが。普通に面白かったです(普通ってなんだ)。

ネタばれ厳禁なので見る気がある人は読まないでね。

 

 

 

なんとなーく見る前に知っていた内容では、「言語学者の子供が死んで、宇宙人と会った」というものでした。そもそもこの認識のスタートが逆だったというのが面白かったですね。思い込みって怖い。

時間はだらーっと流れているけれど、そのどの瞬間もいつでも認識することができたら。起こってほしくない未来に向かって悲観するのではなく、それまでの思い出を大事にすることができたら。そんな気づきがある映画です。

「いくらなんでも悟りすぎではー!?」と思う節もあったのですが、最終的にはこういう超然的な気持ちのあり方もアリだと思うようになりました。自分がもともと運命を支配できるという風にはあまり思わない性格だからかもしれませんが。

 

宇宙人はタコのようなものだと思っていたら、本当はするめイカだったのも地味に驚きましたね(あれ、文章にするとあんまり変わらなく感じる)。

 

映像も美しくて、あのちょっとバカげたような宇宙人と宇宙船のデザインが神々しく見えるのが不思議でした。娘との思い出シーンは言わずもがなの魅力。子供のこういう頃の記憶って、それだけを糧に一生暮らしていけそうな気がします。

 

宇宙人が相方の死を阻止しなかったこととか、各国とはバラバラにコミュニケーションをとっているはずなのに最後は同じ12分の1のメッセージを送っていることとか(それなら怪しく上陸したりせず、最初から全部渡したらいいのでは?)、なんだか腑に落ちないこともあったのですが、まあそれはいいかー。

 

合う・合わないの差がが大きそうな映画だと思いますが、美しくてシンプルな、見やすい映画だと思いました。