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予備知識ゼロで「猿の惑星:新世紀(ライジング)」観た

 

ネタバレありかもしれません。最近ネタバレの意味がよく分からなくなってきました。※

 

機会あって、猿の惑星の最新作を観ました。実は「猿の惑星シリーズ」は一つも観たことがありませんが、結論から言うと、初見の方でも楽しめる作品です。観たのが結構前で、ちょっと記憶があいまいになってきましたが、備忘録です。

猿の惑星:新世紀(ライジング) [DVD]

 

戦争が起こる状況を緻密に描く

言葉を話したり、馬を乗りこなしたりなどと進化した「猿のムラ」と、それなりの集団を形成している「滅亡した人類の生き残り」が衝突し、戦争が起こるまでを描いています。猿のリーダー・シーザー(アンディ・サーキス)も、人間側の窓口になる者・マルコム(ジェイソン・クラーク)も、戦いを望まずなんとか平和に解決しようと全力を尽くしますが、その周辺の人物(猿物?)によって否応なく戦争へとなだれ込みます。「周辺人物」も悪意があるわけではなく、ただ仲間や自分を守りたい気持ちで結果的に戦いを選びます。彼らを掻き立てているのは無理解からの恐怖です。怖いから近づかない、理解しない、理解しあえないから攻撃する、その攻撃への反撃がエスカレートして戦争になる。また、攻撃の主体者になる「多くの人々(猿たち)」は戦いを選んだトップに引っ張られているだけで、心から戦いを望んでいるわけではありません。文章で書くとシンプルな構図のようですが、実際に自分の家族と場所を奪われるかもしれない恐怖は目を曇らせるのでしょう。

また、その見た目や凶暴さ、冷徹さからなんとなく「唯一の悪役」のように見える好戦的な猿・コボ(トビー・ケベル)ですが、人間側のトップ・ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)と心根はあまり変わらないように思います。ドレイファスもコボと同じように、相手側を「けだもの」だと思っています。最初から対話する意思がないのです。罪深さでは全く変わらないように見えるのですが、映画上はコボのみ悪人(悪猿)のように描いているのがちょっと腑に落ちなかったかな。

 

猿の細かい表情が素晴らしい

猿も役者さんが演技しています。冒頭から猿の狩りシーンが始まりますが、一頭一頭のキャラクターの違いや眼差しの違いがすぐ分かり、「これはレベルの違う映画だ…」と思いました^^;猿の指導者「シーザー」は、ロード・オブ・ザ・リングで気持ち悪いゴラムを演じたり、キング・コングでキング・コングを演じたりしているアンディ・サーキスという役者さんです。実際の演技の動きをCGで映像に結びつける「モーションキャプチャ」という手法だそうですが、これって動きだけじゃなくて顔の表情もつくれるのね…。それほど、全編を通じて猿の顔アップだけで持っているシーンがとても多いのです。初期作のメイクも素晴らしいと思ったのですが、本作は猿は流暢にしゃべらないようなリアリティがあるので、顔アップや指先の動きだけで分かるようになっています。派手なアクションシーンよりも、猿のアップシーンの方が面白かったなあ。

 

ついでに最初の「猿の惑星」も観た

せっかくなので、ツタヤディスカスに登録して初期作も観てみました。なんと1968年の制作。むちゃくちゃ面白かったです。宇宙旅行で2000年後のとある惑星に着いてしまった男が、進化した猿に囚われ、また逃げ出し、この惑星が実は地球だったと気付く象徴的なシーンで終わります。「猿は猿を殺さない。」というセリフや、驕った人間の姿を鏡で映したような猿の姿、近い存在だからこそ分かり合えず、衝突する2つの種族…など、このシリーズのメッセージはこの初期作から変わらないということが分かりました。

古い映画なので、セットや効果は非常にシンプルです。シンプルがゆえにメッセージが際立って伝わってきたように思います。人間の文明があったことを信じたくない猿の裁判官たちが、「見ざる・聞かざる・言わざる」の3つのポーズをしていたのがとても面白かった。こんなアイコニカルなちょっとあざといシーン、なかなか見ないですよね。アクションシーンは総じてまったりした雰囲気で進むのですが、リアルってこんなもんだよねえ。普段から映画のアクションシーンを見慣れていると、自分まであんなに素早く的確に動けるものと勘違いしちゃいます。

唯一残念だったのは、主人公の男が最初から猿を「猿」と呼び、人間を「人間」と呼び、猿と英語で会話していることに違和感を感じていないことです。その後も「この惑星=地球」だと分かる布石がたくさんありました。それじゃあ、「衝撃のラスト」とは言えないよねえ。私は本当にラストを知らなかったのですが、主人公と猿が初めて対峙した段階で分かってしまいました。この辺は、コンテンツスレしている現代人と、この当時の視聴者の違いもあるのかもしれません。

他の「猿の惑星シリーズ」も観てみたいと思います。

 

ネタバレとは、作品(小説、劇、映画、漫画、ゲームなど)の内容のうちの、物語上の仕掛け結末といった重要な部分を暴露してしまうこと。 またはその情報のこと。(ウィキ)

とのことですが、どこを重要視するかは人によるので何とも言えないかと。このブログでは、あまり「実は○○が犯人なんですよ!」みたいなことは書いていないと思うのですが、自分が観る前にネタバレされることを嫌と思わないタイプなので、ネタバレリテラシーの低さは自覚しています。というわけで、とりあえず「ネタバレ」と書いています。

 

 

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