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ドリームガールズ(2006年、アメリカ)

ドリームガールズ (字幕版)

アマゾンプライムで。「ピッチパーフェクト」を見てなんとなくミュージカル気分になったのでこれも見てみました。


もうこれは熱唱系ミュージカル!合う合わないで言うと完全に私には合わなかったのですが(?!)、スケールの大きい味わい深い映画なのでは。

「スプリームス」という伝説的な黒人女性グループを元にした話だそうです。

 

若くてきれいなビヨンセが堪能できるし、エディマーフィーって歌うまいんだ!と驚いたし、白人が占拠していた音楽界に攻め込んでいくジェイミー・フォックスの手腕も楽しめました。


ただ本当に熱唱系でして、ソウルフルに「捨てないでええええ」「私は変わったのおおおお」などと歌い上げるのがなんともはや、、熱いです。

 

歌が本当に好きな人におすすめしたいですね。

ムーンライト(2017年、アメリカ)

 

ムーンライト スタンダード・エディション [DVD]

 

アカデミー賞作品賞受賞ということで、DVDで見てみました。特にネタバレというような映画でもないです。

アメリカに住む黒人で、貧しくて、母親は麻薬中毒かつ家で商売している売春婦で、本人は性的少数者でいじめられっこ。日本に日本人として住んでいるとピンと来ないほどつらい状況にある話なんですが、映像はキレイすぎて音楽が甘すぎて、なんだかまずますピンと来ないという不思議な映画でした。母親にひどいことを言われるシーンが無音だったり、親代わりの男性が死ぬエピソードが丸ごとカットされていたりなど、一番ショックな部分を見せないようにしていることも影響していそう。そういえば、確か白人が全く出て来ませんでした。その辺りも、差別をあまり可視化しないという選択でほんわかムードに寄与していたりもするのかもしれません。

 

それよりも印象に残るのは最愛の幼馴染との淡い恋のシーンや、親代わりの男性に泳ぎ方を教えてもらうシーン。そして何より、黒人の肌の美しさでした。ネオンのように青く照り返す独特の夜の映像美は、かなり加工して作られているもののようです。そして、昼間は白っぽい光の中鮮やかな色の衣装を着た黒人たちの姿を描きます。主人公も常に原色と白ベースの黒肌に映える服を着ていて、貧しさを演出せずキレイ目な感じでしたね。ゲイという設定のせいか、細身のパンツにパリッとしたシャツを着ている青年時代も良かったし、ゲイっぽく見せないマッチョ+白黒服+金アクセサリーの成人時代も不思議とお洒落っぽかったなー。つらいはずの毎日を洒脱なトーンで描くので、終始穏やかな気持ちで見られました。

 

こういう政治的に誰もノーとは言えないテーマをてんこ盛りにして、上品に美しくまとめ上げるスノッブさがなんとなく解せなかったりもしましたが、こういうのもアリだな!と思った次第です。人生をかけた淡い恋が成就する話が嫌いな人なんていないでしょうし。

ハロウィンかぼちゃはあっという間に腐る

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10月になったのでハロウィンかぼちゃを彫りました。Jack-O-Lanternと呼ばれる、お化けを模したかぼちゃの灯篭みたいなやつです。

 

うちの4歳児に「このかぼちゃってどういう意味があるの?」と言われたので、wikiってみると…

 

生前に堕落した人生を送ったまま死んだ者の魂が死後の世界への立ち入りを拒否され、悪魔からもらった石炭を火種にし、萎びて転がっていたカブをくりぬき、それを入れたランタンを片手に持って彷徨っている姿だとされている。

 

また、悪賢い遊び人が悪魔を騙し、死んでも地獄に落ちないという契約を取り付けたが、死後、生前の行いの悪さから天国へいくことを拒否され悪魔との契約により地獄に行くこともできず、カブに憑依し安住の地を求めこの世を彷徨い続けている姿だともされている。

 

 

怖っ

 

そんなやつだったのか君は…!

 

4歳児に説明すると、「つまりお化けってことでいい?」と大人の対応をされたので、ちょっと盛り上がっていたハハはションボリしました。彼女はいつも愉快な子なんですが、たまに冷めてるんですよね。

 

 

ちなみにジャッコランタンはあっという間に腐ります。つくるのはけっこう大変ですが、1日目にはしな~っとなり、翌日は内側からかびてきて、3日目にはカビがフワフワに育ちました。今回は消毒液をかけてみましたが特に影響なかったですね。

日本のかぼちゃだと固くて水分量が少ないので、これでも長持ちしてる方だと思います。

 

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キレイな顔してるだろ?

中身は腐ってるんだぜ


今回は小さかったので、10月下旬くらいになったらまたつくろうかな~。

「ウォーキング・デッド」シーズン7 8話~15話の感想

Walking Dead: Season 7 [DVD] [Import]

最近珍しく熱を出したので、一人で寝込んでいるときに後半を一気に見ました。WD視聴は風邪に良いのか疑問ですが結果的には治りました。

後半は面白かった!(以下ネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの普通のゾンビファイトもあったし(こういうシーンって昔はすごくヒヤヒヤしたけど、キャラたちの戦闘能力が高い今は全くの余裕。余裕かましすぎてリックがピンチになる流れもなかなか良かった)、ゴミ収集所に住む新しいグループの設定も独特で面白かった(変な整列のルールとかリーダーのキャラも良かったけど、何より屑鉄ゾンビ!!ギレルモ・デル・トロのつくるクリーチャーみたいで最高すぎた)。そして、1シーズンまるまる引っ張ったうえでの反撃。サシャ登場の構成の良さ。久しぶりに新鮮なゾンビが出てくるのも良かったです。

 

モーガンは、ここにきて人道主義を捨てていきなり仲間を殺しだします。振れ幅大きすぎない?気がふれていた時期もあったので、元々かなりメンタルが弱いキャラという設定なんですよね。人が簡単に殺されてしまうことへのストッパーとして機能していたモーガンさんですが、この後どうなってしまうのか。個人的にはこういう人の心を持ち続けようとするキャラクターは嫌いではないです。その点、ヒューマニズムと強さを兼ね備えているキャロルは色々と都合よすぎなキャラクターだなと思います。今回も終盤でかっこよく登場させちゃって、今後どう動かしていくでしょうね。

 

ニーガンのキャラクター造形は、平板過ぎて少し面白くなく感じます。足を鳴らしながら長演説を垂れるのは飽きたし、ニーガンの背景が分からないので深みがないというか…。ニーガンはどのキャラとも深く関わることが無いので、本人がどんな人か分からず結局興味を持てない感じ。しかも、残虐ではあるけどびっくりするようなことをするわけでもない。グループの運営も合理的で良くも悪くも単純なんですよね。そこが人気なのかもしれないけど、その反面深みが無いっていうことなのかも。その点、ガバナーは娘やアンドレアの存在で人間くささとグロテスクさが感じられたし、策略もあって面白かったなあ。ただ力があるだけでなく、複雑なところが好きでした。一般的にはニーガンのほうが人気みたいですが、ううむ。

救世主との戦いはシーズン8に持越しのようなので、早くけりつけて欲しいなーと思いましたとさ。来シーズンごと救世主だったらやだなー。

 

おしまい。

アマゾンでウォーキングデッド7が配信開始されてる!!第7話までの感想

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アマゾンプライムの無料視聴枠で、ウォーキングデッド7が始まってました!これでしばらくゾンビたちとの「ヴォエェェェボヘェェェ」の時間が過ごせそうです^@^

 

とりあえず半分くらい見たのですが(早)、なんかこう、、、なんか、、、

 

つまんなくなってない!?

 

相変わらず一気に見てしまう感じはあるんだけど、(以下ネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

長い長い敵のターン時間があるので、その間ずっとゲンナリしているわけです。主要キャラクターが死んでしまったことによるメンバーの心の空洞・ズレが描かれているので、今までの「チームワーク最高だぜ!」というようなスカッとシーンも皆無で…。このシリーズ、ドエムじゃないと楽しめないのでは!?だって、この調子で7時間経過しましたからね!普通の映画だと30分つまらないだけで観客は大ブーイングですが、7時間ですからね…。

また、ゾンビが純粋に好きで見ている勢としては、完全にモブになってしまったゾンビが不憫で。ゾンビたち、なんかもう怖くもないし何なんだろう。BGM?

 

ここまで完全に対人間になってくると、もうちょっと文明や世界観があるほうがいいなとか(マッドマックスみたいな!)、まあとにかく心の渇きをいやす何かが欲しいわけです。

 

考えようによっては、マッドマックス的なものが始まる前の、荒廃しただけの場所に暴力がはびこっているという、まさに文明の萌芽みたいな世界観とも言えるわけだけど。それぞれのグループの独特さはあるわけだし。アレクサンドリアはなんちゃって民主主義、キングダムは農耕+兵士育成に、「王」を真似事のように作り上げて保たせています。救世主は独裁国家というよりは刑務所なんですが、ポイント制と番号制などかなり合理的なシステムを採用しているのが面白い。

 

まあでも、今はつまんないかな。

後半に期待。

愚行録(2017年、日本)

愚行録

好きな映画評論家の方が面白いと言っていたので見てみた。この映画は小出惠介の不祥事の影響で公開がかなり制限されたようだ。作中の小出はけっこうヒドイ男なので、今となっては役柄がオーバーラップされてしまう。


特権階級と、それに囚われ愚行をおかす人たちを描いた面白い映画なんだけど、このテーマはこんな胸が悪くなるような設定を積み上げないと描けなかっただろうか。「3度の衝撃」というのがこの映画のキャッチコピーだが、その衝撃よりもこんな設定を考え付く原作者に驚く。非常に気分が悪くなる話なので、見るには体力が必要だ。

以下、ネタバレ注意。

 

映像が重厚で日本映画ぽくないなーと思ったら、撮影はポーランド人のピオトル・ニエミイスキという方が撮っているらしい。冒頭のバス内をなめるように横に滑りながら映すシーンがとても良い。コントラスト強めの暗い映像の中、一人一人の乗客の顔、沈んでいたり上の空だったりする人たち。その中で、重苦しい顔をした妻夫木聡の顔が出てくる。この映画の中で一番と言っていいくらいのシーンだと思う。この映像美は最後までよく効いていて、最悪の情況になった「兄妹の現在」をこの影の濃い映像で、「過去」を白っぽい映像で撮っていた(と思う)。


早稲田と慶応を思わせる二つの学校の出身者がストーリーのほとんどを占めていて、記憶に新しい集団暴行事件をイメージしていると思われるエピソードもあった。2校をいわば「特権階級」のように描き、主人公(妻夫木聡)はそこにいる軽薄な人々の愚行を外から眺めているような存在。特権階級の中で上手に泳ぐ人、遠巻きに嫉妬する人、もてあそばれる人が、妻夫木聡に自分のストーリーを喋りまくる。

ほとんどは会話で構成されていたと思う。それでも退屈しないのは、自分の中の下世話な部分が彼らの姿を楽しんでいたからだと思う。自分のストーリーを訴える人を真正面から捉え、そのいやらしさ、くだらなさを大写しにする。それを呆れたような顔で眺める妻夫木聡。しかし、実は主人公が一番の愚者で…、という話だった。見ている側は妻夫木に共感するだろうから、終盤彼が突然相手を襲うシーンは、驚きもあるがカタルシスもある。結果として兄妹で「彼ら」を抹殺したことになるのが味わい深い。

 

慶応と早稲田にそういう面があるのも事実だけど、あまりに一面的すぎると思うのはクソリプの範囲なんだろうか。ちょっと酷い。「何者」でも感じたが、矮小な話を顕微鏡で覗きながらじりじり描いているように思えて、見ている間は面白かったのだけど、読後感はつまらなかった。映画としては愚行録の方が数段上ではある。

ダンケルク(2017年、イギリス・フランス・アメリカ・オランダ)

DUNKIRK

公開初日に、いそいそとIMAXで見てきた。

ここのところ見たい作品がなくつまらなかったけど、「ダンケルク」「散歩する侵略者」「三度目の殺人」と3本続けて見たいやつが公開されたのでうろたえてしまった。スケジュール的には1本しか見られない。IMAXで見られる映画館の無料券の期限やら、その直前に行っていたジムの切り上げ時間やらがうまいこと重なり「ダンケルク」となった。

座席は満席だったのになぜか「後方ど真ん中」というマイベスト席がポツンと空いており、すごくラッキーだった(ホビヲさん、やはり後方真ん中ですよ!)。IMAXは画面が大きすぎるので、最後方でもようやく視界に全部収められるほどだ。

公開が楽しみ過ぎたので、前置きが長くなった。

 

結論から言うと、非常に良かった。以下ネタバレ。

 

既に結論の分かっているストーリーで、かといってあまり人物を掘り下げないので物足りないと思う人が多かったようだが、私は「疑似体験できる」という1点で満足だった。戦争を体験させる映画はあるが、ここまで没入できるのはあまりない。冒頭の市街地での襲撃シーンで完全につかまれてしまった。あの短尺で逃げ場のない絶望感を完全に表現していたと思う。

「ノーラン監督はリアリティを重視するため、実際に爆撃し、戦闘機を飛ばしている」という前情報を聞いていた。そのせいか分からないが、役者が爆撃シーンの時に必死に耳をふさいで怯えている様子が新鮮だった。戦争映画では爆弾を投げる前に耳をふさいだり、爆撃されて吹っ飛んだりするシーンはたくさんあるものの、度重なる爆撃に怯えて頭を抱えたり、恐怖で叫び出すシーンはあまり見たことが無い気がする。戦争の資料映像では度重なる爆撃のショックで外傷がないのに体が麻痺したようになる症状をみたことがある。


また、情況的にあたりまえなのかもしれないが、ドイツ側に対して全く好戦的ではなくただひたすら逃げているのも特徴的。スピットファイヤに乗り込んだトム・ハーディーだけ攻撃する側だったが、彼も相手が見方を攻撃するのを防いでいるのみ。追い詰められた兵隊たちが、戦うことではなく生きるために必死になる様がリアルだった。逃げるだけのことが、これほどメッセージ性のある闘いになるとは。


戦争を包む自然描写も魅力的だ。インターステラーのような空からの俯瞰映像の多用も好みで、青天の美しいドーバー海峡で人が波の煌めきに消えていくシーンなど息をのんだ。印象としては「ゼロ・グラビティ」に近く、悲惨な状況をあちこち翻弄されながら進むさまは「クローバー・フィールド」や「サウルの息子」を思わせる。


トム・ハーディーがマッドマックスに続き、再び「めちゃくちゃかっこいい喋らない役」を演じている。あの彼は、最後ドイツ軍に捕らえられてしまった。かなしい。そういえば、他の役者もセリフが少なく、映像を見ているだけで没入できる、非常に直感的な映画だった。(なんだか興奮して繰り返しになってしまった。)ブリッジ・オブ・スパイでトム・ハンクスより目立っていたマーク・ライランスが遊覧船の船長役で出ており、彼は比較的セリフが多かったと思うが、ブリッジ・オブ・スパイの時ほどの印象はなかった。セリフが少ないからか、この映画が初めての長編大作だというフィン・ホワイトヘッドを始め、キリアン・マーフィーなど目の表情が魅力的な役者が多かった。

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キリアン・マーフィー。吸い込まれそうな目をしている


1点不満をあげるとすれば、音響。ただただうるさい。秒針の急かすようなカチカチ音はまだしも、バォーン、ズゥーンという内臓に響く音が前半30分ほどほぼ休みなしで鳴り続けるのはどうか。砲撃の音などが大きいのはいいんだけど、ただ取って付けたような効果音が鳴り響いていて冷めた。イギリスから商船や遊覧船が迎えに来るクライマックスでは、あまりにあっけらかんと「the感動音」みたいなBGMが鳴り響き、まあ感動したんだけど(したんかい)「それにしてもBGMよ…」と思ったのも事実。

そういえば、ゼロ・グラビティではほとんどBGMがなく、無音と浮遊する映像がなんとも印象的だったことを思い出した。ダンケルクは映像が素晴らしいので、邪魔しないような音にしてほしかった。