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ヒメアノ~ル(2015年、日本)

【チラシ2種付映画パンフレット】 『ヒメアノ〜ル』 出演:森田剛.濱田岳.佐津川愛美

いい映画だが想像の100倍グロい

DVDで。びっくりするほどエログロでした!2度は見たくないタイプの映画です。粘度の高い、アジア的なサイコスリラーで、最近の作品だと「冷たい熱帯魚」とか「渇き。」、「私の男」とかに雰囲気が近いかもしれません。

しかし、この映画がいいのはストーリーの部分。例えば殺人鬼の背景から絶望に至るまでの部分などはかなりていねいに描かれていて、とてもいい映画でした。社会派映画と言ってもいいかもしれません。

 

わたしは俳優の濱田岳さんが大好きなのですが、本作の演技もとても好きでした。どんな映画も、濱田さんが出てくるとほんの少しコミカルな雰囲気になります。空気が丸くなる。前半の三角関係ラブストーリーの部分は濱田さん中心で、「平凡で善良だけどちょっとズルい岡田」が描かれます。相方の先輩は、ちょっとアブナイ人という感じです。この微妙に緊張感のある感じが、いつ壊れるか分からない日常を思わせていて興味を引かれました。平凡な恋愛コメディになっていないのが、後半とのいいバランサーになっていたと思います。

 

だから、後半の開始を知らせるタイトルが出た時は、月並みですが「ニクい演出…!」と思いました。分かりやすく映像の雰囲気がガラリと変わる手法が取られており、ここからの主役はV6の森田剛さん。ジャニーズアイドルらしからぬマジサイコキャラを演じきっていて、しかも役名も同じ「森田」で。こんな役を引き受けて、しかも存在感が完璧なので感動してしまいました。最初に出てきたとき、一瞬だけ「V6の森田剛だ」という気がしていたのですが、早い段階で「(役名の)森田」だとひしひしと感じられるようになりました。彼にはただの殺人鬼ではなく、可哀そうで孤独な男として最終的には感情移入してしまうくらいでした。

また、前半でほのぼのと描かれていた岡田が、後半ではズルさやラッキーさが際立ち、虐げられてきた殺人鬼よりもグロテスクに感じてしまう瞬間もありました。終盤に行くにつれて、どんどんその構図がはっきりとしてくるんですよね。特に、最後のきっかけになったちょっとした犬の演出が、むちゃくちゃ好きでした。

 

同じような人生を送るはずだった同級生たちの、絶望的な距離感。心臓が冷えるようなテーマですが、もしかしたら今の社会的な断絶ってこういうところから生まれて、ほころびがどんどん大きくなっているのかもしれません。人生の岐路って、思わぬところにたくさんあるんだろうな。